第277話 命を懸ける
金髪のシスター服をきた女の子が
たくさんの人たちを守って結界を張ってる姿が
たしかに
見えた
「ライ、、様?」
リリィがオレを見て、そう言った
聞こえた
「き、、キルーーク!!!!」
バーン!!
数十の落雷がオレに落ち続ける
痛みなんてない
オレの、オレのリリィが生きてる
だったら、こんなところで終われない
絶対助ける
「瞬光!!」
オレは今までで1番の速度で吹っ飛んで
そのまま、やつの左腕を叩き斬った
「ガァァァァ!?」
断末魔が聞こえる
それを無視して教会の中に飛び込んだ
リリィがいた、そこに、たしかにいた
結界を張って汗だくになりながら両手を前に構えるリリィ
その周りを3匹のオークが取り囲み
結界を斧で攻撃している
そいつらをすぐにバラバラに斬り刻んだ
「はぁはぁはぁはぁ、、」
リリィの荒い息が聞こえる、生きている
すぅっと結界が消えて、リリィの姿が鮮明になった
幻じゃなかった
「ら、ライ様、、どうして、、」
どうしてここにいるの、とリリィは泣いていた
「リリィ、、」
「はい、、」
「キミのことはオレが守る
安心して待ってて」
にっこりと笑顔で語りかけた
「はい、、信じております、、信じて、、うう、、ライ様、、」
リリィは、
オレのリリィは綺麗な顔を涙でいっぱいにしていた
こんなに可愛いリリィを苦しめたこいつらを許さない
オレはキルクを強く握りしめて、教会の外に飛び出した
「ぎ、ぎぎ!貴様ー!!」
片腕を斬り飛ばされた巨大オークが怒りを露わにして斬りかかってくる
オレはそれを受け止めて、弾き返した
「なんだおまえ〝は!?さっき〝までは雑魚だったくせに!!」
「雑魚はテメーだ!クソ豚ヤロー!」
ぜぇぜぇいいながら虚勢を張る
もう、声を出すのも苦しい
息をするのだって
さっきから肺が燃えるように痛い
口の中から身体がコゲるような臭いがしていた
でも、止まらない
ぶち殺す
目の前の障害を
厄災を破壊する
絶対に負けない
そう思い、剣を振り続けた
しかし、やはり魔力は無限じゃない
また身体強化の衰えを感じた
「死ね〝ー!!」
やばい、エリクサーはもうない
受けたら死ぬ
ザクッ
肉がえぐられる音が聞こえた
しかし、えぐられたのはオレじゃない、やつの右腕に剣が突き刺さった
「僕は、、まだ、負けてない、、」
クリスが壁にもたれかかったまま、エクスカリバーを投げてくれたのだ
「グァァァ!!この〝死に損ないがぁー!!」
クリスに突進しようとするやつの剣を受け止めてガンガンと打ち返す
なんとか打ち負けてはいないが、これだとジリ貧だ
あと一歩
なにかあと一つあれば、、
「キルク!!」
さっきから何度も声をかけているが、答えてくれない
落雷ももう落ちてこなかった
「くそ!!」
そこに
「ライ殿に加勢せよ!勇敢なるクロノス教魔道師団!!」
何十人もの魔導師が、教皇主導のもと大通りに現れた
「雷を!!全部よこせー!!」
「ライトニング!!」
「ライトニング!!」
先ほどまでの戦闘を見ていたのか、すぐに察した数十人の魔導師たちがオレに対してライトニングを解き放った
オレの角が復活する
「もういいか?」
「コ〝イツ!?」
やつの剣をよけ、接近する
斬りつけるが、まだ足りなかった
だから、オレは咄嗟に目に入った武器に左手を伸ばす
握った瞬間、左腕から激痛が流れ込む
「ぐっ!?
おまえも力を貸せ!エクスカリバー!」
やつの腕から無理やり引き抜いて、キルクとエクスカリバーで斬り込んでいく
エクスでやつの剣を受け、キルクで右手首を斬り落とす
やつの剣が地面に転がる
次に、股ぐらに潜り込んで、両足をキルクとエクスで斬り取った
やつが膝から地面に転がった
ズリズリと身体を引きずって、あろうことか逃げようとする
頭の前に立って、2本の剣を突き立てた
「た〝、た〝ずげ、、」
「死ね」
ザク
キルクとエクスカリバーが
オークの頭蓋を貫通していた
引き抜き、キルクで首を落とす
そして、繋がったりしないように蹴り飛ばした
「焼却しろ」
魔導師に声をかけて、左手から力を抜く
いや、いつの間にか力が抜けていた
左腕に力が入らない
カラン、とエクスカリバーが地面に落ちる
オレはふらふらと教会に向かって歩き出した
教会の前でクリスと目が合う
「おまえ、死にかけじゃん、、」
「キミもね、、」
「、、死ぬなよ」
「あぁ、、」
それだけ声をかけて教会の中に入る
目の前の最愛の女のところに向かって、
ふらふらと歩いていく
「リリィ、、」
「ライ様!!」
オレを見るとすぐにリリィから駆け寄って来てくれて、抱きしめてくれた
そこで全身の力が抜ける
ガクッと
2人して膝をつく
「リリィ、、無事?」
「はい、、はい!無事です!
ライ様はこんな、、こんなになって!
ヒール!!」
ボロボロと泣きながら、必死に回復魔法をかけてくれる
「こんな!こんな無茶をして!ライ様!左腕が!?」
焦るリリィの声が、体温が、すごくオレを安心させた
「、、ねぇ、、リリィ、、」
「はい!はい!なんですか!?」
「リリィは、無事?」
「はい!わたしは無事です!生きてます!」
「ひ、、ひどいこと、、されてない?」
「はい!ライ様のおかげで!わたしはライ様にしか触れさせません!」
リリィが無事だった、それを知って、なにもかもが軽くなっていく
「よ、、よかった、、あのね、、リリィ、、」
「はい!目を!目を開けて!気をしっかり持って!ライ様!」
「リリィ、、オレさ、、ぐ、、
ぐすっ、、
オレ、すっごぐ、、ごわがった、、」
目から涙が止まらなかった
「リリィ、、リリィが、、いなぐなっちゃうがもっで、、
リリィが、、ひどい目に、、あ、あわされてるがもっで、、
お、おもっで、、ごわくて、、」
「大丈夫!わ、わたしは!うう、、
ライ様のおかげで!大丈夫です!!」
「もう、、オレから、、一生、離れないで、、ほじい、、リリィ、、」
「はい!は、、はい!一生離れません!!」
「そ、そっか、、
それは、、良かった、、」
「ライ様!?
目を!目を開けてください!!ライ様!!」
「彼を!ライ殿を絶対死なせるな!!」
教会の入り口の方から教皇の声が聞こえてきて、
続いてバタバタと足音が聞こえたような気がした
そして、オレは意識を失った




