ああ、誰でもいいの。
私がどうしても、どうしなくたって、どうにもならないことが多すぎるんだ。この世界、私が生きてる毎日は。小学校の通学路にあったリサイクルショップが町の整骨院に変わってしまっていたとしても、私はそれを見て通りすぎることで精一杯なんだ。その、リサイクルショップを経営していた家族や飼われていたラブラドールレトリバーが今はどこで、どうして、どうやって暮らしているかなんて、わたしにはわからないしわかってもどうにもしようがないことなんだ。
「 私はどうにかしてほしいよ、誰でもいいから。」
自分は何も出来ないくせに私は誰かに私をどうにか救ってほしがってる。ベッドの上で何度寝返りをうっても流行りのSNSを確認してみたって、枕元にやってきた子猫を撫でてみたって何も変わらないんだ。何でなんだろ、何で何も変わってくれないんだろう、何で私を変えてくれないんだろう。
「 誰か、誰か誰でもいいから私を変えてよ。」
しん、と静まった空間でブルリと震える私と外の世界の連絡をしてくれる小さな機械。気だるそうに見せながら、内心は新しく送られてきた、私に送られてきたメッセージに喜んでいるくせに。
『 返事、考えてくれた?俺はずっと待ってるから。』
待ってくれるような人はこんなの送ってこない。あの時すぐに返事をしなかったのは女の子らしい女の子を見せるため、告白されたら赤くなって戸惑ってしまうような、そんな女の子。
『 すぐに返事出来なくてごめんなさい、私でよければ、よろしくお願いします。』
そうだ。だって私は誰でもいいんだから。私を変えてくれる人なら誰でもいいんだから。誰が変えてくれるかなんてわからないから一回お試ししてみないと、ね。
- EnD.-