第三章 第三分隊
「草原の風」
蒼い空は遠く続いていた。日差しが眩しい。お金は乏しい。
「暑いな…何時になったらクロケードに到着できるのか…」
木陰で小休憩を取っていた。軍馬の乗り心地は良くなかった。腰が今だに痛い。
結構気性が荒い軍馬だった様だ。お陰で7日で着く予定が悪天候やジラソーレの騎馬隊の追撃を
振り切ったり死に物狂いで走らせた結果俺は馬に跳ね飛ばされ逃げられた。
「散々だったね…もう最悪!」
見渡す限りの大草原は遠く遠く続いていたのだった。
「んっあれは…おーい隊長ー!!」
肉眼で把握し難いが確かに黄色いバンダナを着けた男が見えた。
「えっ隊長!?どこ!どこ!?」
「裏のステージ」
「ジラソーレがガルダナに攻め込むかもしれません…」
少しやせ細った体系でスーツ姿の男は重々しく語った。
「そうか…やはりな。スクイードを派遣してしまった後では遅かったか…」
もう一人の頭に黄色いバンダナを締めた男は少し間をおいて返事をした。
「そうですね。スクイードなら出来るでしょう。この戦争を終わらせる事を…私は信じています
よジルロー隊長」
「あぁ…ありがとう。スクイードならできるさ」
「夜明けの出撃」
「で…何ですかい?俺達の任務はあいつが逃げるまでガルダナでジラソーレの兵士を数人捕縛し
ろという事ですか?」
視線が鋭い傭兵は不思議そうな顔をして答えた。
「成る程そういう事ならあたいの出番じゃないか。ジラソーレの軍人に恐怖を見せ付けてやる
さ…」
翡翠色の髪をした女剣士は余裕で答えた。
「でも…成功すると決まった訳じゃないだろ?まぁ俺は銃を撃てればそれで良い」
二丁拳銃の男は冷静に答えた。
「絶対成功して見せますわ。貴族女騎士の誇りがありますから」
レイピアを構えた金髪の美女は自信があるようだ。
それぞれの答えを聞いた後バンダナの男が話しだした。
「ガルディス師団第三分隊ガルダナへの任務遂行を成功を導かん事を…」
四人全員が体勢を整えて同時に答えた。
「ガルディス師団の誇りに懸けて任務を成功させます!!」
太陽が昇ろうとしている数時間前に任務が開始された。
「頼んだぞ…アレックス、ユイアラ、ナスロク、ヒルダ死ぬなよ」
「ガルダナ潜入」
ガルダナの市場は活気が溢れていた。新鮮な野菜と果実や交易品などで潤っていた。
「へぇ…旨そうじゃねぇか。この果物いくらだ?おばちゃん」
どうやら任務よりもアレックスは果物の方が気になる様だ。
「なぁアレックス…任務はどうしたのさ?」
ユイアラは任務の事が良く分かってないアレックスに不満そうだ。
「んっ旨いぞ…この果物ワインにしたらさぞかし旨いんだろうな…」
アレックスはユイアラの忠告を無視して一人でそのまま市場を探索しに行った。
確かに町は見るものが一杯あって探索したい気持ちも分かるけど任務なのにね…
「俺は酒場へ行って来る。」
ナスロクはそう言うと人込みの中に姿を消した。
「私は足が疲れました…宿屋へ行きますわ」
ヒルダは疲れた表情で宿屋へ向かっていった。
ユイアラ自身任務とはいえ現地での行動まで頭に入れて置かなかったのだった。
こうしてガルダナに潜入した彼らはスクイードの知らない所で任務を開始するのだった。