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夏緑  作者: やまき たか
2/2

夏の2


「今日、何かあるの?」


 帰り道、隣を歩く彼は私にそう尋ねた。

 きっとさっきの茜とのやり取りについてだろう。


「え? あー、いや別に、なにも」


「そっか」


 彼は短く頷く。

 それからはお互い、口を開かずただ歩みを進めるのみで何となく心地の悪い雰囲気が漂っている気がした。

 いつもはこんな時私から話題を振るのだが、今日に限っては何を話せばいいのかがどうにも思いつかない。

 

 あれ、私普段何言ってたっけ……。

 

 そんなことを考えながら悠平の隣をただ歩くのみ。夏休みの予定作るって言ってもなんて話せば……。

 幼馴染みとはいえ、休日を共に過ごしたことなどほとんど無い。遊びに誘うのだっていつぶりか……。


 でも……このままじゃ……。


「あっ……と、ゆ……悠平。ちょっと」


 私の家まで数百メートルという所で、ようやく声を絞り出した。立ち止まった私の方を向き彼も足を止める。


「なに、どうした?」


「えっと……」


 呼んでみたは良いものの、次に繋がる言葉がなかなか出てこない。なんて誘えばいいんだろう……。こっちの気持ちを察してもらわれても困るし、何か理由があれば……。


 彼を呼び止め数秒が経ち、どうしよう、という気持ちが徐々に積み重なっていく。すると、


「あ、そうだみどり」

 

「えっ、な……なに?」


 不意にかけられた彼からの呼び掛けに、慌てつつも何とか応じてみる。


「今日、部活のやつらで話してたんだけど」


「うん」


「来週、三年達で海行かないかってさ。マネージャーとかも一緒に」


「……」


「…………」


「……わかった。行く」


 突然の誘いに、つい気の抜けた返事をしてしまった。

 予定通りとは行かなかったが、これはこれでありなのかもしれない……。


「じゃ、じゃあ他の子にも言ってみるね」

 

 水着、買わないと……。

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