表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本再興機関ESPセクション ー虚空を超えてー  作者: 島田小里
第4章 憲人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/316

18.緊急出動②

 浦安までは克己の運転で4人揃って移動だ。


「4人でって、何だか久し振りね」


 るいざの言葉に、麻里奈が頷く。


「最近、なんだかんだとメンバーが多かったりバラバラだったりする事が多かったものね」

「憲人も居るしな」


 克己が言うと、麻里奈は唇を尖らせた。


「その言い方だと、憲人が悪いみたいなんだけど?」

「そりゃ考え過ぎだって。俺は事実を言っただけ」

「ふーん。とりあえずそれで納得してあげるわ」


 と、前方に複数の車が見えてきた。


「陸軍の車両だな」


 譲が言った。

 克己は、そちらに向かってハンドルをきる。


「ついて行けば間違いはないな」

「ああ」


 克己の言葉に譲が肯定を返す。

 陸軍の車両は護送車がメインで大きいため、かなり目立つ。


「あ、あそこじゃない? 合流地点」


 麻里奈が前方を指差した。克己とるいざには豆粒程の点にしか見えないが、透視能力を持っている麻里奈には、はっきりと見えるらしい。


「結構人数が居るわね」


 麻里奈が言うと、克己がもの珍しそうな表情をする。


「大掛かりなんだな」

「さすがにキャンプ地を作らせるわけにはいかないからな。陸軍の第一から第三部隊が出動していて、総指揮は大佐が取っている」


 譲の説明に、麻里奈が首を傾げた。


「大佐って偉いの?」


 その言葉に、るいざが答える。


「今の日再の軍事部門だと、結構上の方ね」

「へー」

「ひとまず、挨拶だけしてくるから、一度拠点で止まってくれ」


 譲は克己に指示すると、克己は言った。


「どうせ車を置いていかないとだろ?」

「それもそうか」

「つーわけで、ナビ頼む」

「OK」


 だんだん陸軍の拠点が肉眼でも見えるようになってきた。






 陸軍と合流し、克己、るいざ、麻里奈の3人は車で待機し、譲は大佐に挨拶、作戦の確認をすると、すぐに車に戻ってきた。


「早かったな」


 克己が驚いて言うと、譲はしれっと答えた。


「敵さんの体勢が整う前に攻めたいからな」

「今回の具体的な作戦は?」


 るいざが聞いた。

 すると、譲は少し考えて、ウィンドウを開いた。


「既に仮キャンプを建てられているらしい。そっちは恐らく作業メインの部隊だと思われる。克己、るいざ、麻里奈でテレポーテーションで中央から、建物破壊、及び戦力の無効化をしてくれ。相手の生死は問わない。俺はその奥の本陣へ特攻する」

「譲1人で!?」

「さすがにそれは無謀なんじゃ……」


 麻里奈とるいざの言葉に、譲が答える。


「残念ながら、俺のテレポーテーションの限界がそこなんだ。2人でだと、飛距離が届かなくなる。それに、るいざと麻里奈は俺とは別行動の方が効率が良いが、2人きりでとなると、いささか不安が残るからな」

「それは、まあ、そうなんだけど」


 克己のシールドが無いと、麻里奈もるいざも身を守る術が無くなる。


「能力のバランス的に考えた結果だ。俺も無理はしないから安心しろ」


 るいざが心配そうに譲に言った。


「気を付けてね」

「ああ」


 譲は頷くと、ウィンドウの左下を指で示す。


「克己たちはこのあたりに飛んでくれ。そこから、円形にぐるりと回って制圧。多分制圧する頃には陸軍も追い付いてくるはずだ」

「OK」


 次に譲は、中央やや右を指差す。


「俺はここに出る。恐らくボスが居ると思われる場所だ。そっちの制圧が終わり次第、おまえたちもここを目指して来てくれ。途中に兵士が居るから、くれぐれも気を付けて」

「わかったわ」


 麻里奈が頷く。


「建物の影や内部を見落とさないようにな」

「気を付ける」

「連絡はるいざにテレパシーでする」

「了解」

「俺は?」

「克己は女性陣に怪我をさせないように気を付けろ」

「OK。いつも通りだな」

「いざとなったら、3人まとめてテレポーテーションで逃げろ」

「そのくらい厳しい予想なのね」

「規模が読めないからな。逃げる手段は常に確保しておいた方が良い。――そうだ、能力妨害装置には気を付けろよ」

「あー。あったな、そんなものも」

「アメリカのは性能が良いからな。るいざが嫌な予感を感じたら逃げるくらいでも良いかもしれない」

「そう言われると緊張するじゃない」

「まあ、見つけ次第俺も破壊はするし、最悪、克己のシールドなら能力妨害装置を上回るだろうから、防戦していても良い」


 譲の言葉に、麻里奈が聞いた。


「もし克己のシールドが、妨害装置の出力を上回らなかったら?」

「その時は諦めるしかないな」

「……」


 思わずジト目で見た麻里奈に、譲が訂正する。


「冗談じゃなくて、そのくらい克己のシールドが頑丈ってことだ。それで無理なら、装置を壊す以外に方法はない」

「そうなのね。了解」


 譲がウィンドウを消すと、車を降りた。

 それを追うように、3人も車から降りる。


「どこから飛ぶんだ?」


 克己が聞くと、譲は何でもないことのように答えた。


「ここからだ」

「マジ? かなーり距離があるな」

「3人ならいけるだろ?」

「俺はな。むしろお前は1人でもこの距離いけんのか?」

「途中で力場を作って飛べば二回で行ける」

「便利だな、PK」


 こういう所に能力の種類と数の差が出る。

 克己は少し悔しそうな顔をしたが、すぐに切り替えて、一度屈伸をした。


「さて、それじゃ、行きますか!」

「ああ」

「了解」

「みんな気を付けて」


 るいざの言葉に頷くと、4人の姿がそこから消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