第五章 黒騎士ナイトレイド
「決戦」
「我等、ジラソーレ遊撃隊の力正規軍にを見せ付けろ!!」
ジラソーレ傭兵軍は駐屯正規軍5000に対して2万の騎兵を送り込んだのであった…
「調子はどうなんだ?」
黒き甲冑に身を包んでいる騎士が隣に居る黒髪の長髪剣士に話しかけた。
「まあまあだ…」
彼ら二人はジラソーレ傭兵軍の将軍である。黒き甲冑の騎士はナイトレイド・フレイム。
元々はテンペシアのブラックナイトであったが予言者ミュルの考えに賛同しジラソーレの傭兵に
なる。もう一人の剣士はクロス・フリングエーク。腕利きの東方剣士でディクスの魔剣士として
恐れられていた。既に部下となっていたナイトレイドと死闘を繰り返したが、予言者ミュルの力
により仲間になったのであった。その日以降クロスはミュルに絶対の忠誠を誓っている。
「どうしたのです?話をしていないで早く反乱分子を壊滅させなさい」
「了解…」
クロスはミュルの問いに答えると素早く戦場に走って行った。
予言者ミュルは神の使いとされておりジラソーレの指揮官と崇められている。その力は絶大な物
で他の傭兵勢力を圧倒している。歳は幼いとされるが不死身なのではと噂されている。
四大傭兵勢力で最も強い権力を持っているのがサラセンとジラソーレである。
サラセンは東方のルトラ地方一帯を本拠地にしており人口は四大傭兵勢力の中では一番上にあ
たる。
ジラソーレは連合王家の一つアーグナルと隣接しており何度も衝突を繰り返し続けている。
正規軍将帥のデュインは名将イリオスにジラソーレとの戦いを任せており最近はジラソーレの国
境に迫り駐屯軍を指揮するまでになっている。今回のジラソーレのガルダナ侵攻もイリオスとの
まともに衝突する事を避けるためであり、地形的に有利なガルダナを占領し正規軍との戦いを推
し進めるためである。予言者ミュルはこの戦いの勝利を予言しており兵士の指揮を高める事に成
功している。
「ナイトレイド様の目指す世界はもう少しです…」
ミュルはナイトレイドと二人になると落ち着いた表情で話し始めた。
「あぁ…君も孤児院の頃と比べると随分変わったみたいだ」
ナイトレイドは着用していた兜を外し騎馬から降りてミュルの近くに寄った。
「ナイトレイド様は正規軍がシュティルの町に攻めてきた時、助けてくれました…テンペシアの
騎士団長で忙しいのに孤児院に援助金を出して下さったり他にも暇が有れば孤児院に直接来て遊
んでくれました。だから今の私がこうして予言者としてここまで来れたのもナイトレイド様のお
陰だからです」
表向きではナイトレイドは海神の申し子としてテンペシアから来た最強の黒騎士となっているが
本当はテンペシアの漂流騎士である。(漂流騎士とは…何らかの事情があり流刑になって大陸に
流れ着いた騎士の事)ミュルの能力に目を付けたのも本国に帰る一つの手段として考えているか
らかもしれない。
「大変です!」
一人の兵士が息を切らして戻ってきた。傷を負っている様だ。
「何事です?」
「はっ!ガルダナの東軍門で攻防を続けていたのですが…思いの他指揮官のミスラルが奮戦して
おり思う様に先に軍を進める事が出来ない状態です!それと…謎の傭兵集団がガルダナの南市街
地で戦っており我がダコス隊が衝突しましたが、手慣れの戦士が多くとても歯が立ちそうにあり
ません!」
「そうか…撤退の準備をするんだ。前線の兵士達に号令をかけろ!!」
「は!了解しました!!」
ナイトレイドには予想外の出来事であった。正規軍が奮戦をしており苦戦していたからであ
った。
「良いのですか?」
「構わんさ…」
「沈黙の市街地」
街は静けさに包まれており、正規軍は東の軍門で迎撃の準備に追われていた。
「とうとう来たか?」
アレックスは急いで宿の窓を開け外を確認した。
「何をしている!一般市民は退却指令が出ているはずだ!」
近くに居た兵士がアレックスに呼びかける。
「悪いがそう言ってられないんでね…俺達も参戦させてもらうぜ!」
アレックスが二階の窓から飛び降りるとそれに続いてユイアラ、ヒルダ、ナスロクの順で飛び降
りた。
「正気か!?ふっ…まぁ良い好きにしろ!!」
兵士は置いてあった槍を取るとそのまま東門まで走っていった。
「あたいは南門に行った方が良いと思うよ」
ユイアラは手元にあった地図を広げると南門の位置を確認した。
「そうですわね…スクイードが南に滞在していたとするならば、ジラソーレの別働隊が南門を攻
める可能性も視野に入れなければならないですもの」
「良し、南門に行ってみるとするか」
アレックスはそう言うと路地に回りこみ走っていった。
「もう歳なのに、凄い脚力だな」
ナスロクは感心してアレックスについて行った。