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二十九話 リッくんの可能性2

 さて、戦ってやる! なんて意気込んだはいいけれど敵はどこにいるんだろう。

 やっぱり歩いて回らなきゃ見つかんないのかな。

 うん。あまり障害物はないし一度その方向で動こう。


 洞窟の高さは建物3階分くらいで体育館を縦横三棟ずつくっつけた程度の広さ。

 地面は柔らかな草で埋まっているけれど深さは私の足首ほどしかない。

 唯一の障害物である木はそれぞれ数メートルの間隔を空けて植わっていて、薄暗闇でも主張できるだけの派手な葉がついていた。


 私たちが居るのはエリアの右後ろ隅。

 脇道がなかったら右手で壁を確認しながらグルッと回るだけでだいたいの範囲が見れるね。

 面倒だけどその方法で敵を一体発見できれば次々湧いてくるかもしれない。

 なんたって大量の敵を倒すのが目的のマップなんだから。


 あっその前にアイテムの確認した方がいいかな。

 私は移動するのをやめアイテムバックを開いた。

 簡単に敵に出会えても、こっちからの攻撃方はこれしかないもんね。


 うーん。雑に使っても良さそうなのは……。

 回復薬とかの消耗品は使っても無駄だろうし、レアっぽいのも使えないよね。

 結局、今失敗前提で使えるのはこれだけ。


 黒水晶×12

 竜骨の破片×25

 ガラス片×30


 竜骨は骨のドラゴンから、ガラス片は腕が光るボスから手に入れた物。

 どっちもそれなりに数があるし強気で使えるかも。

 使えるのと有用なのは別問題だけどね。

 でも、ダメかどうかは試してわかること。イエスチャレンジ!


 気分も盛り上がってきたし、アイテム三種を一個ずつ片手に持って歩きだす。


 敵さん、敵さん居りますか? 居なくて別にいいですよー。

 壁沿いを歩いていく私。でも、木の横を通る時だけ少し多めに時間を取って進んで行く。

 居ない。居ない。居ない。そろそろ洞窟の中央辺りだ。出てくるならそろそろいい頃なんだけど。


 ガサッ


 ん? 今何か動いた?

 草の音だ。地面の葉はしっとりとしててそんな音はしない。なら上!

 よく見ると木に生えてるのは葉っぱだけじゃない何かいる! 


 何あれ、お猿さん? あっよく見たら他の木にもいる!

 広い洞窟内にぽつぽつ生えた木。原色の赤や青といった極彩色の葉に紛れて派手な色の猿達が隠れている。

 これがこのマップの敵か。


 一番近いお猿さんと私の距離は10メートルくらい。でも距離以上に高さが違う。

 高さ2メートルは有る木の上にいられたらこっちから手は出せないよ。


 私が今できる行動の中で、唯一遠距離攻撃と呼べるのは黒水晶をリッくんに食べさせての電気。

 でもそれも昨日使い込んじゃって、『まずお試しで!』とは使えない。

 そもそも電気は一発じゃ範囲が足りないし。


 ……どうしよう。あの子降りてくるのかな、これ詰んだらどうするの、このゲーム。


 敵が動く前にアイテム試しとくべき? 骨かガラス片。どっち行くか……ガラスでいっとく?

 リッくん、怪我しないでね。


 私はリッくんの蓋を開けてガラス片を一個入れてプニボディーを揉む。

 何かいい反応してね! リッくん!


 ぷにぷに揉んでるとリッくんが固くなってきた。

 なんだろ、あっリッくん自身がガラスになってる?

 柔らかく温かみのあるリッくんの体はボーリングの玉みたいに固くなった。


 ……防御とかには使えるかな?

 なんにしても攻撃手段じゃないね。次々っと。

 どうせだし竜骨も試しちゃおう。


「リッくん、次はこれ試して──ひゃっ!?」


 ヒュッ!!


 竜骨をリッくんに入れようとしたら木から何か砲弾みたいなものが飛んできた。

 その砲弾はリッくんと同じくらいのサイズで、勢いのまま床の草に突き刺さる。


「なにこれ木ノ実? っ!」


 それの正体を確かめようと意識を向けてたら、すぐに同じものが連続して私に向かってきた。

 当たる寸前でそれに気づけた私はなんとか体を捻って避ける。

 避けても避けても、避ける場所に飛んでくるそれ。


 小さく避けてもダメだ。大きく距離を取らなきゃ。

 次のはジャンプで避ける!


 ヒュゴッ!


 ここでジャンプだ! 

 私は両腕を畳み横にクルッと回ってそれを避ける。

 地面にダイブした私の顔真横に砲弾が落ちた。


 画面いっぱいに大きく映る堅そうな木ノ実。これが体に当たったら痛いじゃ済まなそう。

 致命傷になる前にできることは早く試す。


 ヒュッ!


 また来た。急いで立ち上がり近場の木に隠れる。

 嫌な感じの打撲音が木の裏から続く。


「折れないでよ? お願いだからね」


 急いで竜骨をリッくんに入れながら祈る私。

 骨を入れて揉むとリッくんの体色がより濃い赤になってきた。

 攻撃だよね? そうだよね。

 私はそのまま紅色のリッくんを木の上に向け取っ手を押した!


 ボシュッ!!


「炎だ!」


 リッくんから出た野球ボールサイズの火の玉。それはすぐに猿まで到達し打ち上げ花火のように爆発した。

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