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第299話 女としての初めてのオシャレ

リリィとの結婚式の日取りが決まった


約2ヶ月後の祝日に執り行うと、

ユーシェスタさんが決めてくれたのだ


ユーシェスタさん曰く、

その日はアステピリゴスの建国記念日ということで、

結婚式を挙げるにはそれはもう縁起が良いのだと力説してくれた


結婚式の日取りが決まったので、妻たちは総出で準備に取り掛かっている


ドレスはどんなのがいいとか

会場の飾り付けはこうしたいとか

2次会の料理に何を出すかとか

楽しそうに議論していた


オレもその会議に混ざろうと思ったのだが、

なぜだか追い出されてしまう


「こういうのは女子がやりたいようにやるものです」

なんてユーシェスタさんに睨まれたら何も言えない


ただ、

その会議にクリスのやつが参加しているのが腑に落ちなかった


いや、別にいいんだけどさ

あいつが参加できるなら、オレだって混ぜてくれてもいいじゃん、、

と寂しくなる


「なー?ピーちゃん?」


「ピー?」


「なー?ぽかへい?」



自室でマスコットたちに話しかけるが2人とも首を傾げていた


やっぱ、ぼっちで寂しいときはコイツらに限るぜ

とか思いながら、2人のことを撫で撫でして、ボーっと窓の外を眺めていた


コンコンコン


「お?」


ドアがノックされたので立ち上がる


ピーちゃんとぽかへいを両肩にのせて一緒にドアの前までいき、ゆっくりと扉を開けた


ガチャ


「はーい」


「あんた暇よね?」


ドアを開けた途端、開口一番、ロリ魔法使いが腕を組んだポーズで偉そうに質問してくる


「暇だけど、だって会議に入れてくれないし、、」


「うじうじしつこいわね、暇ならこの後出かけるわよ」


「どこ行くの?」


「それは行ってみてのお楽しみよ」


「おお?デートってこと?」


「そうね」


「やった!張り切っていこう!すぐ行こう!」


「こっちにも準備があるから、30分後に玄関に来なさい」


「わかりました!」


「ぽかへい、ピーちゃん、おいで」


「ピー」

よじよじ


ソフィアにマスコットたちを没収されてしまったが、

オレは自室に戻ってウキウキでデートの準備を始めた


そういえば、最近家の中ばかりで過ごしてて、デートなんて久しぶりだなー♪


「ルンルン♪」


気分良く鼻歌を歌いながら着替えていたら30分なんてすぐにやってくる

オレは意気揚々と玄関に向かった



「、、、だれ?」


「なんだよそれ、、」


玄関に行くと、そこには見知らぬ美人さんが待っていた


そいつは、金髪でモデルさんみたいなスレンダーな体型で、

いつもは白い鎧を着ているのに、今日は全然違う装いだった


いつもはズボンのくせに、

今日は超ミニなプリーツスカートを履いていて

そのベージュのスカートからは細っそりとした太ももが見え隠れする


いや、違うな

ガッツリ見えている、生足だ

コイツの生足はじめてみたな

ふむ、、


あー、、

上も見てみよう


上には長袖のサマーニットセーター、白色だ


ベージュのスカートに白のセーターということで、すごく清涼感がある

こいつの金髪に似合った服装だと思った


そして、けしからんことにそのセーターの胸元は大きく開いていて、

胸の谷間に嫌でも目が言ってしまう


金色のネックレスには指輪が付けられていて

その胸元を飾っていた


「ごくり、、」


顔、顔は、、まぁいいや、、


えっと、足は生足で、、えっとえっと

黒のハイヒールを履いていた


どこからどう見ても、美人のお姉さんだった

く、クリスのくせに、、


顔、、顔ね、、

うん、赤と金のオッドアイはすごく目を引くし、顔は整ってる


肩口まで伸びたセミロングの髪は金髪で綺麗だし、

耳に付けてる赤い宝石のイヤリングも目と髪の色に合ってて素敵だ


うん、、素敵、、だ、、よ?


「、、、」


しかし、仲の良い友達の晴れ着を見た気分で、何も言えなくなるオレ

ようは、直視するのはこっぱずかしい気持ちになっていた


「なんか言えよ、、」


クリスがジト目で睨んでくる


クリスの後ろにいる嫁たちは、ニコニコしていた

なんなのキミたち、、グルなの?


