#7
幼い頃に交わした約束通り、何年経っても友悠は絶対に悋気を発さなかった。
恋愛や成績で誰かに妬まれ、泣いてる時は必ず隣にきてくれる。皆から呆れられる中、ただ静かに寄り添ってくれることが本当に嬉しかった。
俺が泣いたら必ずフォローして、空気を和ませて。彼には本当に迷惑かけたし、恩しかない。
『友悠、昨日三組の女子に告られてなかった?』
『あぁ。……断ったけど』
『何で? 可愛い子だったじゃん』
友悠はモテる。高校にもなると幼かった頃の面影は消え、立派な青年になっていた。
でも頑なに恋愛をしない。その理由に、おこがましいけど自分が関わっている気がした。
『……なあ』
友悠は優しいから。
『もし俺の体質を気遣って恋愛しないなら。……俺、もうお前といるのやめるよ。一番幸せになってほしいのにさ、お前の人生を邪魔してんのと同じだもん』
俺はこの先、明るい未来なんて想像できない。
でもそれに絶望してるわけじゃない。友悠が幸せになってくれれば、それでいい。
本気でそう思っていたけど、彼は怒りとも戸惑いともとれない表情で、俺のことを見返した。
『どういうこと? 俺にとって邪魔なのは、お前以外の全てだけど』
『…………』
よく分からないけど、地雷を踏んだらしい。その時の友悠くんは若干目が据わっていて怖かった。
とりあえず恋愛を邪魔してないことがわかり、胸を撫で下ろす。前に傾き、横から彼の顔を覗き込む。
『友悠。まだ一緒にいてもいい?』
『当たり前だろ。今さら何言ってんだよ』
少々拗ねた様子で答える彼に、堪えきれず吹き出してしまった。
はあ、どうしよう。
彼が好きだ。
炭酸が弾けるみたいに、胸の中で淡い光の粒が散らばる。
これが友情ではなく恋情だと気付いたのは、目頭が熱くなったからだ。
俺も、彼以外の全てに妬いている。どうあっても彼のパートナーになれないことを、心の底から悔やんでる。
男同士だし……この関係に亀裂が入るぐらいなら、この想いは死ぬまで閉じ込めよう。彼に気付かれないように、目元にたまった涙を袖で拭った。
時間ばかり流れるけど、環境は確かに変わっていく。大学で離れて、俺は独りで生きる決意をした。
結局どこへ行っても、いくつになっても泣くわけだが。忌み嫌い続けた感情の根底を、友悠のおかげで知ることができた。
焼きもちって、ただ苦しいだけだと思ってた。実際苦しくて、時々息ができなくなるけど……後ろから抱き締めたくなるほどいじらしくて、愛おしい。




