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二十話 山のボス戦1

 ドスッドスッドスッ

「──ひっ!」


 たまに私の体をかする剣の雨に怯えること数分。

 周囲がドロップ品で埋まった頃ようやく雨は止んだ。


「……こわかったぁ」


 攻撃音が消え、ふーちゃんが地面に降りた。

 何もしてないのにこのゲーム一の疲れが溜まったよ今。


「ふふんっだから言ったろ? ふーの言う忍者プレイってのがどれだけズレてるかさ。まあ稼ぎには楽だからいいけど」


 ふーちゃんと一緒にドロップを拾っていたミーちゃんが私の方へ来た。

 自分の言った事が正しかったろ? とウィンクしてちょっとドヤってるミーちゃんに私は黙って頷くことしかできなかった。


 ふーちゃんが私の分と手渡してくれたアイテムをしまいながら次はどうするかとお話し。

 わたし的にはカッコいい忍者さんも見れたしもう帰りたいんだけどなぁ。


「ふふっどうする? ふー今日は帰るか?」

「まだまだ元気」


 私の気分をしっかりわかってるミーちゃんがいたずらっぽくふーちゃんに尋ねる。

 あっ返す気ないねこれ。


「じゃあもっと行くか! あっふー次は私の番だからな」

「……ん。わかった。ユーは大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ!」


 二人が乗り気なら私も頑張って付いていくしかない。

 まあただでアイテム貰ってるだけだし文句は言いませんよ。 


 山登りを再開して少し、山の頂上まではまだ随分と距離が有るが休憩所のような開けたスペースが見えてきた。

 いいね、ちょっと休んでいこう。疲れてないけどね。


「あっ骨あるよ! 化石?」

「あーー……どうする? ふー」

「……いける。タゲ任せた」


 広場のようなスペースに到着すると、その半径10メートルもない場所の真ん中に恐竜の頭蓋骨のようなオブジェクトが置かれていた。

 それを指差し二人に言うとミーちゃんは嫌そうな顔をし、ふーちゃんは剣を出現させ飛び上がる。


「はぁ。まあしゃーないよな。ユー、頑張って避けろよ」

「戦闘? わかったよ頑張ってね二人共!」


 でも敵どこ? 周りには相変わらず木がたくさんで動くものは見えないけど。

 広場に出てくれるなら避けやすくていいけども木のエリアで戦闘になったらめんどそう。

 ふーちゃんまたあのさっぱりするやつヤってくれないかな。


 ゴツンッ


 敵がどこから来てもいいように下がってようとしたら何かに頭を打ち、久しぶりのビリビリダメージを受けた。

 痛まないオデコをなんとなくさすりながら目を開けるとそこに網目状の壁。

 広場に沿って壁作られてるの?


「あいたッ! なぁにもう、木? ──え、あっ」


 あっこれ見たことあるよ! よろしくないやつ! 

 ボスじゃんこれ! しかもエリア狭いってば。


 一応システムウィンドウを開くとやっぱりログアウト不可。

 二人はどうしてる? 交互に様子を見るとどっちも骨のオブジェを見ていた。

 あああれがボスなのかも。


 ガガガガガガガガガガガガガガガガ!


 地震だ。……骨が揺らしてる? ちなみに壁の外の木は全く揺れていない。

 揺れと一緒に地面の土が骨の方へ吸い込まれ、私たちの足場が数センチ沈む。

 蟻地獄に吸い込まれる様に、骨の方へと引っ張られる私。


「あ! ぶ! な! い!」


 なんとかジャンプを繰り返して耐えること数秒。

 骨の元に集まった一山の土。それがぐねぐねと粘土の様にこねられモンスターの形を成す。


 完成したのは頭だけ白骨した土くれのドラゴン。

 太い二足と長い尾で巨体を支えた姿。

 二足で立ってるけど腕や翼は無くて蛇のような胴体をくねらせている。

 色は茶色で土だとわかるけど印象としては腐ったゾンビみたいな感じ。


「ドラゴンヘッドだ。足下気をつけろよ、ここの土は全部あいつの攻撃手段になるぞ」

「えー、気をつけても初見じゃわかんないよそんなの!!」


 話してる間にも、私の足元が盛り上がって土の爪が生え斬りかかってきた。

 私はそれを辛うじて避け、リッくんに近寄るよう命じる。

 流れ弾に当たったら可哀想だから私が抱えてあげなきゃ。


「わっと危ないよ! ちょっと! かよわい私は後回しにしてよね!」

「大丈夫そうだな。じゃあ私あっち行ってるから」


 耐えるために土に刺していた刀を抜きボスへと走っていくミーちゃん。


「二人共急いで倒してよ! っともう当たったらどうするのさこの子は」


 手を振って応援でもしようと思ったら太い丸太? が私の方へ倒れてきた。

 木もあったのか、あっ違う。これも土だ。地面から生えた細長い土のタケノコが私を狙って暴れる。

 ああもうそんなに暴れたら避けづらいよ。


 タケノコが消えてもビームや変な飛び道具なんかがひっきりなしに飛んでくる。

 むだに神経使うよホント。


 避けてばっかりも辛いしボスの攻撃もリッくんで吸えるのかやってみるべき? 

 でも試すにも技がどれくらい種類有るのかもっと観察しなきゃダメかな。

 ……というかさっきから私狙われすぎじゃない?


 空を飛んで遠距離攻撃をしてるふーちゃんには距離があるからあんまりヘイト向かないってのはわかるよ? 大半が地面から生やす近接攻撃だけみたいだし。

 でも、ボスの真下にいて斬りかかってるミーちゃんを無視し、私ばっかり攻撃してるのはわからないよ!

 よく見て! 真の敵は君の下にいるんだよ!!


 私が敵の攻撃を避けること数分。その間に少しずつ二人が攻撃を続け、確実にたぶんボスも疲弊してきてる。

 訴えも虚しく狙われ続けているおかげで、私もある程度の攻撃パターンはわかってきたよ。


 1・地面の一点が盛り上がる。尻尾のような太い刺が突き上げてくる。

 2・同時に2箇所盛り上がる。私の身長くらいの両腕が生え攻撃してくる。パターンは更に叩きつけと横薙、水平に両手を合わせるの3つ。

 3・離れたところに龍の形をした灯篭が現れビームみたいなものを撃ってくる。

 4・人間サイズの土で出来た蛇召喚。私めがけて飛んでくるけど数回避けると壊れる。


 頻繁に見るのはこれくらいかな。

 この内で吸えそうな攻撃は蛇かビーム。確実によけられるのはどっち? ビームは直線に一発、蛇は避けても数回バウンドしてくる。ならビームだ!

 よしビーム一点狙いで試すよ!

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