「、、ま、、」


「ま?」


「馬子にも衣装、、」


「ぶっ殺す!!」


クリスが腰にぶら下げていたナイフに手をかける

形は変わっているがエクスカリバーだろう


「ば!ばか!

この家でエクスカリバーなんか抜いたら雷龍様にペチャンコにされるぞ!

落ち着けバカ!」


「バカバカ言うなバカ!」


「ん?

むしゃむしゃ

別に抜いても殺さんぞ?」


「あれ?」


フレンチトーストのようなものを貪りながら、雷龍様が不思議そうな顔をしてキッチンの方から歩いてきた


なんで?この前までめちゃくちゃ聖剣アンチだったじゃん、、


「だってさ、ぶっ殺してやる、この失礼男」


「まてまて!」


ナイフに手をかけたまま、ジリジリと近づいてくる美人、いやクリス


「クリスよ、本当にこのアホでよいのか?」

雷龍様がクリスに質問した


「え?な、ななな、なにを言ってるのですか?雷龍様?」


「ん?

それとクリス貴様、なぜさっきから怒ったふりをしてお、、むぐっ!?」


「おねえちゃん、ドーナツもあるわよ♪」


「むぐむぐ、、美味い!」


「あっち行きましょうね♪」


「もっと食わせろ!」


ステラと雷龍様が退場していった


「、、、」

「、、、」


雷龍様のセリフのせいで、微妙な、気まずい空気がおとずれる


そうか、こいつ、怒ってるふりだったのか、、

でも、なんで、、


「ねぇ、あんた、女の子がオシャレしてきたのに褒めることも出来ないわけ?

サイテー」


「え?」


ソフィアの方を見ると、腕を組んで、オレのことを軽蔑した目で見ていた

ゴミを見る目だ


そんな!?そんな目で見ないで!!


「おにいちゃん、、ひどいよ、、」


ミリアはうるうるしていた


「ちがうんだ!ミリア!」


「なにが違うのかのう?

おぬしのためにクリスがおめかしたのじゃぞ?

おぬしとデートするために」


「で、デート?

おまえとオレが?ははは」


つい、冗談だろ?という意図で鼻で笑ってしまう

いつもこいつと話す調子で


「、、、」


しかし、想像した反応とは違うものが返ってくる


だよな!僕とキミがデートなんてな!

みたいなことは言われなくて、

ぐっと下唇を噛んで悲しそうな表情で下を向かせてしまった


「あっ、、」


まずいことを言った、とすぐに気づく


「ライ様」


「はい!」


リリィの暗い声で姿勢を正した

リリィの顔は笑っているのに、目は全然笑っていなかった


「クリスさんと、ちゃんと向き合って、女の子として扱ってあげてください」


「は、はい!

で、でも、、」


「でも?」


「いえ!なんでもありません!

あー!クリス!」


「、、、なんだよ?」


チラッとオレの方を見るクリス

まだ、悲しそうな顔だ

ダメだ、挽回しないと!


「きょ、、きょきょきょ!

今日のおまえはめっちゃ可愛いぞ!

ばーか!」


「ば、ばかってなんだ!ライのクソバカ!!

可愛いってだけ言え!!」


「そんなこといきなり言えるか!恥ずかしい!」


「恥ずかしいとか言うな!僕の方が恥ずかしいんだ!」


「ねぇ、、

あんたたち、もうデート行ったら?

ごちゃごちゃごちゃごちゃ鬱陶しいんだけど?

結局、あんたたち、お互いのことめちゃくちゃ意識してるじゃない

はい!さっさと行く!」


パン!

とソフィアが両手を叩いてから、オレたちの背中を押した

そのままお屋敷の外に追い出される


「今日は、暗くなるまで帰ってきてはダメですよ

しっかりデートして来てくださいね」


笑顔のリリィに圧をかけられた


「あの、、みんなは、いいの?」


「もちろんです、わたしたちで計画したことですので、

いってらっしゃいませ」


ヒラヒラと手を振るみんなに送り出されて、屋敷の前の道路で立ち尽くす


隣のクリスは、ハイヒールの靴のつま先を地面につけてモジモジしていて、

なんだか頬も赤いような気がして、なんて声をかければいいのかわからなくなる


だから、つい、軽口を叩いてしまった

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