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第297話 金髪シスターの昔からの夢

「なにかな?クリスくん」


オレは、玄関を開けるとドア枠に片腕をもたれかけ、キメ顔で金髪オッドアイ女に話しかけた


「なんだよ、その顔、うざいな」


「うざいとは失礼だな、クリスくん」


「くん呼びやめろ、僕は女だ」


「はいはい

ところで、ユーシェスタさんと一緒とは珍しいですね?」


クリスの斜め後ろには、ユーシェスタさんも立っていた


何の組み合わせだ?


「聖剣様とは、たまたまそこでお会いしただけで、私たちの要件は別々です」


「そうなんですね?とりあえず中にどうぞ」


2人を招き入れ、またリビングにてお茶を出してもらい、話し出した


「それで、ご用件は?」


「聖剣様からどうぞ」


「いえ、僕は遊びに来たようなものなので、ユーシェスタ枢機卿からどうぞ」


「そうですか?それでは失礼して、リリィ」


「はい、なんでしょうか、おかあさん」


「ライ」


「え?あ、はい」


なぜか、わざわざ1人ずつ名前を呼ぶユーシェスタさん


「あなたたち、結婚式を挙げなさい」


「けっ、こんしき?ですか?」


「そうです」


「結婚式、、」

「結婚式、、」


リリィと、そしてクリスも何故か神妙な顔をしていた


「えーっと、なぜまた急に?」


リリィはすでにオレのお嫁さんなのに、という気持ちで質問する


「それは、私が認めた相手とは、娘と正式に結婚式を挙げさせると決めていたからです」


「なるほど」


「それになりより、結婚式はリリィの夢でもあります」


「え!?そうだったの!?」


聞いたことがなかったので、リリィに向き直る


「は、はい、、その通りです、、」


「そんな!!

すぐ挙げましょう!!

いつがいいですかね!?

縁起のいい日とかってあるんでしょうか!?」


リリィにそんな夢があったなんて知らなくて、焦ってしまう

すぐに叶えてあげたい

という気持ちでいっぱいだった


「落ち着きなさい

日取りや会場の準備は私が主導で行います」


「オレも手伝います!」


「結構です」


「なんで!?」


「邪魔だからです」


「ひどい!」


「いいから落ち着きなさい

結婚式はクロノス教のしきたりに則って行います

クロノス教に詳しくないあなたがいても邪魔なだけですから」


「な、なるほど、、」


「結婚式、、」


クリスはまだ難しい顔?というか落ち込んだような顔をしていた

なんだこいつ


「あー、、えっと、それでいつにしますか?式の日取りは」


「それはこれから詰めていきます

あなたたちの都合はどうですか?」


「基本的になにも予定はないですが、

リリィは?」


「わたしも、いつでも大丈夫です」


「それでは、また後日詳しいことを決めていきましょう

今日はそれだけ伝えにきましたので、これで失礼します」


「わ、わかりました

リリィの夢のこと、教えてくれてありがとうございます」


「夫でしたら、もう少し妻のことを知っておくべきですね」


「そんな!わたしが言わなかっただけです!おかあさん!」


「では、妻として旦那に自分の要望を伝えるべきです」


「もう、また、そんな意地悪な言い方して、、」


「こういう性格ですので、ではまた来ます」


言いながら席を立ち、リリィの見送りでユーシェスタさんは帰っていった


「んで?おまえはなにしに来たの?」


暗い顔で紅茶のカップをいじいじしてる聖剣女に話しかける


「え?」


「いや、え?、じゃなくて」


「あ、ああ、、ちょっとみんなに相談があってね」


「なんだよ?」


「キミじゃなくて、キミのお嫁さんたちに?」


「なんで?なに相談する気だ?」


「ひ、ひみつ、、」


「また秘密かよ」


「今度はキモいって言わないんだ?」


「まぁ、女だし」

いつかは、男の秘密はキモい、なんて言っていたような気もする


「そっか、、

僕はキモくはないってことだよね?」


上目遣いで見つめられて、ちょっとドキっとしてしまう


なんだコイツ、クリスのくせに


金髪で、オッドアイで、宝塚系美人で、

ちょっとスタイルがモデルみたいだからって

く、クリスのくせに、、


「あー、、そりゃ、、キモくはないな、、」


「じゃあ、、可愛い、かな?」


「、、は?」


「っ!?

なんでも!なんでもないよ!」


あわてた様子で両手を前に出し、ぶんぶんとやり出した


「おまえ、マジでなんなの、、」


オレは片肘をついて頬をのっけて顔を逸らした


クリスは下を向く


「、、、」

「、、、」


お互い黙って、相手のことをチラチラと伺っていた

なんだか気まずい


「ライ様?クリスさん?

