第246話 勘違い兄貴の判決やいかに
「先ほどは大変失礼致しました!」
オレに殴られて吹っ飛んだそいつは、オレたちの前で土下座していた
そいつは、ティナたちに介抱された後、自分の足で歩いて湖を渡り、
渡りきったと思いきや、すぐに頭を下げてきたのである
「なんなのおまえ?突然態度かえやがって、イラつくんですが」
「ライさん、私のことはもういいですよ?」
「ステラちゃんは黙ってなさい」
オレはステラの角のあたりを撫でながら言う
「はーい♪うふふ♪」
「ステラあんた、、嬉しそうにしてないで、止めなさいよ、、」
ソフィアは呆れ顔だ
「大変失礼致しました!
そちらの美しい女性の方にも失礼なことを言い!
本当にすみませんでした!
あれは本心ではなく!
弟が攫われそうだと動転して言ってしまったことなんです!」
「むっ、、そうか、、なるほど、、
でも、リョクとショウが攫われそうになってるとか、勘違いも甚だしいだろ?」
「その通りです!早とちりをしてしまい!本当にすみませんでした!」
そいつは頭を下げ続ける
「師匠!僕からも謝ります!兄さんがすみませんでした!」
「ライお兄ちゃん、ごめんなさい、、」
リョクとショウもそいつの隣にやってきて、同じように土下座しようとする
「待て、2人は謝らなくていい、立ちなさい」
2人に罪はないのだ、謝る必要はない
「は、はい、、」
「うん、、」
「んで、おまえ、名前は?」
オレは椅子に腰かけて、足と腕を組んでから偉そうに尋ねた
「俺、いえ!私は!
ジャン・フメットが息子!
ユウ・フメットと申します!」
「ふーん、リョクとショウの兄貴で間違いないな?」
「はい!その通りです!」
「で?何しに来たんだ?」
「最近!弟たちの様子がおかしかったので!尾行して来ました!
そしたら見知らぬ人物と一緒だったため!連れ去られるのかと勘違いしたのです!」
「ふーん、つまり、リョクとショウが心配だったってことだな?」
「その通りです!」
「、、ま、まぁ、、それなら、、許してもいいけど、、」
「ありがとうございます!」
「うーん、、ステラさん、来なさい」
「はーい♪」
「おい、ユウ」
「はい!」
「この子がなんだって言った?」
「とても美しいと思います!
先ほどは本当にすみませんでした!」
ユウはステラに向き直って、再度土下座した
「いえいえ♪そんなそんな♪なんかすみません♪うふふ♪」
ステラは気にしてないようだ、というか何故か嬉しそうであった
いまいち納得いかないが、
ステラ本人が言われたことをあまり気にしてないなら、、いいか、、
と、オレは許す覚悟をはじめる
まぁ?こいつも弟たちが心配なだけだったわけだし?
オレのお嫁さんのことを傷付けたのは許せないけど、まぁ、、
「うふふ♪ホントに私は気にしてませんので♪」
オレが逡巡しているのを見て、ステラが背中を押してくれる
コイツのことを許してもいいですよ、と
「ふぅ、、わかった、、ユウ」
「はい!」
「オレが怒っていたのは、オレの大事な奥さんであるこのステラのことをおまえが傷つけたからだ
だから許せなかった
だけど、リョクとショウの兄貴であるおまえが弟たちを心配してきたのはわかった
だから、、しぶしぶだが、、許そう」
「ありがとうございます!このような愚かな私にご慈悲を!感謝します!」
「うむ」
「なにが、うむ、よ、偉そうに
もういいからご飯食べましょ、わたしお腹空いたわ」
このクソガキめ、、オレの葛藤を考慮して、この寛大な処置に感動を覚えて欲しい
だって、あんなひどいこと言ったやつだぞ?
ぐぎぎぎ、、やっぱもう一発くらい殴っておこうか
「やっとご飯だー!ピーちゃんも食べよー!」
「ピー!」
コハルはコハルでなんも考えてない様子で席につきスプーン片手にニコニコしていた
「むー、、」
オレが唸っていると、ソフィアとコハルに続き、皆も食卓の方に移動しはじめる
オレは動かない、なんか納得いかないからだ
すると、
「おにいちゃん、、ごはん、、たべよ?」
と、ミリアがやってきて手を差し出してくれた
「うん、ありがとな、ミリア」
ここでスネ続けるのはさすがに大人げないし、
せっかくミリアが気を遣ってくれたんだ、と思い素直にその手を取った
そして、ぽかへいを抱っこしたミリアに手を引かれ、みんなが集まる食卓に歩いていった




