十話 放課後の作戦会議
午後の授業も終わり放課後の掃除中
私たちは四人で教室の掃き掃除をしていた。
掃除といっても机を移動まではやらないので適当にパパッとゴミを集めて終わる。
だから教室掃除はすぐ終わり、その後少し時間を使っても全然問題がない。
十分ほどで掃除を終え、下校前に少しおしゃべりしていくいつもの流れ。
今日のお題は昨日私が始めたゲーム【リライズドーム】についてだ。
実はふーちゃんもミーちゃんと同じ頃からそのゲームをやっている。
昨日はふーちゃんに用事があったようで一緒に遊べなかったが今日は一緒に遊べると言ってくれた。
シーちゃんはゲーム自体をあまりやらないのでこのゲームもやっていない。
だけど、今度弟さんからVRヘッドセットを借りてみようかななんて言ってる。
そうしたら今度は私が先輩として教えてあげなきゃ。
「そういえば聞いてよ二人共! ミーちゃん酷いんだよ」
私は自分の席に座って、昨日のことを話した。
ミーちゃんが騙して森に連れてったことやボスモンスター前でログアウトしたことなんかだ。
私が悲壮感を込めて話す内容を、三人はそれぞれの反応で聞いてくれる。
ミーちゃんはケタケタ笑いながら。ふーちゃんは目を閉じうんうんと。シーちゃんはピンと来ないのか首をかしげ。
あれ? みんな真面目に聞いてくれてない?
私可哀想でしょ!? というかふーちゃんにいたってはあれ寝てるよ。
「いいじゃんかユーも面白かったろ? あんなの歓迎式みたいなもんだよなあ、ふー」
「ん……? んん」
ミーちゃんに背中をポンと叩かれふーちゃんが目をゆっくり開き、左右をちょっと見て頷いた。
窓から入ってくる涼しい風に眠くなったのかな。
「ほらな? 私だけじゃなくふーだって言ってるよ」
「ふーちゃん聞いてないよ絶対。今寝てたでしょ」
「んーん。僕は眠ってない」
「そうだぞ。寝てないのに寝たなんて決めつけひどいぞ」
負けず嫌いなのかなんなのか眠っていたことを否定するふーちゃん。
ミーちゃんが笑いながらそれに乗っかる。
くそう! なにか証拠を見つけなきゃ。
「ふー、今日はいつもよりねむそうだけど昨日夜ふかしでもしてたの?」
「……徹夜でソロボス狩りしてた」
「私よりボスだったの!?」
眠そうにしているふーちゃんにシーちゃんが質問する。
すると用事があると言っていた昨日、彼女は徹夜で私たちと同じゲームをやっていたらしい。
しかもソロボス狩りって友達を置いてそんなに急いでやるものなの?
「……前から昨日はソロボスTAの日って決めてた。今日は大丈夫」
決めてたのかーならしかたない
こうなったらミーちゃんだけでも少しダイレクトアタックだよ。
「聞いてよシーちゃん。ミーちゃんってばゲームでは背の高い大人のお姉さんなキャラ使ってるんだよ、ほら」
「へーかっこいいじゃない」
私はミーちゃんのキャラ画像をスマホに表示させ、シーちゃんに見せる。
金髪で八頭身くらいあるスリムなお姉さんキャラ。
「──あっあれは……ネタだ、ネタ! 適当にやったらそうなっただけ」
「……うそ。キャラクリ後ミーはしゃいでた」
それまで笑っていたのが一変、顔を赤くし否定するミーちゃん。
その言葉をふーちゃんが即否定する。
やっぱりあれは成長願望の現れだね。そんなところもかわいい。
「そ、そんなこと言ったらユーなんて小学生みたいなサイズのキャラ作ってたんだぞ」
「私は可愛いのが好きだからいいんです」
自分がかわいいキャラでかわいいキャラと遊ぶ。
これはとっても有意義なことだと堂々と胸を張って言えるんだよ。
「まあゲームの中くらい好きに遊んでいいじゃない。そろそろ帰りましょ?」
「そうだなーいくか」
「今日も一日無事終わり!」
「……ふぁぁっ眠い」
シーちゃんが話を閉めて立ち上がると私たちもそれに続いた。
私とミーちゃんは途中までバスが一緒。ふーちゃんシーちゃんは徒歩通学なので校門でふた組に分かれる。
また明日と元気に交わして私達はバス停に向かう。
「今日どんなことする?」
「んー昨日って結局登録しただけだもんな」
バスを待ちながらミーちゃんとのんびり話す。
夕方になってきて少しは涼しくなりバス停の屋根で影が出来ているおかげで待ち時間もそれほど苦ではない。
ミーちゃんの体をむにむにと弄っても朝ほど抵抗されないのもその涼しさのおかげだ。
「今日はふーもいるしもう少し真面目に戦闘するか!」
「あっそれはいいや」
うーんむにむにが気持ちいい。




