表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
236/314

第236話 森の中の子どもたち

クリスに森の中の安全圏セーフゾーンにつれてきてもらった


そこは、小さな湖になっていて、湖の真ん中に大きな木が一本だけ生えていた


だから、ジャングルの中の他の場所とは違い、

空を覆う葉っぱは少なくて、青空がよく見える

今日は快晴だ


「綺麗なところじゃない」


「そうだね、このあたりでいいのか?」


「うん、湖のほとりで食事にしよう

ところで、もしかして、ステラさんの手作りだったりする?」


「そうですね♪冒険中の食事は私がメインで作ります♪」


「よっしゃー!!またご馳走になれるなんて嬉しいよ!」


「ありがたく食えよ」


「もちろんだよ!」


みんなと話しながら椅子を並べて、ステラと一緒に食事の準備をする


程なくしてできあがったパスタとコーンスープをみんなに配って、楽しく召し上がった


やはり、クリスは「美味い美味い!」と絶賛していた

うむ、くるしゅうない


「やっぱり、ステラさんのご飯は最高だなー!」


「ありがとうございます♪」


「まぁ、オレのステラは最高だからな」


そんな話をしていると


ガサッ


近くの木のそばから草音が聞こえた


前衛職がすぐに剣を構え

遅れて後衛職が配置につく


「モンスターはでないんじゃなかったのか?」


「でない、はずなんだけどね」


「、、、出てこないな」


「逃げたのかな?」


ガサガサ


「、、、」


「子ども?」


木の裏から出てきたのは、子どもだった

それも2人


2人の男児は、手を繋いでこちらを見ている

1人は小学5年生くらい、もう1人は小学生にもなっていないくらい幼く見えた


「なんでこんな場所に子どもが?このあたりに村でもあるのか?」


「いやいや、あるはずないよ、こんな場所に」


では、なぜ?

そう思いながら2人を観察する


クリスと同じ黒髪で、服装はTシャツに短パン、しかし、その服はボロボロだった


「グルルル、、」


「ん?」


「ぎゅ〜〜」


「おお?」


子どもたちの方から豪快な腹の音が聞こえてくる


「あの、お腹が空いてるんじゃ?」

とステラ


「え?あー、、そうだよね、、」


大きなお腹の音だった

よっぽどお腹がすいていて、オレたちの昼食の匂いに誘われてココまで来たのかな、と思い当たる


「おまえたち、メシ食べるか?」


「、、いいの?あ、いいんですか?

あの!弟に!食べさせてくれませんか!」


大きい方の男児が必死になって答えていた

自分も腹を鳴らせていたのに、小さい弟を気遣っているようだ


「あぁ、いいぞ、おまえの分もある

2人とも食べればいいよ」


「あ、ありがとうございます!」


「にいちゃん、、ご飯、、」


「おまえも頭下げろ!」


「う、うん、、ありがとう、ございます、、」


大きい方が小さい方の頭を掴んでお礼をさせる

偉い子だ


「まぁ、こっちこいよ」


アイテムボックスから椅子を追加で出して、2人を座らせた


それから、お皿によそったステラの料理を渡してやる


「美味しい!にいちゃん!かぁちゃんのご飯より美味しいよ!」


「、、、ぐす、、」


「にいちゃん?泣いてるの?」


「泣いてねー、、黙って食えよ、、」


「うん!美味しいね!」


大きい方は泣きながら食べていた

小さい方は無邪気に元気よく頬張っている


「、、あの、ライさん、この子たち、なにか事情がありそうです」


2人の様子を見ながら小声で話す


「そうだね、なんだろう

クリス?」


「んー、僕にもわからないけど、髪の色からして隣国のリューキュリアの子たちだと思うんだけど」


「そうなのか?おまえと同じ色じゃん」


「これは染めてるんだよ」


「ふーん?」


なんでわざわざ染めてんだ?とは今は聞かない


「おかわりもありますよ♪」


「ありがとう!綺麗なおねえちゃん!」


「あらあら♪いい子ですね♪」


そうだな、ステラは美人だよな、うんうん

小さい方はなかなか見どころがあるじゃないか


「あなたもおかわり食べますか?」


「あ、はい、ありがとうございます、お願いします」


大きい方は赤くなっている

こいつは始末した方がいいだろうか?


2人は相当腹が減っていたようで、3人前くらいを食べて、やっと落ち着いた


「お腹いっぱいになったか?」


「はい、ありがとうございました」


「んで、なんでこんな森の中にいるんだ?この辺はモンスターが出て危ないんだぞ?」


「それは、、大人が誰かに会っても何も言うなって、、ごめんなさい、、」


「そうなのか?その大人たちは近くにいるのか?」


「そ、それも、、言うなって、、」


大きい方は心底申し訳なさそうにしている、ように見えた


「んー、それじゃ、最後に質問

その大人たちのところに、2人だけで安全に帰れるか?」


「はい、このモンスター避けの薬があるので」


言いながら、首にかけた袋を見せてくれる


「これ、そんな効果あるの?」

とクリスに確認した


「うん、一応あるけど、上級のモンスターには効果が薄いかも」


「危ないなー、、はぁ、ほら、これやるよ」


だいぶ前に、なにかに役立つかと思って購入したモンスター避けのマジックアイテムを取り出して渡す

細長いホイッスルの形をしたマジックアイテムで、結局使う機会がなくて放置していた物だった


「あ、一応紐で結んでおくか」


その、細長いホイッスルを適当な紐で結んで大きい方の首にかけてやる


「この笛は持ってるだけでモンスター避けになるし、モンスターが寄ってきても笛をふけば逃げる、やつもいる

めちゃくちゃ強いやつには効果ないから気をつけろよ」

と説明した


「いいんですか?もらっても?」


「あぁ、一回も使ってないしな、あげる」


「あ、ありがとうございます!

ほら!おまえも!」


「ありがとうございます、です」


また大きい方が小さい方の頭を押さえていた


「気をつけて帰れよ

あ、おまえたち名前は?名前も言うなって言われてるか?」


「えっと、名前は、大丈夫です

俺、あ、僕はリョクです」


「ショウ!」


「リョクとショウだな、モンスターが出たら笛を吹いて逃げる

できるな?」


「はい」

「はい!」


「なら気をつけて帰れ」


「わかりました、ありがとうございました」

「ありがとうございました!」


2人は礼儀正しく頭を下げて森の中に消えていった


「大丈夫なのじゃろうか?心配なのじゃ、、」


「それはそうだけど、口止めされてるみたいだし

ついてってもトラブルの予感しかしない」


「それはそうじゃが、、あんな幼い子たちを、、」


「気持ちはわかるけど、、」


子ども好きのティナが1番辛そうだった

ノアールたちのことを思い出すのもあるだろう


「なんで、リューキュリアの子どもがこんなところに、、」


「あー、隣国って話だったよな?」


「うん」


「隣国って近くなのか?」


「いや、森を挟んで西側ではあるけど、歩いたら1ヶ月はかかるよ」


「なんだそりゃ、じゃあ、あの子どもたちが1か月歩いてココまで来たって?」


「馬車、、はこの森には入れないし、、そう、なるのかな、、」


「わけわからん」


「僕もだよ」


「ねぇ、ココにいてもしょうがないし、一度町に帰って話し合わない?

あの子たちのこと、ギルドにも報告すべきかもしれないし」


「確かにそうだね、そうしよう」


ソフィアの提案を受け入れて、今日は帰ることにした


リョクとショウ、2人の少年がなぜこんな森の中にいたのか


このときは、誰もその答えを持っていなかった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