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りんきおうへん!  作者: 七賀ごふん


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4/16

#4



「お邪魔します」


友悠のマンションに到着し、靴を脱ぐ。途中コンビニで買った酒や弁当を渡した。

彼の部屋は見事に整頓されていて、俺の荒れた部屋とは天と地ほどの差がある。

「引越し手伝った時から全然変わってないじゃんか。さすが学校の先生」

「それは関係ない」

友悠は中学校教諭だ。忙殺されて生活リズムが狂ってもおかしくなさそうだが、オンオフをしっかり分けて暮らしている。尊敬しかない。


「いや、マジで大したもんだよ。さ~て……悪い、ちょっと仕事させて」

「何だ、まだ終わってなかったのか」

「うん。カフェでやってたんだけど、中断しちゃったから」


残業が許されない会社なのに、毎日定時近くにクライアントから依頼書と確認の電話が入る。定時で帰す気ないだろ、と思うのだが、それに反発する社員もいない為現状を受け入れている。

体制を改善する熱意はないし、かといって転職する気力もない。だから苦しくても胃薬を飲むことで耐えていた。


まあ、最近は新たな悩みもあるんだけど……。

思い出してまた鬱になってると、不意に前髪を持ち上げられた。


「弦美。ちゃんと寝てるのか? やっと腫れがひいたと思ったら、今度は目の下のクマやばいぞ」

「四時間は寝てるよ」

「早死にする。余計なお世話かもしれないけど、転職したらどうだ」


パソコンを開こうとした手を掴まれる。顔を上げると、友悠はこちらを見つめていた。

笑って返そうとしたのに、あまりに真剣な表情をしていた為息を飲む。

「心配かけてごめんな。でも、まだ大丈夫」

「まだ、ってことはいつかはしようと考えてるんだろ? なら限界が来るのを待つ前に動いた方がいい。それは逃げじゃないよ」

良い環境に変えようとしてるんだから、むしろ攻めの姿勢だ、と言われた。


「そう。……そうだな。うん……」


ネクタイを外し、俯く。

友悠の言うことはもっともだけど、そもそも“限界”が分からない。俺はきっと、崖っぷちに足をかけるまで危険信号は出ないのだろう。

「案外負けず嫌いだよな、お前」

そんな俺の心中を容易く見抜くのも、やっぱり友悠だ。長年のカンというか、悪路へ流れる俺の性格を知りつくしてる。

「今の仕事を辞めたくないならそれでいい。でも、今日はもう寝るぞ」

「えっ?」

腕を引いて起こされる。彼の寝室に誘導され、あっという間にベッドに押し倒されてしまった。




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