第265話 リューキュリア騎士団長への協力依頼
「あ、てか正門封鎖されてるじゃん」
宿を出たところで思い出す
いま正門に向かっても町の外には出れないはずだ
「そうですよね、またおかあさんに協力してもらいましょうか」
「そういえば、この前もユーシェスタさんが一言言ったら中に入れたけど、
ユーシェスタさんって偉い人なの?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?
お母さんはクロノス教の2人の枢機卿のうちの1人です」
「ええ!?そうだったの!?めっちゃ偉い人じゃん!
たしか聞いてた話だと、大司教って地位じゃなかったっけ?」
「わたしも帰ってきたら出世しててビックリしました
では、おかあさんがいる教会に参りましょうか」
「う、うん、わかった」
ユーシェスタさんの正体に驚きながらも、リリィと一緒に教会に向かう
そして、ユーシェスタさん同行のもと正門に向かうと、無事通してもらうことができた
「入るときは顔パスなので門番の交代時間までには帰ってきてください」
と言われ、森へと向かう
♢
オレは、ジャンからもらったコンパスのような魔道具を使って、彼らの元を目指して森を歩いていた
同行者は、ステラとティナの2人だ
「ジャンさんはついてきてくれるでしょうか?」
「どうかなぁ、逃げてきた人たちを守る役目があるしね」
「ですよね、難しいかもしれません」
「しかし、ほおっておけば戦争になるかもしれん
話は聞くじゃろうな」
「だよね、戦争なんてことには絶対したくない」
2人と会話する合間に、
リョクと指輪で通信して、そちらに向かっていることを伝えておく
森の中を歩いていくと、以前と同じように1時間ちょっとでジャン騎士団長のテント裏までやってくることができた
リョクに到着したことを伝えると、すぐにテントから出てきてくれた
「師匠!お待ちしてました!」
「よっ、ちゃんとメシは食えてるか?」
「はい!おかげさまで美味しい食事を食べれてます!」
「そっかそっか、よかった」
「あ!でもステラお姉さんの料理の方がぜんぜん美味しいです!」
ステラの顔を見て、そんなことをつけ足すリョク
「あら?あらあら、そうですか?
うふふ♪嬉しいです♪ありがとうございます♪」
「い、、いえ、、」
また赤くなるマセガキ
「あー、、ジャンはもう中にいるの?」
「はい!父さんも待ってます!どうぞ!」
とテントの中に案内してくれたので、リョクに続いて中に入った
そこには、
ジャンとサンディア、それにエポナ様大作戦のときに協力してくれた若い司祭2人も待機していた
作戦会議用のテーブルの周りに立った状態で迎えてくれる
オレたちもそのテーブルに近づき、テーブル越しに向き合う形で挨拶をした
「こんにちは、この前はどうも」
「ライ殿、よく来てくれた!
エポナ様、いや、ティナ殿、ステラ殿もよくぞ参られた!」
ジャンは、いかつい顔をニコやかにしながら好意的に迎えてくれた
サンディアたち司祭三人衆はティナの方ばかり見ている
ティナはすぐにその視線に気づき、少し気まずそうにしていた
「司祭の皆さんもこの前はご協力ありがとうございました
おかげで私の妻も神様になったような気分を味わえて新鮮だったと言ってましたよ
ねぇ?ティナ?」
「おお?うむ、そうじゃの?」
突然手を繋ぎ出したオレに少し不思議そうにしながら肯定してくれる
「あ、いえ!そんなそんな!
こちらこそご協力ありがとうございました!」
サンディアがすぐに頭を下げる
司祭2人も同じように頭を下げるが、
妻?え?こいつ妻って言った?
って顔をしていた
ふふん!そう!エポナ様はオレのもんだ!!
そんなジロジロみても無駄なんだからね!!
「、、アホじゃなければのう、、」
オレの方を見て隣のティナがぼそりと呟く
およ?なにかダメでしたか?
「ほれ、そんなことよりも本題じゃ」
ティナが握っていた手を離し、オレの背中をポンと叩く
「そうだね
えっと、今日はジャン騎士団長にお願いがあって伺いました」
「俺にか?ライ殿の頼みとあればなるべく協力したいが、自分に務まるだろうか
用件は?」
「それはですね
10日後、レウキクロスからアステピリゴス聖騎士隊が300人、
ウチナシーレへ出兵することになったんです
それで」
「な!?それはダメだ!!すぐにやめさせろ!!」
バン!!
オレの言葉を聞くなり
ジャンは焦った表情を浮かべ、両手をテーブルについた
「お、落ち着いてください
出兵を止めることなんて、一冒険者のオレには出来ないですよ」
「あ、、取り乱してしまい、すまない、、」
「いえ、で、なぜそんなに焦っているんですか?」
オレは嫌な予感はしつつも、ジャンに答えを求める
そして、ジャンからは予想通りの回答が返ってきた




