第249話 昨日の今日で
「そうですか、、リューキュリアの人たちが、、」
「うん、だからリリィもしばらくは警戒してて」
「はい、、わかりました、、」
宿に帰ったオレたちは、すぐにリリィに状況を説明した
ユウから仕入れた情報だ
もしかしたら、近いうちにリューキュリア騎士団が食糧を求めて攻めてくるかもしれない、ということを
「あと、できれば、ユーシェスタさんにも伝えてくれるかな?
戦いになるかもしれないから怪我人の手当の準備を、って」
「はい、それはもちろん
しかし、、本当に争いになんて、、」
「起きなければそれでいいよ
でも、警戒することは悪いことじゃないだろ?」
「はい、その通りですね
わかりました、ライ様の言う通りに致します」
「ありがと、もしオレたちが外に出てるときに何かあったら、すぐに教えてね?
なによりリリィのことが心配だから」
「はい、わかりました
ありがとうございます」
「ううん、当たり前のことだよ」
「ライ様、、」
「リリィ、、」
「見つめあってもキスしかさせてくれませんよ〜」
「、、、」
「、、、」
いい感じだったのに、ステラがちゃちゃを入れてくる
せっかくチューできそうだったのに
そりゃあ、それ以上のこともしたいよ?
でもさー、、
「そ、それは、私は修行中ですので」
「そろそろ聞き飽きたわね」
「ソフィア?ソフィアまでそんな、、」
「ま、リリィの好きなようにすればいいんじゃない?
いつまで我慢するつもりなのか知らないけど」
「冷たいです、、」
「オレはリリィのことを尊重するから!
リリィが我慢するならオレも我慢するから!」
「ライ様、、」
リリィが嬉しそうにうっとりとオレのことを見つめる
「おぬしは他の妻としとるじゃろうが」
「、、、」
「、、、」
「おにいちゃん、、は、、がまん、、してない、、」
コクコク
毎晩特訓させられて、反抗したくなったのか、ミリアまで追い討ちをかけてくる
ぽかへいはいつも通りの反応だ
こ、こいつら、、
「ライ様?」
にっこり
「だ、だって、、ごめんなさい、、」
「むしろ、リリィが謝ったらどうですか〜?
ライさんはなにも悪くないと思います〜」
ステラが加勢してくれたが、やいのやいのと議論がはじまってしまう
と、とにかくリリィと情報は共有できた
あとは、有事の際に冷静に対応できれば大丈夫だ
アステピリゴス教国とリューキュリア教国の間で争いが起こるかもしれない
もしかしたら、戦争にも発展するかもしれない
そんな、緊迫した状況でもオレは楽観的に考えていた
そんなこと起こるわけがない、そう考えていたんだろう
♢♦♢
翌日
いつも通り朝はミリアたちとランニングして、クリスと合流し、町から出て森林エリアに向かう
適当にモンスターを倒してからセーフゾーンに向かうと、誰もいなかった
「また来ておらぬ、、心配じゃ、、ライ」
ユウがついて来た日のことを思い出す
「うん、通信機使ってみようか」
言いながらアイテムボックスから指輪を取り出して指輪に話しかけた
『おーい、リョク聞こえるかー?』
『あ!師匠!すぐ行きますので!大丈夫です!』
『了解、待ってるぞ』
「すぐ来るってさ」
「そうか!それならよいのじゃ!」
食事の準備をしながら、待っていると
しばらくして、ガサガサと草むらをかき分けて、リョクとショウがやってきた
「こんにちはー!」
「あ、、遅れてすみません!」
「おう、こんにちは、遅かったな
あれ?ユウは?」
「、、、兄さんは、、今日は来ません、、」
「ほう?なんか用事でもあんの?」
リョクの様子に違和感を覚えたが明るく振舞って質問した
「父さんたちに、、同行しました、、」
リョクは何故か暗い顔をしている
そこで、違和感が緊張へと変わった
「同行?たち?」
まさか
「リリィ!聞こえるか!」
すぐに意識共有でレウキクロスに残っているリリィに呼びかけた
『え?あ、はい、ライ様、聞こえてます』
「そっちでなにか起きてないか!」
「なに?なんなのよ?ライのやつどうしたの?」
「いや、僕にもわからな、、まさか、、」
『ライ様、落ち着いてください
こちらではなにも、、少々お待ちください
今教会の外に出ましたが、やはりなにも、、
いえ、聖騎士の方が慌てて正門の方へ、、』
「正門には近づかず!教会の守りを固めろ!すぐ戻る!」
「え?あっ、はい!わかりました!すぐにそのように致します!」
そこでリリィとの通信は一旦やめる
「すぐに町に戻る!」
「わかった!」
クリスはすぐに同意し、他のみんなは不思議そうにしている
「戦いが起きるかもしれない!」
その言葉で察したのか、みんなが準備を整える
「リョクとショウはどうするのじゃ!」
「リョクは自分で走ってついてこい!
ショウは!コハル頼んだ!」
「わかった!ショウ!ボクの背中に!」
「おんぶー?わぁーい!」
「よし!いいな?いくぞ!」
全員の準備が整ったのを確認して、急いで町に向かって走り出した
町までは走れば20分もかからないはずだ
間に合ってくれ
森の中を走り、みんながついて来れていることを確認しながら走る
道中、リリィとは何度も通信しながら、リリィが安全だということを常に確認した
そして、想定通りの時間で、森を抜ける
木々の間を抜け、草原に出ると
正面にはレウキクロスの城壁、右手奥には正門が見えるはずだ
正門はどうなってる!?
気持ちを焦らせながらそちらに目をやると、そこには信じられない光景が広がっていた




