no namememory
「結局私は1人なんだ…」
海奈は晴れた昼下がり公園のベンチに座りそう呟いた、すると
『もしかして海奈なの…?』
声がする方を見ると1人の少女が立っていた
、彼女は竜咲朱音 彼女の通っていた学校の同級生だ、この日は学校も休みで朱音は休日に買い物をしている時にたまたま海奈を見かけて声をかけてくれたのだ。
『そっか…お父さんが…それは気の毒だったね…』
「うん…だから私ね、歌辞めたんだ…」
『歌を辞めたの…?どうして?海奈あんなに歌手になるって頑張ってようやく夢を叶えたのにどうして…』
海奈は歌手になる事を夢見て何百とあろう事務所のオーディションに積極的に応募し落ち続けようやく今の事務所、[skymelody]に入る事が出来たのだ。
「これでいいんだよ…私はもう歌えな」
パチン!
夕暮れの空に平手打ちがこだました
『なんで…そんな簡単にあきらめちゃうの…?私の知る海奈はもっと強くて元気のある自慢の友達だったのに!!アンタなんか知らない!』
そう告げると彼女はそのまま駆け出し街の中に消えた。
「お父さん…私…どうしたらいいのかな…」
夕暮れの空を見上げボソッと呟くとベンチから立ち上がりその場を後にした。