第267話 英雄志望のポニーテールと仲直り
レウキクロスに着くと、先ほど通してくれた門番がまだいたので、顔パスで中に入れてくれて、宿に戻る
宿に着いたら、
レウキクロスに残っていたメンバーから、
旅の準備は明日もうちょっと買い足すものがあるけどもうすぐ終わりそう
ということと
リリィの護衛をクリスに依頼したら快く受けてくれたことを報告してもらった
こちらからも
サンディアが同行してくれることになった、と伝えて情報共有は完了した
今取り組んでいる問題を解決するには前途は多難だけど、オレたちの準備は完了しつつあった
明日は、諸々の話をクリスに伝えに行くか、と考えながら、みんなで夕食を食べに行くことにした
♢
夕食後、宿の食堂から部屋に戻る途中、オレは前を歩くコハルに話かけることにした
「コハル、あのさ」
「ライ!あ、、」
オレが話かけたタイミングで、コハルが急に振り返ったもんだから、
ピタリとお見合いする形になる
「あの、ちょっと時間いいかな?」
「うん、、ボクも話したいことがあって、、」
「ちょっと、今日はコハルと過ごすから」
みんなにそう伝えてから、2部屋借りてるうちの1部屋にコハルと2人で入った
「あの、、」
「あのね!」
「あ、、」
「あ、、」
また、2人して同時に話し出してしまう
お互いにすぐにでも伝えたいことがあるのだろう
「えっと、コハルからどうぞ?」
「うん、、それじゃあ」
もじもじと手を触っているコハルの肩には、いつもの相棒ピーちゃんの姿はなかった
今は双剣の中で充電中のようだ
「あのね、、お昼のことなんだけど、、」
「うん、、」
「あのときは、ボクだけ英雄になるって、、ボクだけ戦うって言って、ホントにごめんなさい!」
ぺこっ!
コハルがお行儀よく、膝に両手をつけて頭を下げた
「そんな!頭なんて下げないで!オレの方こそコハルの気持ちを尊重できなくってごめん!」
オレも同じように頭を下げた
「ライが謝ることなんてないよ!そんなことしないで!」
「だ!だってコハルが謝るから!」
「ボクはいいの!」
「ダメだよ!」
「むー!ライはわがままだ!」
「はは、、そうかな、そうかも?
でもさ、やっぱコハルには自由でいて欲しいっていうか
それに、オレにはなんでも話して欲しいし、悪いことしても頭なんて下げなくていいよ
ごめんねって、そう言ってくれるだけでオレは全然いい」
「そうなの?そっか、そうなんだ、、
じゃあ、ごめんね?」
今度は、オレの目を見て、ちょっと小首をかしげるような感じで謝ってくれるコハル
「かわいい、、」
「ボクは真剣なのに、、」
「ごめん!そういうつもりじゃなくって!」
「ふふ、わかってるよ、からかってみただけ」
「そ、そっか、それなら良かった、、」
「んー、ライ、なんかよそよそしくない?」
「そうかな?まぁ、正直ちょっと気まずかったってのはあるかな
コハルに、、き、嫌われたかもって、、」
「そんなわけないだろ!それに、、ボクだってみんなに怒られて、、
ボクのせいで怒られてるライを見て、こわかったんだ、、
このままじゃ、ボクだけ嫌われちゃうって、、」
「そんなことあるわけないよ、おいで?」
オレは手を広げてコハルを迎え入れる
「うん、、」
ゆっくり近づいてきて抱きしめさせてくれた
「オレはコハルのことが大好きだ
だけど、やっぱりみんなの安全を優先したいってのが本音だ
でも、助けれる人はたくさん助けたい、コハルと一緒に」
「うん、うん、ボクもそれがいい
ボクはバカだから暴走することもあるかもだけど、またライやみんなに止めてほしいな
それに、ボクはライのことがだいだい大好きだ」
「ありがとな、キスしてもいい?」
「うん、して?」
ちゅ、、ちゅ、ちゅ
触れるだけの軽いキスを何度もする
オレの方からしていたら、仕返しだとでも言いそうなコハルからも何度もしてくれた
「これで仲直りかな?」
「ふふ、そうだね!、、ん、あのさ、、」
腕の中のコハルが無邪気な笑顔を見せてくれたかと思ったら、顔をオレの胸に当てて、頬を染めだした
「ん?どしたの?」
「仲直り、したい、、」
「えっと、、それって、、」
オレはその意味を察してムクムクと期待をはじめてしまう
「あっ、、うん、、そういうこと、、」
「ハッキリ言ってくれないと、オレわかんないかも、、」
「ライのへんたい、、」
赤い顔のまま、チラリとオレの方を見るコハル
頬っぺたはオレの胸にべったりとつけたままだった
「、、、」
オレは黙って、コハルの言葉を待つ
「ライとね、、」
言いかけて、顔をオレの胸の中に埋めて、ぎゅっと抱きしめる力を強めた
「ライと、、仲直り、えっち、したい、、かも、、」
「、、たくさん仲直り、しような、、」
「うん、、」
そして、コハルの顎をもって、たくさんキスしてやってから、
オレたちは仲直りをはじめることにした




