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5話

「王都の辺りの魔物は人間たちが獣を常食しているので、その因果で人間を襲うようになっているそうです。鳥や魚はそれ程でもないですが、家畜を常食しているのが王都が襲撃される原因となっているようです。」

(そんな人間の食い物まで相手できるか、どうしようもないだろ。)

「『獣食は仕方がないが、生肉などはもってのほか』だそうです。」

「私の先祖は高名な王族の英雄ですが、鳥を好み獣は喰わなかったそうですね。」

「その英雄は確かに鳥を食べていたようですが、あなたの先祖では無いですね。」

相変わらず身も蓋もない。ルクソンは思い込みが激しく出鱈目ばかりのようである。

「獣を常食する民族は魂が穢れていき行きつく先は共食い、つまり人食いです。」

「大昔から獣を食べ続けている大陸の民族の中には、悪食に走り人肉市などが行われているところもあるようです。そこまで行ってしまえば手遅れです。神は助けません。」


トースケは帰りに再び人のいないところで秘伝魔法を使った

「鬼神よ王都を襲撃する魔物を降伏し、太陽神神殿に突き出せ。(詠唱)フィアースゴッドサンダー!」

やはり体はさらにだるくなったようだ。そして王都は見えないので何が起こっているかはよく分からない。



そんな感じでアスラ亭でしばらく、ルクソンとオブセルバの話を聞きながら、他の話も聞き情報収集をして、思い当たる節があれば適当に秘伝魔法を使っていた。

(さすがにもうそろそろ秘伝魔法はいいかな。)

そんなことを考えていた。


情報収集をしている内に、太陽神神殿の近くに住む女の予言というものがアスラ亭で話題になったことがあった。何かの災害が起こったあと王都と思われる場所で地震が起こるというもの。しかし、そのあと同じ女からと思われる予言のようなものがあり、王立魔力増殖炉事故で目が覚めた人間が何人もおり、魔王教の存在に気付いたのでどうにでもなるというようなものだった。

(どうにでもなるというのは何なのか?適当過ぎるな。まあ悪い方に向かっている訳ではないようなのでいいか。)


そんなある日、オブセルバは

「王都の辺りは昔龍脈をいじったせいで不浄が溜まりいつ決壊してもおかしくない状況になっています。」

「そろそろ再び地震が来るかもしれません。」

と不吉なことを言っていた。


数日後「何が起こっているのでしょうか?地震が来てもおかしくなかったのですが。」

「大地の神が地震を遠くに動かしたようです。」

「王都が地震で潰れれば大陸の帝国に支配され、その後悪食の民族に支配が移り、この国で人肉市が立っていたかもしれません。そうなれば多くの人が犠牲になっていたでしょう。」

「魔王教は地震魔法を使ったようですが遠くに移されたようです。」

「まだこの国を潰すわけにはいかないので動かしたようですね。黄金の件が解決していなければこうはいかなかったでしょう。」

「我々が秘伝魔法集団に秘伝魔法を使わせたおかげで、黄金の件が解決し、魔王教の地震魔法を防いだわけですね。」

ルクソンはそう言っていた。

「王立魔力増幅所のときは、魔王教の地震魔法もありますが、海底の女王が関わっていたようです。」

「海底の女王も黄金のせいで逆らえなかったようで仕方なくやったようですね。」

「地震魔法自体は月の者が手を貸しているようです。」

「魔王教は魔王以外に悪魔もいますが悪魔は神から見れば有象無象だそうです。ただし魔王の上にいる魔神まかみ正神魔神せいしんまかみだそうです。」

どうも正神魔神というのはれっきとした神であり正しく力を発揮できる神ではあるが悪魔など魔の元締めの神という意味であるらしい。

「神話などは何度も書き換えられているので正しいことは伝えられていませんが、蛇とは地に落ちた龍。」

(蛇とは魔神のことなのだろうか?)

