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第231話 大きな一歩

次の日は、また森林エリアに入り、中級Aのカバみたいなモンスターと戦った


カバって遅いイメージだったけど、ぜんぜんそんなことはなく猛スピードで突進してきて、避けた先でぶつかった太い木の幹をえぐるほどの突進力を持っていた


しかし、そんな攻撃に当たるオレたちではないので、軽く捌いていく


今日も、前衛二人体制なのだが、クリスは戦いっぱなしで、オレたちだけ交代して戦っていた


「なぁ、たまには休憩したらどうだ?」


さすがにクリスばかりに負担がいっていると思い、再度提案してみる


「いやいや!まだ中級だよ!余裕余裕!」


「いや、でも気まずいんよ」


「おっ!意外と優しいとこあるんだな!」


せっかく気づかってやったのにニマニマとからかってきやがった


「、、まっ、いいか、男だし」


「あれ?ホント僕には冷たいよな~

まっ、実際問題、交代してくれるのは上級になってからでいいよ

明日は上級の依頼を受けるつもりだし」


「そうか、わかった、、疲れたら言えよ」


「了解了解!!」


こうして、今日も楽しそうに戦う黒髪オッドアイ男とのモンスター討伐は終了した



ギルドに帰ってきて、クリスのやつとギルド前で別れる


「明日は上級なー!

あと山脈だからー!ミリアさんごめーん!」


「はいはい」


手を振るクリスに手を振りかえして宿に戻った



その日の夕方、リリィが帰ってきたと思ったら、元気な声でこう言った


「今日は魔法を見てもらえました!!」


ドアが開いたと思ったら、第一声がそれだ

リリィのテンションはかなり高い


昨日までの難しい顔はどこかへいき、頬を染めて嬉しそうに報告してくれる


「おぉ!!そうなんだ!!

よかったね!!やったじゃん!!」


「はい!なんで気が変わったのかはわかりませんが!

突然、今の魔法の腕前を見せてみなさいって言われたんです!」


「そっかそっか!なにはともあれ良かったよ!

これで修行もつけてもらえるといいね!」


「まだわかりませんけど!一歩前進です!」


「よかったですね♪リリィ」


「はい!」


「なんだかんだ言って母親ってことかしら、よかったわね」


「はい!そうかもしれませんね!」


みんなもリリィを祝福してくれる

小さな一歩かもしれないが、掃除だけしていた この数日からは大きな前進だと思う


それにしても、何故ユーシェスタさんはリリィの面倒を見る気になったんだろうか?


♢♦♢


さらに翌日


「おまえ、ユーシェスタさんになんか言った?」


「え?あー、、なんのことかな?」


山脈エリアのモンスター討伐に向かう途中、山を登りながらクリスに質問する


隣のイケメンの顔色は明らかに不自然だった


「今はオレしか聞いてないから隠さなくていいぞ」


「、、まぁ、ちょっとだけね」


「そっか、感謝するよ、ありがとう」


「あれ?余計なことするなー!って反応を想像してたんだけど」


「少しそう思ったよ、正直

でも、リリィ、あ、リリアーナがめちゃくちゃ嬉しそうにしててさ、そういう気持ちも浄化された」


「はは、浄化って

そっかそっか、それなら良かったよ」


「それにしても、おまえなんかが頼んで、なんで中央教会の偉い人が動くんだ?」


「、、えっと」


「いや、そこはおまえなんかって失礼だろ、じゃ?」


ツッコミ待ちだったのに何も言ってこなくて逆に気まずい


「あ、たしかに、シツレイダロー」


「棒読み乙、んでなんでなん?」


「ひ、ひみつ、、」


「きもっ」


「なんでだよ、、」


「男の秘密はキモいんよ」


「あはは、たしかにそうかもな」


「んで?」


「いや、だから秘密だって」


「あっそ、まぁいいや」


「いいんかい」


「だって言わないじゃん」


「そうだけどさー」


予想はしていたが、やはりユーシェスタさんに口添えしてくれたのはクリスだということがわかった


このことは誰にも言わないようにしようと思う

間違ってリリィの耳に入ったら真面目な彼女のことだ


「それはズルなのではないでしょうか?」

と考え、落ち込むだろう

だから言わない

育ての親の愛情だと思っていた方がいい


なにはともあれ、クリスのおかげで一歩前進したのだ

あとは、リリィの頑張りで前に進んでいくことを祈るばかりだ、と結論付ける


というか、謎なのはクリスの影響力だ

ユーシェスタさんはクロノス教の大司教だってリリィが言っていた


宗教の一番上のボスは教皇で、次が枢機卿で、その次が大司教だった気がする

だから、ユーシェスタさんはかなり偉い人物のはずだ


そんな人になぜ冒険者のクリスがひとこと言って気が変わるのか


改めて、隣の男の顔を見る

オッドアイだ


うん、やはり見覚えがある

もし、この男があの人物と同一人物であるなら、クロノス教の信者への影響力はかなりあるのかもしれない


いや、でも今そのことを問い詰めてもなぁ、、

と考える


変装してるんだし何か事情があるはずだ

せっかくイイ感じにパーティを組めてるわけだし、本人がゲロるまでは空気を読んで黙っておくか


うん、そうしよう


ここまで考えて、The空気を読める男のオレは黙って山を登ることにした


もちろん、ミリアが苦しそうにしはじめたら、しっかりとおんぶしてやる

羽のように軽くって、背中に当たるマシュマロの感触が素晴らしかったのは想像に容易いだろう


山道の開けたところまで来たら、

いつも通りの陣形で上級Cのモンスターを討伐していった


上級のモンスターではあるが、オレたちは余裕でそいつらを捌いていく


今日も今日とて何も危ないことは起きず、オレたちは軽い足取りでレウキクロスへ帰還した

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