第229話 両刀使いってなに?
「今日は森林エリアの依頼にしよーか!」
ギルドに着くと、掲示板を見ていたクリスが駆け寄ってきてテンション高めに話しかけてくる
「お、おう、、まぁいいけど、ちょっと向こうで話すか」
入口の前で大人数で止まるもんだから邪魔になっていた
クリスの肩を持ってUターンさせようと手を伸ばす
すると
「ちょ!?」
ザッ!と後ずさってその手をかわされる
「なにかな?」
そして、怪訝な顔をされた
「いや、入口付近でたむろってるの邪魔かなと思って、、」
オレは空を切った両手をワキワキさせながら答える
「、、キミ、男もいけるとか言わないよな?」
訳の分からないことを聞いてくる黒髪オッドアイ男
「は?何言ってんだ、おまえ?」
「だって、触ろうとしたし、、」
「いや、、逆に怖いんだが、、肩くらいでなんなんだ、、」
「だよな!よかったよかった!
両刀使いだったら僕も身の危険を感じてたところさ!
ほら!僕って結構イケてるだろ?
だからライがそういうやつかもってね!ははは!」
謎のテンションでまくし立てはじめるクリス
なんか冷や汗をかいているようにも見えた
「いやいや、とりあえずあっち行こうぜ」
本格的に邪魔になってきたので、入口をあけるべく、掲示板の方に移動する
「両刀使いってなに?」
「コハルは知らなくていいことですよ♪」
「なんでだよー!教えてよ!えっと、、きっと武器のことだろ!
ねー!ソフィアは知ってる?」
「、、知らないわ」
ソフィアのあの顔は知ってるな、と思ったが放置することにした
妻たちは変わらずワイワイと盛り上がっている
「あー、それで今日は山脈エリアじゃなくて、森林エリアだっけ?」
改めて勘違いヤローに向き直って話を戻した
「そうだね!昨日とは違うところがいいかなと思って!」
「、、あにょ、、」
「ん?どうかした?ミリア?」
「も、もし、、ミィのこと、、気を、遣ってるのなら、、だ、大丈夫、です、、」
昨日、オレにおんぶされたことを後ろめたく思っているのだろう
今日はちゃんと登ります、と言いたげな顔をしていた
「んー、おまえ、そういう意図で提案してくれたん?」
「いや、山脈エリアはこれからも行くつもりだよ
だから、そのときはミリアさんにはまた頑張ってもらわないといけないかな、ごめんね
今日は、レウキクロスの依頼エリアについて知っておいてもらいたいから、森林エリアを選んだんだ」
期待した通りの回答だった
「だってさ、だから、ミリアは気にしなくて大丈夫だよ」
「わ、わかった、、あ、わかりました」
「あはは、僕にもタメ口でいいよ」
「、、、んみゅ、、」
クリスにそう言われて、ミリアはオレの後ろに隠れる
「あれ?」
「んふふー、ミリアはオレだけのもんだ」
「恥ずかしがってるだけよ、さっさと行くわよ」
ドライなソフィアたんが依頼書を持って受付に向かう
その後ろ姿をみて
「ツンツンしてるくせにこの前は、、」
と言いかけると
振り返って、キッと睨まれた
なので、この前は可愛かったのになー、ニヤニヤ
と心の中でだけ思うことにした
「ねー!両刀使いってなに!?
双剣使いのこと!?ならボクも両刀使いなのかな!?」
コハルの声が大きくなってきて気まずいので、さっさと依頼を受けてギルドを出ることにした
コハルたん、この子はそういった方面に無知すぎるな
ちょっと機会を設けて教育してあげた方がいいかもしれない
うん、それ楽しそうだな、むふふ
とひそかに考えてモンスター討伐に向けて森林エリアへと足を進ませた




