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第300話 聖剣様と英雄様のデート

「、、あー、、」


隣の赤い顔のクリスをジッと見る


「なんだよ、、」


「おまえ、オレのこと好きなの?」


「っ!?

この!クソノンデリ男!」


ぶん!


グーで殴って来た


「おお!?」


上体を逸らしギリギリ避ける


「ごめん!ごめんって!」


ペコペコと頭を下げて許しを凝った

チラリとクリスの方を見ると、顔は赤いのに、拳を握りしめてぷるぷるしている


「、、、とりあえず、デート、するぞ

ノンデリ男」


「わかったって、ごめんごめん」


それにしても、

こいつの口からデートって単語を聞くとなんか、、

妙に意識するな、、

いや、考えないようにしよう、、


そして、ぷんぷんしてるクリスの横に並んで、

微妙な距離感を保ったまま、商店街までやってきた


すると、


「わぁ!聖剣様よ!!」

「ホントだわ!」

「きゃー!聖剣様ー!」


クリスのファンである多くの若い女性に囲まれることになってしまった

そりゃそうだよな、こいつ有名人で人気者だもん


キャキャっと黄色い声援に囲まれて、困り顔をしながら挨拶を返しているコイツのことを隣で観察する


てか、女になっても女性人気高いんだな

イケメンに人気が集まるのはわかるが、女になったことでファンは離れなかったのだろうか?

と、首をかしげていると、


「女性の姿もとても素敵です!」

「凛々しくって!お綺麗で!」

「お姉さまって呼んでもイイですか!?」


なるほど、お姉さまね

そっか百合学園とか通ったら確かにモテそうだ

と勝手に納得した


「聖剣様、今日はどのような御用でこちらへ?」


「え?あー、えっと、、」


チラ


オレのことを恥ずかしそうに見てくるクリス

そんな顔で見るの、、やめてくれ、、


「まさか、、」

「え?この方と?」

「たしかにそれなりに整ってはいるけど、、」


10人近くの女性に睨まれてしまう

オレがクリスにふさわしい相手なのか値踏みしているようだった


こわい、、


「お?おお!英雄ライじゃないか!

この前は荷物運び手伝ってくれてありがとよ!」


オレが怯えて縮こまっていると、大工のオッサンが横から声をかけてきた


「なんだって!英雄様がきてるのかい!またうちの店で食べにきておくれよ!」


恰幅のいい食堂のおばちゃんも笑いかけてくれる


「あー!ライだー!

えっとえっと、、

おまえの大切なもんはなんだー!言ってみろー!」


「こら!英雄様に失礼でしょ!」


母親に手を引かれた子どもがオレの真似をしてブンブン木の棒を振り回していた


「ははは、、大丈夫ですよ、怒ったりしませんので、、

ボウズー、あんまりオレの真似してると教皇様に怒られちゃうぞー」


クリスのファンから逃げるように、子どもの前に笑顔でしゃがみこんだ


「えー?教皇様は怒ったりしないよー?

英雄のくせにウソつくのかー?」


こ、このクソガキ、、


いつの間にか、クリスだけじゃなく、オレの方にもたくさんの町の人たちが集まってきてしまった

大通りに人だかりができる


「ははは、キミも大人気だね」


「オレの方には若い子がいないのが納得いかない」


「おい!あんちゃん!オレたちじゃ気に入らないってのか!?」


「そりゃそうだよ!

こんなおばちゃんたちに人気でもねー!」


「ははは!そりゃそうか!」


「それよりも!

英雄様と聖剣様のデートの邪魔をするのはどうなんだい!あんたたち!

