第28話 パーティになれた日
翌朝
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ソフィア・アメジスト
好感度
50/100
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おぉ、もう半分まできたか
かなり順調だな
日課の攻略スキルを眺めるとソフィアの攻略が上手くいってることが確認できた
じゃあ、昨日のアドバイス通り、ソフィアから何か相談されるまではモンスター討伐をこなしますか
そう決めて、今日もオレたちはギルドに向かう
お昼前にギルドに行くと
入口の扉を入ったところでソフィアを見つけることができた
腕を組んで立ちながらキョロキョロしている
オレたちを見つけると
あっ!
と少し嬉しそうにしたあと、
ふんっ!
とそっぽを向く
待っていてくれたのだろうか?
ソフィアに近づき、
「おはよ」
と声をかける
「お、おはよう」
腕組みのポーズを崩さず、挨拶が返ってくる
「お昼もう食べた?」
「まだよ」
「じゃあ、また一緒に食べない?」
「いいわよ!」
なんだか嬉しそうだ、表情はむっとしていたが声色からそう感じることができた
もしかして、お昼を一緒に食べるために待っててくれた?
そう思うとニヤニヤしてしまう
「、、なに、ニヤニヤしてるのよ?」
おっと、まずいまずい
「いんや?さっ、売店いこうか」
誤魔化して、売店に軽食を買いに行く
待合所でお昼を食べながら、今日のモンスター討伐は、初日に挑んだベアウルフにしないか?
と相談した
1匹の報酬が高いから効率がいいのと
サンダーラビットほど素早くないから魔法を当てやすいからだ
と説明する
ソフィアもリリィもその考えに同意してくれて、今日からはベアウルフを討伐することに決まった
♢
3日目の討伐は、かなり順調に進んで8匹のベアウルフを狩ることができた
基本的にソフィアが戦闘開始と共に大技をぶっ放すので、まずはオレがそれを避ける
モンスターに命中すればよし、
当たらなかったり、致命傷じゃなければオレが突撃するという流れだった
ソフィアは、毎回使う魔法を変えていたが、なんとか避けることは出来ていた
相変わらず、ノーコンというか、なんというか
オレすれすれのコースでモンスターを攻撃するもんだから、結構こわいと言えばこわい
特に、風魔法のウィンドブレードは、複数の刃がそこら中から飛んでくるので避けるのが難しい
でも、服にかする程度でダメージは負わなかった
だから、個人的にはモーマンタイだ、問題ない
しかし、必死に避けるオレを見て、
リリィが心配そうにしてたのと、ソフィアが気まずそうにしてたのが唯一の問題ではあった
そんなこんなで、3日目のモンスター討伐は終わり、
ギルドに帰って報酬を受け取る
ベアウルフの報酬は1匹5000ルピーの8匹なので、4万ルピーを受け取り、
例のごとく、2人にレディファーストだと言って1万4000ルピーずつ渡した
オレの取り分は1万2000である
「、、、ありがと、また明日」
報酬を受け取ると今日は素直にお礼を言ってくれて、穏やかな足取りでソフィアは帰っていった
♢♦♢
それから3日間は同じ調子でモンスター討伐の日々を過ごすことになった
お昼を3人で食べ、ベアウルフを討伐
倒せる数は遭遇できる数によって変わったが、5から10匹くらいは毎日倒せていた
例によって、報酬が3等分できなければ女性陣に多めに渡すことにする
ここまででソフィアの好感度は
59/100
まで上がった、微増といった具合だ
そんな感じでソフィア攻略に取り組んでいると、
7日目の討伐依頼に向かう森の手前でソフィアが話しかけてきた
「あのさ、ちょっといい?」
「ん?どした?」
ソフィアから話しかけてくるなんて、珍しいことである
「あの、あんた、わたしと一緒だと戦いにくいでしょ?」
「え、、、そんなことないよ?」
若干、間が空いてしまう
「うそ、、それくらい、わたしにも分かるわよ」
怒るわけでなく冷静に話を進める
「それでね、どうすれば、あんたが戦いやすいのかって考えて、色々魔法を試してたんだけど、よくわからなくて、、」
ソフィアがモンスターと遭遇するたびに魔法を変えていたのは、そういった理由があったようだ
ソフィアなりに気を遣ってくれていたと知り、すごく嬉しくなる
まぁ結果は伴ってなかったけど
「だから、、どうやって戦えばいいか、みんなで相談しない?」
「、、、」
ジーン、、
「なによ、なにか言いなさいよ、、」
はっ!?
嬉しくてフリーズしていた
「わ、わかった!みんなで考えよう!」
ここで、攻略さんからのアドバイスがこのことだと思い当たる
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ソフィアから相談されるまではモンスター討伐を続けろ
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つまり、相談されたら一旦モンスター討伐はやめて真摯に向き合えばいい
きっとそういうことですよね?
「、、、」
相変わらず、攻略さんは答えてくれなかった、いけずである
とりあえず、オレたちは森に入るのを一旦やめて、木陰のあるところで作戦会議をすることにした
みんなで円になって座って話し合う
「今のオレたちの戦い方を整理すると、
戦いが始まるとソフィアが上級魔法を使って、当たらなければオレが前に出る
ってケースが多いよね?」
「そうね」
「はい」
「んで、問題なのは、
オレが前に出るタイミングがソフィアの魔法次第だから難しいのと
ソフィアの魔法が当たるか当たらないか分からない
ってことだと思うんだ」
「でも、魔法が当たるかは打ってみないと分からないわよ?」
「いや、絶対に当たるタイミングで打てばいいんだよ」
「そうは言っても敵は動くじゃない、、
あっ!動きを止めればいい?」
「そう、敵が止まってれば絶対当てれるよね?」
「うん、そこは任せて」
「じゃあ、まずはオレが敵の足を止める」
「そこをわたしが狙い撃つ」
「うん、どうかな?」
「たしかに、上手くいけば面白そうね」
ソフィアは納得してくれた
「あと、リリィ」
「はい」
「戦闘中にもソフィアにMP回復魔法を使ってくれないかな?」
「、、、」
「リリィがオレのことを心配してくれてるのは嬉しいし、
ソフィアの魔法がオレに当たりそうになった後、ソフィアに対して回復魔法をかけたくない気持ちがあるのもわかってる」
実際にかけないことも何度もあった
「でも、今日、ソフィアはちゃんとオレたちと連携を取ることを考えてくれてたってわかったよね?」
「、、はい」
「それに、今話した作戦ならオレがソフィアの魔法に当たることはない
なら、安心できるよね?」
「、、、」
リリィは答えない
まだ気になることがあるようだ
「、、、あの、、ライ、リリアーナ
、、、今まで迷惑かけて、ごめんなさい
今日からは2人に合わせれるように頑張るわ」
そう言って、頭を下げてくれた
ソフィアがオレたちの名前を呼ぶのは初めてのことだ
「うん!大丈夫!一緒に頑張ろう!
リリィは?」
「ふぅ」
とリリィが息を吐く
「はい、わかりました、ライ様の言う通りに致します
ソフィアさんも、ちゃんと謝罪してくれましたし、今までのことは忘れることにします」
「2人とも、、ありがとう!」
暗い顔をしていたソフィアは、やっと笑顔になってくれた
そういえば、ちゃんと笑ったところは初めて見るな
ジーと見てしまう
「なに、見てるのよ?」
「え?笑顔が可愛いな、と思って」
「っ!?変態!!」
「え?なんで!?」
「ライ様は変態かもしれませんね」
「リリィまで!?」
そこまで言って、オレたちは誰からともなく笑い出した




