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第280話 リューキュリア騎士団

「やっぱりステラのご飯は最高だなー

それに、みんなで食べるご飯が1番美味い」


オレはリリィに膝枕してもらいながら、夕食の感想を満足気につぶやく


そんなオレの頭をリリィが優しく撫でてくれていた


ちなみにオレの左腕だが、まだ動く気配がない

ぷらぷらして鬱陶しいので、首から布を垂らして固定することにした

完全に骨折した病人状態である


「この腕いつ動くんだろー」

なんて言おうものなら、リリィが

「わたしのせいで、、」

と悲しい顔をすることはわかっていたので、黙っておく


というか、オレの腕のことよりも、みんなに聞くべくことがあったな


「ねぇ、ジャンたちが助けにきてくれたの?」


クリスが話していたことを思い出し、みんなに質問する

たしか、リューキュリア騎士団が助けに来たとかどうとか、あいつが言っていた


「はい、サンディアさんのアイデアで途中で森に入り、

リューキュリア騎士団の皆さんに同行してもらいました」


「へー、よく説得できたね」


「ふふん!それはねー!」


ソフィアが自慢気に話し出したので、

ここまでの経緯を大人しく聞くことにした


♢♦︎♢


-ライがリリィを助けに向かった数時間後-


「オニキス!アルテミス!がんばって!」


「ヒヒン!」

「、、、」


オニキスがコハルの呼びかけに任せろと言わんばかりに答えた

アルテミスは黙々と走り続ける


何時間も全速力で、しかも馬車を引いた状態で走らせている

普通の馬なら、もうとっくに動けなくなるはずだった


「2人とも!すまぬ!もう少し頑張ってくれ!

家族の!家族の危機なのじゃ!!」


ティナが手を合わせて精霊に2匹を補助させる

しかし、その効果も限界が近いようだった


「皆さん!少しよろしいでしょうか!」


サンディアが御者の2人にも聞こえるように声をかけた


「なんですか?」

ステラが答える


「このまま我々だけで向かっても危険です!

なにより戦力が足りません!」


「そんなこと関係ありません!」

ステラは怒りをあらわにした


「待って!聞いてください!

なので!我が国の騎士たちをリューキュリア騎士団を連れて行きましょう!」


「そんなこと!できるのかのう!?」


「私が必ず説得します!!

魔導師も何人かは連れて行けます!!

それで100人以上は戦力が増えるはずです!」


「だけど!森に入ったら馬車は使えない!もっと時間かかるよ!」

とコハル


「それは!、、全力で走ります!!」

折れないサンディア

彼もなんとか力になりたいのだろう


「ヒヒン、、」


みんなの会話を聞いていたのか、アルテミスか小さく鳴く


「ヒヒン」

会話するようにオニキスが鳴いて、ゆっくりと馬車は停車した


「オニキス!?アルテミス!?

、、そっか限界だよね、、ここからは走るよ!!」

コハルがみんなに声をかける


もう少し、走れば1時間ほどでレウキクロスに着くはずだ

オニキスとアルテミスは本当に頑張ってくれた


「ヒヒン、、」


「待て、コハル」


コハルが走るために、馬車から降りる

しかしティナがコハルを止めた


「アルテミス、なんじゃ?」


アルテミスがオニキスと馬車を繋ぐ紐を引っ張る


「外せということか?」


「ヒヒン、、」


そうだ、と言っているようだった

なので、その通りにする


すると、オニキスはゆっくり街道を外れ、草むらに膝をついて寝転んだ

荒い息でぐったりとしている


「ごめん!ごめんね!」

コハルが桶を取り出し、水を注いでオニキスの顔の前に置いていた


そして、アルテミス

アルテミスには不思議な変化が起きていた

白馬の背中に中級精霊が入り込んでいく


「これは、、一体なんじゃ、、」


そして、アルテミスの胴体から透明な翼が生えてきた


「アルテミス、、おぬし、、」


「ヒヒン」

早く馬車に乗れ、コハルにそう言っているようだった


「コハル!馬車に!」


「うん!」


コハルが馬車に戻ると、アルテミスはすぐにバサバサと羽ばたき始め、

馬車にもなにか魔力が働いたかと思うと、馬車ごと空に浮き出す


「浮いてる、、いや、、飛んでる?」


そして、森の方に方向転換し、森の上空を進み出した


「我らのキャンプ地に向かっているのですか!?」

サンディアがアルテミスの意思に最初に気づく


「そうなのじゃろうか?」


「ええ!この方向はおそらく!」


「きっと詳しい位置はわからぬはずじゃ!おぬしが御者をやれ!」


「わかりました!」


コハルとサンディアが交代し、サンディアが指示を出していると、

あっという間にウチナシーレの人たちの避難キャンプ地にたどり着いた


空飛ぶ馬車が地面に降り立つと、騎士たちに囲まれる


「私です!サンディアです!ジャン騎士団長はおられるか!?」


「なんだ!何事だ!これは!!」

騎士たちをかきわけて、ジャンが前に出る


「団長!すぐにレウキクロスに救援を出していただきたい!」


「どういうことだ!まずは説明しろ!」


サンディアは、騎士たちが周りにいる中、あえて聞こえるように大声で話していた


「レウキクロスがあいつらに!オークの群れに襲撃されています!」


「なんだと!?」


ザワザワと騎士たち、それに避難民たちが騒ぎ出す


「だから!すぐに支援を!」


「なんでだ!同胞を殺したやつらを助ける必要はない!」

騎士の1人が声を上げる


何名かがそれに同調するような顔をする


「そうではないでしょう!