「魔のやり方は殺して奪うというより壊して奪う。魔により行けばいずれ滅ぶ。」

やはり魔王教のやり方では滅んでしまうようだ。

「魔の役割の人もいます、魔と言っても世間的に良い人も含みます。」

「神々と魔神との間にも絆はあります。」

別になれ合っているという意味ではないようだ。話ぐらいは通じるという事なんだろう。

「神と魔神などとの戦いの予定があるようです。神と魔神が魂の取り合いをしているようですね。」

オブセルバは以下の様な事を言った。

正神魔神は魔性を発揮し、世界を巻き込む大戦おおいくさを起こす

二双の太刀 相まみえること能わず

二双の太刀とは同盟関係にある大国2つのことだろうかとオブセルバは言った。

トースケは二双の太刀という言葉に鋭い刀のような感覚を覚えた。

「『予定はあくまで予定』だそうです。」とも付け加えた。

「帝国の皇帝はどういうつもりなのか世界で大きな戦争が起こらないように動いていますね、愉快な人です。」

とオブセルバは言った。

「悪神というのは魔道に堕ちた神で、別の神です。」

(?、魔神と悪神は違うようだがどういうことだ?)

「悪の本体は東の大国と他1国、魔の本体は西の帝国と他1国」

悪の他1国はかつて独裁者を出した国のようだ。魔の他1国は魔王教幹部が牛耳る国の様だ。

どうも話を聞いていると、悪と悪神と魔神は全て別のものの様だ。

「想像から出たものが力を持つということはあります。魔王教が終末を煽っているのは災害などを起こしやすくするという面もありますね。」

「あまりそういうものに傾倒しすぎないことも大事でしょう。王都で魔王教などの存在を隠して平穏を装っているのは少し違うような気がしますが。」

「『できる限り生きて欲しい』だそうです。」


トースケは家に帰ると考えていた。

(うーん、太陽と月の予言は読んでおいた方がいいのかな?)


ルクソンは

「タイフーンなどは神々が不浄を清めるために引き寄せるのです。」

と言っていた。

オブセルバは

「不浄が溜まると土地の神が息苦しくなるので定期的にタイフーンを呼び寄せる様ですね。」

「最近王都に立てられた塔は結界の役目も果たしているようなので、それでどこまで防げるか・・・。」

などという話をしている。


「数呪術の様ですね、やられました。」

ルクソンも

「数呪術は私もやられました。一時期ネズミの脳みそのようになりました。」

と言った。

オブセルバは

「何か赤い呪いのようなものをかけられたので、倍にして返してやりました。」

トースケは

(頼もしいのか何なのかよくわからないな。)

と思ったが、

(魔王教は数呪術というのを使うのか)

と何となく理解した。


トースケは図書館に行き太陽と月の予言を読んでみることにした。

太陽と月の予言は出版もされており図書館にもあった。

できるだけ変な解説のついてないものを選んで読むことにした。

(解説付きのものは宇宙人が助けに来て救ってくれるなどと書いてあった。どう考えてもうさんくさい。そりゃ読むなと言われるわな。)

太陽と月の予言は50年近く前に書かれたもので、読んでみると確かに現在の状況を指しているように見える。しかし、言葉遊びと言われるとそう見えなくもない言い回しも多い。

後で調べたところ、書いたのはルート教の信者のようだ。

読んでいくと災害や戦争などで世界に壊滅的な被害が出た後に世の中が良くなるというような内容に感じた。

しかしオブセルバも、ただの注意書きで「そのまま行けばこうなる」というような事を言っていたなと思い、ここまで行くのかどうかは分からないという結論になった。

魔王教の存在を匂わす様な事も書いてあるように感じた。

それと太陽と月の予言には明らかに悪神と書いてあるが、これはどうもオブセルバの言う悪神とも魔神とも違うように思える。

(?、帝国の悪神とは一体何だ?)


ちなみにトースケはホネスト教にも地震魔法と魔王教や太陽と月の予言について話してみたが相手にされなかった。まあそんなもんだろうと自分で勝手に納得した。

似たような書に火と水の書というのもあったが、その時は読まなかった。


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