表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

7話

 その日はまだオブセルバは来ていなかった。

ルクソンは何を思ったのか、

「なるほど分かった、私は神なのです。」

と言い出した。

「私は世界に大きな影響を与え、秘伝魔法集団に秘伝魔法を使わせ黄金の問題を解決した。つまり、私は神なのです。」

(また、やばい事を言い出したな。)

とトースケは思った。

「あなたは神が繰り返し使っているとオブセルバさんが言っていたのではないですか?」

「オブセルバさんの話を聞いていたなら、私は神だということです。」

「完全に思い出しました。私は神で過去に月から水を降らして洪水を起こし、都市を滅ぼしたのです。」

「私は神です、オブセルバさんも外なる神ではなく自分が神だと言っていた。」

トースケは

「それでは自ら神を名乗るもので邪教の主と変わらないとオブセルバさんが言っていた。」

と言った。

ルクソンは

「神とは与える者なのです。あなたは神である私を攻撃して奪おうとしている、つまり魔なのです。」

と言い、続けた。

「ええいっ。さては、宇宙人の手先ですね。どう考えても私は神なのです。オブセルバも情報拡散型の宇宙人なのですね。」

トースケは

(攻撃するものが魔とか言っていた割には自分も攻撃してるんじゃないのか?)

と思ったが、そういう問題では無いようだ。

「我々は神々の組織により、世界を救う活動をしているのです。」

「私の知り合いの神は魔物の生首を振り回しながら、人間を救うために色々な情報を流しています。」

(完全におかしくなってるな。魔物の生首を振り回す神ってなんだよ、化け物の間違いじゃねーか?)

トースケは思ったが、オブセルバの話を思い出した。

(「執着している人間に執着するなは逆効果、無ければ死ぬのか?どうなるのか?を問いそれでもやるなら他人を巻き込むなと。」)

(「人間は変わるものです、今は分からなくてもいつか理解するかもしれない。」)

(「しばらく放っておくのもよいでしょう。」)

トースケは放っておくのが良いかと思った。しかし、正直見かけるたびにイライラした。




 次の日オブセルバは他の人間と話しをしていた。相手は老人のようだ。太陽と月の予言の話をしていた。老人は出版されている宇宙人が出てくる予言を読んだようで、話の中に宇宙人が出てくる。しかし、割と普通の解釈をしているようではあった。魔王教の話などは出てこないが次元上昇の話はしているようだった。