こういうのは、遠目から見守ってやるもんさね!」


食堂のおばちゃんがそんなことを言い出す


すると、

「たしかになー!」

「イチャイチャしやがって!」

「最強カップルだな、、おっかねぇ」

「英雄だからって聖剣様にふさわしいのかしら、、」


なんてセリフが聞こえてきて、少しずつ人だかりが解消されていく


クスクス、ニヤニヤ笑っているおばちゃんたち、恨めしそうな若い女性たち、離れていくときの表情は様々だが、

一応、オレたちのことをほおっておいてくれる意思はあるようだ


「ふぅ、とりあえずこれで動けそうだな」


「だね、なんだか、みんな遠巻きにニヤニヤしてるのが気になるけど」


「そりゃ、おまえがそんな気合い入れた服着てるからじゃね?」


「そうかな?でも、可愛い、、んだろ?」


また、可愛いを求めてくる、クリス


「、、く、、」


また悪態をついてやろうかと思ったが、思いとどまる


リリィたちに怒られたばかりだし、

なによりコイツが悲しそうにしていた顔が心に残っていた


「か、、可愛いよ、、悔しいくらい、めっちゃ可愛い」


「、、の、ノンデリのくせに、、」


「褒めたんだから素直に喜べ!!」


「うるさい!」


「ひゅー!見せつけてくれるねー!」


「、、、」

「、、、」


オレたちのやりとりは、他の人からしたら初々しく映っているのかもしれない

そう思うとめっちゃ恥ずかしくなって、

2人して野次馬の目から逃げるようにそそくさと先に進むことにした



「とりあえず、僕の行きつけのカフェに行こう

そこなら、そんなに騒がれないだろうし」


「そっか、わかった」


ということで、クリスおすすめの小洒落たカフェにやってくる


入口の近くの棚には、かわいいティーカップがたくさん並んでいて、

3組くらいしか座れない小さい店だった


「あれ?このティーカップっておまえ使ってたよな?」


見覚えがあるティーカップセットが陳列されていた

クリスの執務室でお茶をいただいたときのものと同じもののように見える


「え?うん、そうだよ、よく覚えてるね」


「いや、男のくせに可愛い小物使ってるなーって、あのときもツッコんだだろ?」


「だから、女だってば、殴るよ?」


「いやいや、あのときは女だって、知らなかったじゃん

それに、こんなに美人だったなら、わざわざツッコマなかったし」


「美人、、」


「おい、照れるのをやめろ、、」


「だって、突然そんなこと、、」


「、、、」


「うふふ、聖剣様に春到来ね」


店主らしき若い女性が、レジで頬をついてニヤニヤ見ているのに気づいてしまう 


「、、とりあえず、なんか頼んですわろーぜ」


「そうだね、、そうしよう」


しばらくカフェでのんびりすることになった

店長さんがニヤニヤしながら運んできた紅茶を飲みながら、クリスと会話する


クリスから何度もノンデリノンデリとツッコまれるが、

女になったからと言って今更話し方を変える気にはなれず、いつものの調子で話し続ける

正直、こうやって気兼ねなくしゃべれる関係が心地よかった


「次はどこにいこーなー?

どこに行っても町の人に囲まれる予感がするけど」


「そうだね、まぁでも、こうなるのは予想済みなのさ」


「お?ということは次なるプランがあるんだな?」


「もちろんだ、僕に任せるといい」


「さすが生粋のレウキクロスっ子」


「はは、そうそうレウキクロスっ子の僕に任せたまえ」


「てか、レウキクロスっ子って語呂悪すぎないか?」


「はは、たしかにね」


笑い合いながら会計を済ませ、カフェを後にした



「町の中で遊ぶと注目されるので、町の外に出かけます」


ドドン!


カフェを出て歩きながら、ドヤ顔でクリスが言ってきた


「まぁ、そりゃそうなるだろうな」


「なんだよ?名案だろ?」


「いや、それ以外にないだろ」


「むかつく」


「すぐ怒る」


「うっさい、いくぞ」


「へーい」


ということで、ぷりぷりしてるクリスを追いかけて正門の方に向かった


次は、レウキクロスの外でのデートになるらしい

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