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りんきおうへん!  作者: 七賀ごふん


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13/16

#13



陽だまりのような笑顔に、反射的に頷いていた。


( こういうところがな……悔しいけど、絶対敵わない )


後ずさりそうな時に、彼は必ず手を引いてくれる。

学生の時みたいに他愛もない話で笑い合って、ワインで乾杯した。

目の前の大窓から見える夜景は宝石を散りばめたように輝き、まるで別世界だった。


「改めて。二十六歳の誕生日おめでとう、弦美」

「ありがとう。何か照れるな」


夫婦や若いカップルばかりでソワソワしたけど、友悠が落ち着いてるから妙に安心した。

相変わらず心乱さないというか、周りの目を気にしない。そういうところも尊敬している。

「お前が誕生日のときは俺も良いとこ予約するよ。ここみたいに夜景が綺麗な店……あ、いっそクルーズとか? ジャズを演奏してくれるコースも良いな!」

「はは。嬉しいけど、もはやデートプランだな」

友悠はワインをあおり、口角を上げた。


「プロポーズする流れになりそうだ」

「あっ……た、確かに」


運ばれてきた料理を慎重に切り分ける。

友悠にプロポーズ。……したら、どうなるんだろう。


いや、考えるまでもない。長年築き上げた友情は一瞬で崩壊し、もう会うことはないだろう。

こんなに楽しい時間も手放すことになる。

暗くなって俯きかけたが、友悠はグラスを置き、俺のことを見つめた。

「場所なんてどこでもいいよ。お前が祝ってくれるなら」

あまりに淡々として、思わず聞き逃しそうになった。

食事する手を止め、慌てて彼の方を見る。


「弦美、昨日電話で言ってたよな。俺が幸せになれればいい、って。あれ聞いたとき笑いそうになった。俺も全く同じことを思ってたんだ。……ずっと昔から」


窓に映る自分達に目を眇めながら、友悠は愛おしそうに呟いた。

「だから、二人で幸せにならないとな」

「う……うん」

こんな時でも周りの空気を壊さないように気を張り、……頷いた。



友悠も俺の幸せを願ってくれている。それが分かってすごく嬉しい。

でも、会えるだけで幸せだと思わなきゃ。これ以上を望んだら、バチがあたる。


難儀だ。悋気なんて感じる体質じゃなかったとしても、俺は多分臆病な性格で。彼にプロポーズするなんてことはできなかっただろう。


世界で一番大事な存在。────だからこそ。


レストランを出て、ふと考える。

あと何年、こんな風に彼の隣を歩けるだろう。結婚すれば友人と遊ぶ機会は減る。友悠の周りは魅力的な女性がたくさんいるだろうし、いつ“終わり”が来てもおかしくない。


……本気で覚悟しとかないとな。

エレベーターの手前でスイッチを押そうとしたとき、不意に友悠のスマホが鳴った。


「あ。悪い、ちょっと出ていいか?」

「あぁ、急がなくて大丈夫だよ」




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