が、オブセルバの態度が気に障ったのか、途中で拒否されていた。

 オブセルバは話の内容から太陽神神殿関係者かと思ったが違ったようだと言っていた。

オブセルバは店の中でゆっくりとした口調で周りをあざ笑うかのように話す中年の男について、

「ゆっくりとした口調で話し相手を引き込むことで惑わそうとしている様です。狭間の者が関わっているようですね。」

と言った。

 狭間の者とはこの世と霊界の間にいる者の事でいわゆる地獄などがあるところだそうだ。

悪い者が多く人間を騙したり支配しようとしたりするらしい。次元上昇により、そういうところは徐々に無くなるということのようだ。


 トースケはオブセルバに一部の強引な政治を行う者について聞いてみた

オブセルバは

「製鉄民族の末裔、懲りて山奥に隠れて必要な物だけ作っていたが繰り返した。朱に交われば赤くなる。」

と言った。

製鉄民族は過去に鉄器を使って勢力を誇ったがいずれ衰退し歴史から姿を消していた。

その末裔が政治に口出すようになってきたということのようだ。

朱に交われば赤くなるとは、懲りて隠れていたような人間でも政治に関わるようになってくると再び強引なことをするようになってきたという事とトースケは解釈した。

トースケはその話を聞いて彼らについては気にならなくなった。どうでもよくなったのだろう。


 オブセルバはまたほかの人間と話していたようだが、突然店の人間がオブセルバを廃除しようとし、痕跡を消し始めた。

「どうやらしゃべり過ぎたようですね。この店は国に目を付けられ監視されていたようです。しかし、逆にわたしが言っていることが正しかったと証明したようですね。」

確かに何がまずかったのか、聞いていても排除する方が逆に不信感を感じるくらいだった。

「皆さんに一言、死んだ後も先があるという事を忘れないでください。」

「それでは。」

というとオブセルバは出て行った。

と同時にルクソンも排除され始めた。

しかし、そちらは客からも苦情が出始めていたので、気にする人間はいなかっただろう。

転生してきたトースケには死んだ後も先があるというのはある意味当然だが、要は生きるためと言って魔王教に加担するような事は、死後後悔するかも知れないという事だろうか。



 仕方が無いので、トースケは魔王教の情報を集めるためにポストの話を聞くことにした。

ポストは相変わらずいつもの調子で魔王教を皮肉った講釈をしていた。

「魔王教信者は偽貴族である、海賊から偽装と結婚を繰り返し貴族に成り上がった詐欺師である。魔術師の格好をして悪魔教だー、予言だーと言っているがただの海賊であり本心では先祖の様な悪いことをして暴れたいのである。」

相変わらず一定の客がいて人気の様だ。

トースケは自分で調べたことをポストに言ってみた。

「魔王教信者は戦争を起こすのに邪魔な有力貴族を客船に招待して集めて事故に見せかけて沈めたのだ。」

「なるほどキミは中々いい線をいっている。彼らはワルであり一見ただの事故のようにせかけて悪事を働き、後から事故だ悲劇だと騒ぐのだ。その調子で情報を探すといい。」

そんな感じでポストの話を聞くことにした。


次の日トースケはポストの話を聞いていると

「魔王教は加害者の癖に被害者ぶる、影で悪事を働いておいて、他人のせいにして自分は被害者ぶるのである。盗人猛々しいとはこのことである。」

といっていた。

「帝国の皇帝は魔王教の悪事を見抜いていて粛々と対策しているのである。皇帝に任せておけば奴らも手を出せないのである。」

(本当かどうか知らないけど適当に乗っておくか。)

トースケは

「太陽と月の予言の予言にあったように、魔王教は戦争を起こそうとしているのだ。」

と言った。

するとポストは

「太陽と月の予言は魔王教が書いたものである。神などおらず予言はマッチポンプである。」

と言った。

「それではキミはお花畑である。あくまでも予言など無く、全て奴らの自作自演である。」

トースケは

(あくまでも理屈で説明できないものは全てマッチポンプと言いたいらしいな。)

と思った。

しかし、トースケはオブセルバの話などと合わせて考えるとどうしても太陽と月の予言が魔王教の創作とは思えなかった。

トースケは神とは劇に出てくる何か超常的なものようなものだと言ってみた。

しかしポストは講釈で神などおらず、お花畑では駄目であるというようなことを言った。


「さて、私もそろそろ引退して隠居しようと思っている。」

ポストはそんなことを言っていた。

周りの客からは、ポストさん引退しないでください。ポストさんがいないとどうすればいいんだ。とか言われていた。


そしてしばらくするとポストも来なくなったのでトースケは仕方ないのでアスラ亭に行くのをやめた。

(しかし、ポストはしばらくするとまたアスラ亭に戻り、また講釈を再開していたようだ。)


 トースケはしばらくは他の店に行ったりして情報収集しようとした。が、アスラ亭ほど大した情報は集められなかった。スピリチュアルみたいなよく分からない存在からの話や大昔の英雄の生まれ変わりを名乗る人間の話などだが、太陽と月の予言を元に話しているようだが、どれもうさん臭く決め手に欠ける気がした。


トースケは

(さて、これからどうしようか)

と考えるようになった。


「魔王教については何となく把握できたかな。」

トースケはそんなことを考えながら、これからどうするかと考えていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