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四話 最初の森

「じゃあ行くか」

「あっちょっと待って! リッくんってどうやったら動いてくれるの?」


 テントの外に出るとミーちゃんが森? の方へ歩いて行く。

 私も一緒に行こうと思ったんだけどリッくんがその場で固まってしまう。

 上の取っ手掴んで引っ張ってもいいけどできれば自力で歩いて欲しい。


「んー私テイマーしたことないから詳しくないんだよね。コマンドがどこかにあるとは思うけど」

「チュートリアルはいらないって言ったんだから最後まで面倒みてよね、もう」


 えーっとコマンドコマンド。設定とかそこらかな。あっ違った。

 なんだよく見たらステータス画面にあるじゃん。


 私のステータスが表示された画面。その画面の右側に大きな矢印が書いてあった。

 そこをタッチするとリッくんのステータスが出てきた。


 攻撃力や防御力といった基本的な項目の他に、現在の空腹状況や変換したことのあるアイテムなんかも載っている。

 そしてそのページの一番上に、自動追尾のON/OFFや追加オプションによる機能拡張の個別設定があった。


 私を追尾をONして、拡張オプションの加速、キャリーっていうのもONにした。

 下に付けたタイヤと上の取っ手関連の項目だと思う。


 設定を終えてウィンドウを閉じて私はリッくんから二歩くらい離れる。


「ほーらおいでー」


 私が手をパチパチ鳴らすとリッくんがスーッと寄ってくる。

 かなりかわいい。

 もっかい離れ呼ぶ。

 スーッと寄ってくるリッくん。

 じゃあじゃあもうちょっと離れて──


「行くよユー? 遅いと叩くぞー」

「──ッ!? いくいく行くから待って叩かないで!」


 私がミーちゃんの方へ走り出すと後ろからリッくんがついてくる音がした。



 数分移動して森の中。


「ゲームなのに移動時間かかるねー」

「ぱぱっと移動する方法も有るけどレベル上げなきゃ使えないんだよね。まあこの森を抜けるまでがチュートリアルってことなんだろうな」


 森の中は爽やかで穏やかな風が吹き、草木が揺れるカサカサという音も気持ちがいい。

 私は歩きながら何度となく深呼吸をする。自然のいい香りがするー。

 って匂いまで感じるの!? そういえばさっきリッくんも甘くていい匂いした。


 私は立ち止まり、リッくんの方を向いてその香りを嗅いだ。

 赤いボディーにしたからかイチゴみたいな香りがする……リッくんが動くゼリーにしか見えない。


「ちょっとだけ……ちょっとだけだから」


 ぷるぷるの体に唇を寄せ、いただきますと呟く。


「だから食うなってば! 急に止まったと思ったらまたそんなのにかぶりついて! ここでアイテム食べても現実では満たされてないぞ」


 またミーちゃんに邪魔された。グイっとマントの首元を引っ張られる。

 ああー痛いのやめて! って痛くない? あっ今のはダメージにカウントされないんだね。

 首に長いロープでもつないでおいてもし私がピンチになったらミーちゃんに引っ張ってもらおう。

 名案!


「馬鹿なこと考えてるんだろうけど、そろそろ湧き地点つくよ」

「馬鹿じゃないよ名案だよ! あとモンスター出たらミーちゃんが倒してね!」

「最初の雑魚戦くらいあんたも手伝いなさいよ……」


 最初だから危ないんだよ。私は卑劣なモンスターの奇襲に警戒して辺りを見回す。よーし、森は平和です。

 見回していると綺麗な花が咲いてるのに気づく。これとかアイテムなのかな。


「ミーちゃん、このお花ってアイテム? きれいだねー」

「んー? あーそれ。花とかは専用のアイテムで取らないとゴミになるからやめといたほうがいいよ。……あっ一回リッくんの使い方勉強する?」


 そんなことを言ってミーちゃんは私が愛でていたお花をブチりともぐ。


「私のお花ーーー!!」


 素手で取られた黄色のお花は瞬時に黒いモヤ状アイテム・ゴミに変わってしまった。

 せめて雑草とかでやってよ……酷くない?


「こんなのすぐ生えてくるって。それより、はいこれ。リッくんにあげてみて」

「あげるってどうやって」

「手に持ったままでリッくんの顔前にやって、リッくんの方に投げるフリすればいいの」

「こう?」


 言われた通りゴミ(軽くて綿毛みたいにふわふわしてる)をリッくんに投げる。

 ヒュポッ

 卒業式の筒を開けるみたいな音がしてゴミが消えた。

 リッくんの体からペケペケペケって感じの音楽が聞こえる。さっきはピカピカ光ってただけなのに。


「リッくんって個体によって処理待ちモーション違うんだ。そこら辺も楽しいよね」


 へーっと納得してたら音楽が止み、蓋がパカリと開く。

 中身は前と同じ回復薬だった。


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