オークどもは我が国の仇!討つなら今です!!」


「それは、、しかし、、」

「アステピリゴスなんかのために、、」


騎士たちが悩むような仕草を見せる


「それにです!

戦うのはレウキクロスのためじゃなくていい!!」


「それはどういう意味だ!サンディア!」


ジャン団長もサンディアに合わせて大声で話す

騎士たちに聞けと言わんばかりに


「今!レウキクロスには!

ライ殿が単身で向かっています!!

我らに食糧を恵んでくれた冒険者のライ殿が!

みんなも気づいていたでしょう!

エポナ様なんていない!

この人はエルフの王族だ!

神様じゃないんだ!」


後ろの馬車の荷台に立っているティナを指してそう言った


また、ザワザワと騎士と民衆が騒ぎ出す


「私はライ殿に問いました!

これほどの量の食糧!一体いくらしたのか!?

なぜそこまで我々に救いの手を差し伸べてくれるのか!?

そしたらなんて言ったと思いますか!

友達のため!!

そう言ったんです!

友達の両親や家族が!

苦しんでるのを見たくない!

そう言ったんです!

私は震えました!

友のためにそこまでのことができますか!?

私には無理です!!

でも!!

その恩には報いたい!!

みんなは!!

みんなはどうなんですか!?

もらってばかりでいいんですか!!

私は!友を助けたい!!

みんなで助けに行きましょう!!」


「、、、」


ザワザワが小さくなっていく


騎士たちの表情が変わっていくのが見て取れた


「僕は!僕は行きます!!」

リョクが短剣を抜いて声を上げた


「弟には俺が付きます!父上!!」

ユウも続く


「、、みな!よく聞け!

ライ殿は!我が息子たちを友だと言ってくれた!

先ほどのサンディアの言葉は真実だ!

俺も!同じ言葉を聞いて頭を下げた!

俺は!あのお人好しを助けたい!

そして!

できるならば!

あの男のように!優しくなりたい!

おまえらはどうだ!!」


「、、、」


「リューキュリア騎士団は!

誇り高き騎士団!!

戦うのは!!誰のためだ!!

答えよ!!」


「友の!!家族の!!隣人のためだ!!」

何人かの騎士が声を上げる


それに同調するように何十人もが剣を抜いた


「俺の気持ちに同調してくれた者だけで構わない!

俺は友を助けにいく!!

我に続け!

騎馬用意!!

出撃だーーー!!!」


「うぉぉぉぉ!!!」


ジャン団長の号令に呼応して、殆どの騎士が立ち上がった


そして、サンディアを慕う数十人の魔導師も続く


「皆さんにも馬を!」


「はっ!」


そして、ライの家族たちにも馬が与えられた


「2人1組になりますが!すみません!」


「十分じゃ!ゆくぞ!」


アルテミスには、ティナ

与えられた2頭に

ステラとミリア

コハルとソフィアがそれぞれまたがった


リューキュリア騎士団はこうして出撃した


100名あまりの屈強な騎士団が騎馬に乗って森の中を駆ける


騎馬に騎乗しているのが、リューキュリア騎士団の本来の姿であった


以前レウキクロスに来たときは、敵意を見せないように徒歩で赴いたのだ


しかし今は有事、戦いに向かうとき


彼らは本来の騎士団の姿で、戦場へと馳せ参じる


こうして、30分もしないうちに森を抜け、レウキクロスにたどり着いた


血みどろの正門に向かい、そのまま町の中に入り込む


「前方にオーク3体!蹂躙しろー!」


「うぉぉぉぉ!!」


騎馬隊の突撃で斬り刻まれ、無惨に踏み潰されていくオーク


下位のオークなど相手になるはずがなかった


「負傷者を見つけ次第保護!救命を優先しろ!」


ジャンの声に呼応し、リューキュリア騎士団は、聖騎士も民衆も分け隔てなく助けていく


避難所の場所を聞き、クロノス神殿へ助けた人たちを連れて行く


そしてまたすぐに出撃した


そんな彼らをレウキクロスの人たちが受け入れないはずがなかった


血まみれになりながら、大声で救いの手を差し伸べてくれる彼らに

レウキクロスの人たちは涙を流して感謝を述べていた

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