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りんきおうへん!  作者: 七賀ごふん


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6/16

#6



小走りで会館から出る。

斜め後ろから見える横顔は同年代とは思えないほど凛としていて、見とれてしまった。

初めて見る子だ。名前も分からないけど、こんな綺麗な男の子が存在してることに驚いた。

心臓は過去一で爆音を鳴らしている。


脇腹が痛い。息が苦しい。

だけど知らなかった。無我夢中で走ると、こんなにもスッキリするのか。


『はあぁ。……君、何であんな嘘ついたの』


信号の手前で息が切れて、立ち止まる。肩を揺らしながら尋ねると、男の子はこちらに振り返った。


『ゲームあげた子に、もう泣いてほしくなさそうだったから』


額に流れる汗をぬぐい、彼は首を傾げる。


『違った?』

『う、ううん。合ってる』


それはもう、寸分違わず。


『……ありがとう』


初めて俺の気持ちを正確に読み取ったのは、初めて出会った男の子だった。


『良かった。何となく、ゲーム欲しくて泣いてるようには見えなかったからさ。……もっと苦しそうに見えた』


そんな風に言ってもらったのも、初めてだった。

泣いてる時に言われるのは、またか、という言葉。そしてウンザリした視線だけ。

かまってほしいわけでも、助けてほしいわけでもない。だが無理やりあの空間から連れ出してくれた少年に、俺は救われた。


焼きもちから遠ざかって、動悸もおさまりかけていたけど……頬に、また一筋の涙が伝った。


『あれ。ごめん、大丈夫?』

『だ、大丈夫。どっちかって言うと嬉し泣きだと思う』

『そ? 赤くなるからあまり擦らない方がいいよ。……泣き顔は可愛いけど』


俺男だけど、と返すと彼は可笑しそうに笑った。そしてポケットからハンカチを取り出し、俺の涙を拭う。


『俺は友悠。ね、君の名前教えてよ』

『友悠……。あ、俺は弦美。宜しく』


友悠は俺の家の隣に引っ越してきた少年だった。

優しくて聞き上手な彼に、誰にも話さなかった秘密を打ち明けた。


他人の焼きもちを感じると、意思と関係なく号泣してしまうこと。俺は他人に焼きもちを焼いても平気だけど、誰かが俺に焼いた焼きもちは駄目だということ。


友悠は最後まで静かに聞いてくれた。そして少し考えた後、腕を組んで頷く。


『……なるほど、わかった。妬かなければいいってことだろ』

『う、うん』

『OK。任せて』


彼はひとり納得した様子で、俺の手を引っ張った。

『大丈夫だよ』

思えば、この時の友悠が一番感情をあらわにしていた気がする。彼が秘めた決意を感じ取って、口を噤んだ。


『これからは俺が守るよ。俺は絶対、弦美のこと泣かさないから』




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