どうかされたんですか?」


オレたちが変な空気になって黙っていると、リリィが玄関から戻ってきた


「ああ、なんかクリスの様子が変でさ、、」


「なんだコイツ

またマシな人間がきたと思ってきてみれば、クソ聖剣を持っておるではないか

ライよ、コイツを追い出せ

シッシッ」


話の腰をめちゃくちゃ折って雷龍様が登場する


片手に巨大肉まんを持って、頬張りながらクリスのことを睨んでいる


「ちょっとおねえちゃん!お客さんに失礼なこと言わない!」


ステラが遅れてやってきて雷龍様を注意してくれる


しかし、ギャーギャーと反論を始め、

ステラのことを無視した雷龍様が

「このクソ聖剣を追い出せ」

と何度も連呼する


どんどん声が大きくなっていった


その騒ぎを聞きつけて、

みんながぞくぞくと自室から顔を出し、リビングに全員が集合した


「我は聖剣が嫌いなのだ!

だからコイツを追い出せと言っている!」


「雷龍様!クリスは仲間なんだよ!そんなこと言わないで!」

「ピー!」


「む?」


「クリス、、ちゃんは、、強くてて、、優しい、子だよ?」

こくこく

ぽかへいも頷く


「むむ?」


「お菓子、お預けにするわよ」


「ひどい!

我は聖剣が嫌いなのだ!嫌い嫌い!!」


雷龍様が地面にころがり、バタバタと駄々をこね出してしまった

味方が誰もいなくて悲しいのかな?


それにしても聖剣に対するこの過剰反応

なにか恨みでもあるのだろうか?


「あの、雷龍様

僕は聖剣の使い手ですが、雷龍様と敵対する気は微塵もございません

それに、雷龍様の眷属の皆さんととても仲良くさせてもらっています

ここにいることをお許しいただけないでしょうか?」


ずっと静観していたクリスが

雷龍様の前に跪いて丁寧に言葉を発した


「むむむ、クソ聖剣の持ち主にしては話が通じそうなやつだな

しかし、クソ聖剣を振り回してるやつはだいたいクソ人間だったからのう、、

我の前ではその剣を絶対抜くなよ?」


「もちろんです、雷龍様」


「もし抜いたらぶち殺してやる」


「重々承知しておきます」


「そうか、では滞在を許可しよう」


「ありがとうございます、寛大なお言葉感謝致します」


「うむ!」


「別におねえちゃんの家じゃないんだけど」


「許可してやったんだからなにか甘い物を作れ!」


「めちゃくちゃね、、このアホドラゴン、、」


「アホとはなんだ!」


「はいはい、、」


ステラが呆れ顔でキッチンに姿を消し、

角を生やした幼女が嬉しそうに後についていった


もはやいつもの光景だった


「えーと、とりあえず滞在の許可もらえてよかったな?」


「うん、そうだね」


「で、なんだっけ?

オレじゃなくて、みんなに相談があるんだっけ?」


「そ、そうだね、、」


「わたしたちに?なによ?」


「あの、ライがいないところで、いいかな?」


「なんだおまえ、オレの嫁たちに変なこと吹き込む気か?」


「そんなわけないだろ?」


「んー?」


「あんた邪魔だから部屋に行ってなさい」


「ソフィアたん、ひどい、、」


「話進まないから、シッシッ」


「しゅーん、、」


「、、まぁ、ここは大人しく引き下がるのがカッコよいと思うぞ?

わしの夫は大人なはずじゃしのう?」


「おにいちゃん、、おんなのこ、同士の、、おはなし、、きいたら、、めっ」


むむ、、

今度はクリスじゃなくてオレが追い出される展開になってしまう


しかしオレは、ティナが言うように、大人だ

ここは大人しく引き下がってやろう


そう、オレは大人だからね


「じゃ、じゃあ、オレはお部屋にいきますけど?」


「さすが大人な旦那様じゃ」


ティナの言葉を聞き

「うんうん」

と頷きながら、オレは席を外してやることにした


あくまでこれはオレが大人だから、仕方なくクリスのことを気遣ってやっただけだ


べつに、、

もじもじしながらオレのことを見つめてくるクリスを見ていると

なんか、女を意識させられて、、

気まずかったから


というわけではない

うん、違う

絶対違うんだからね!


オレは謎の言い訳をしながら自室に引きこもることにした

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