表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/50

十四話 じゃらじゃらアイテム補充

「……すっすごいよ! リッくん! 攻撃技も使えるんだね! みんな嘘ばっかりついてひどいよ」


 私は光が消えるのを黙って見届けてからリッくんを抱きしめる。

 ミーちゃんも攻略サイトもリッくんには攻撃方がないって言ってたのにちゃんと有るじゃん!

 しかも電気だよ絶対強いってこれ! 


 今のってアイテム消費で撃ったんだよね、たぶん。

 さっきうさぎの攻撃を吸収して変化させたアイテム。

 確か黒水晶(雷)ってなってたし。


 相手の攻撃を私が避けてリッくんが吸収。そしてその吸収した攻撃を技にして相手にぶつける。

 これって……カウンターだ! リッくんカウンターファイターなんだね。


 へへへっこれであのうさちゃんに仕返しできちゃうんじゃない!? あっちの攻撃なんて私当たんないし!

 よし、うさちゃん狩りの時間だよ。

 私は元気よくうさぎが追いかけてきているであろう方を向いた。


「さあさあ! うさちゃん攻撃してみてよ! こっちにはカウンターが有るんだから! ……っていない?」


 私が振り返るとさっきまで後ろを追いかけていたうさぎは居なくなっていた。

 あんまり逃げるのが上手すぎて撒いちゃったのかな。才能の使いどころもTPOだね。


 ……うーん。じゃあ街探しに戻ろっか。


 もう一度マップを開いてっと。ん? 片方の街が結構近くなってる。

 そんなに走ってきたのか私。

 よしこの街でミーちゃんたちを待とう。


 私は地図の左に表示された街へ向かって歩き出した。

 今度は歩きながら草むしりなんてしない。

 ただただ目的地へまっすぐに進んで行く。


 5分くらい歩くと静かな森の中に人の声が聞こえてきた。もう街が近いのかな? 

 でも、その声は人混みのような複数のものではなく。一人の人間が叫んでいる物だった。


『うおおおおおおおお! 死ねええええええ』


 近くまで来ると人の声以外にもガサガサと草が鳴る音や攻撃エフェクトらしき光りなんかも見えた。

 戦闘中かな? なんだか穏やかじゃないね。まあゲームの中だし、一人だったらつい叫んじゃうのもあるだろうけど。

 そんなことを思いながらその人がいる藪の脇を通り過ぎようとした時。

 パシュパシュパシュッとあのうさぎの攻撃が藪から飛んできた。


 その瞬間私には素晴らしい思いつきが降りて来た。


「リッくん!!」


 私はリッくんを抱えその攻撃に触れる。

 目論見通りにそのモヤはシュポンと音を残してリッくんに吸い込まれた。

 やっぱりハズレ判定だ! ちょっと稼がせてもらおう。


 私はその薮が見えるところに座ってリッくんに指示を出す。

 リッくんに出せる命令は簡単なものだけ。それでも左右に動いてもらう事くらいはできる。


『うりゃああああああ!! くそ、外れだ』


 男の人が戦っている声を聞きながらリッくんに攻撃を回収させる私。ゲームしてて思うこと、こういうアイテム稼ぎをやってる時間が一番たのしい。

 スポンスポンと攻撃を吸い続けること十数個。


『やったああああああ! 倒したぞおおおお!!』


 おめでとう名も知らぬお兄さん。私もお兄さんが勝って嬉しいよ。

 その人が勝利の雄叫びをあげてるうちに私は行かせてもらおう。

 いっぱいアイテム貰えたし、待ってる間にミーちゃんからメールで森の出方教わったしね。


 戦闘マップからリス位置に帰るにはアイテムの『インスタントゲート』というものを使えばいいらしい。

 これは地面に黒い穴を空けて使用者のリス位置までの直通の通路を作り、その状態を二分間保持してくれるアイテムなんだって。

 パーティーとかでも誰かが使えば、使った人のリス場所に行ける便利アイテムなんだとか。


 私は早速バックの中を見た。

 初期配布されているアイテムなんかほぼ手付かずだったから。

 あっゲート有った! それはバックの中で×5と表示されていた。

 それを一つ出してっと。えーと使い方は地面に敷いて、踏む? 


 使い方に習い一枚地面に白い布を広げて私は真ん中に立った。

 すると、『プレイヤー・ユーの登録地点へ行きますか?』と文字が表示される。

 Yesです。 


 私が選択すると白いシートの真ん中に黒い円ができ、ヒュポンッと私はその中に吸い込まれた。

 移動は何秒もかからなかったと思う。辺りが暗くなったと思ったらすぐに風景はあのテントの中。

 ぷよんっ

 私のあとに続いてリッくんも出てきた。おー移動呪文とかって自分で体験するとこんな感じなんだ。


「おかえりユー」

「ん? あっミーちゃん待たせちゃった?」


 テントの中なのに声をかけられ、私がそちらを向くとベッドの上でミーちゃんが寝転がっていた。


「いや、全然待ってないよ。インしたばっかだし」

「そう? ふーちゃんは?」

「んー知らん、あいつ勝手にふらふらいなくなるし。あっ連絡来るまで森でも行ってるか? ってユーは今そっちから逃げ帰ってきたんだな」


 意地悪っぽくミーちゃんが笑う。でもね昨日の私とは違うんだよ!!


「いいね! いこう!」

「えっ良いのか? 戦闘もするぞ?」

「任せてよ!」


 首を傾げるミーちゃんに私は胸を張って宣言した。

次はたぶん夜中に更新します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