第221話 レウキクロスの冒険者ギルド
-主人公視点-
「おぬし、もう少し余裕をもったらどうじゃ?」
「そ、そうかな?」
宿から外に出て、ティナとコハルと話しながらレウキクロスの町中を歩いていく
「うむ、リリィは間違いなくおぬしを愛しておる
どんと構えておけばよいのじゃ」
「う、うん、ありがと」
「最近のライはかっこわ、、ちょっとおどおどしすぎかもね!」
「やっぱりそうだよね、自覚はあるんだけど、
リリィがどこかにいっちゃいそうな気がして、、不安で、、」
「大丈夫だよ!みんなでここまで来たんだし!
あとはリリィの修行が終わるのを待つだけだよ!」
「そ、そうだよな!」
「うん!」
「ありがとな、2人とも」
両脇にいる2人の手を握りしめ、少し笑顔になって町歩きを続けた
「そういえば、レウキクロスに来てからギルドに寄っておらぬな
そろそろ、どんな依頼があるか見ておいてもよいのではないか?」
「あ、たしかに」
リリィのことで頭がいっぱいで冒険者業のことを忘れていた
なにもしなければ、そのうち資金は尽きる
そろそろ仕事の下見くらいはするべきだろう
「じゃあ、見に行ってみようか」
「そうしよー!」
「ピー!」
♢♦♢
「美術館みたいな建物だね」
「ホントだね~」
町の人に場所を聞いて、レウキクロスのギルド前までやってきた
ギルドは門のすぐ近くの大通りに面していて、
ギリシャの神殿とかにありそうな太い石柱が目立つ建物であった
その外観は、レウキクロスの街並みに合わせて白く塗られていて、太い柱が何本も立っており、その柱によって緩やかな三角屋根が支えられている
正面から見て真ん中あたり、三角屋根のすぐ下には、時計の針の模様が彫り込まれている
中央教会のステンドグラスのデザインに似ているので、クロノス教のマークなのかもしれない
「ここがギルドじゃったか、気づかぬうちに通り過ぎておったのじゃな」
「そうだね、大通り沿いにあったんだ」
というのも、この建物はレウキクロスに入ってすぐの場所にある
だから、オレたちは気づかずに目の前を通り過ぎていたようだった
「入ってみようよ!」
コハルに促されてギルドに入る
レウキクロスのギルドは、内装もとても綺麗だった
建物内にも太い柱が何本も立っていて、大理石のような床に白い壁、カウンターや机なんかも上等なものを使っているように見えた
正面には貴族の家にありそうな横幅が無駄に広い階段がある
2階をみるとぐるりと手すりで囲われていた
「ほえ〜、こんなにキレイなギルドもあるんだねぇ」
「そうだねぇ、びっくりだね」
「とりあえず掲示板じゃな」
キョロキョロと周りを見渡し、左側の壁に掲示板がいくつかあり、依頼書がたくさん貼られているのを見つける
みんなでそこに近づいた
掲示板ごとに、討伐系、護衛系、採取系のように分類されている
「おぉ、これは見やすくて助かるな」
「几帳面な人物がギルマスなのじゃろうな」
「ふむふむ、特級の依頼はCが1つ、上級Aはいくつかあるか」
「久しぶりに強いやつと戦いたいなぁ」
「まぁ気持ちはわかるけど、初心者のミリアが心配なんだよね」
「たしかにそっか、やっぱ弱いのから慣らしていかないとだよね」
「うん、もうちょっと前衛職がいれば安心なんだけどなぁ」
「ま、ないものねだりしてもどうにもならんのじゃ
他の場所も見学していかぬか?」
「そうだね、探索してみよ」
「、、、」
掲示板から離れて、受付の方に向かおうとしたとき、隣の掲示板を見ていた人物と目が合う
「?」
その人は黒いフードを深く被っていて1人で立っていた
仲間でも探してるのかな?
と思ったが、オレたちには不要なのでスルーする
というか、オレのハーレムに他人はいらないのだ
そのあと、2人と一緒にギルド内を探索した
まずは受付、奥の方に進むと広いカウンターが壁一面に広がっており、受付嬢ごとに区切られている
区切りに使われてるのは内装にも使われている石柱の細いバージョンで、ギルドの受付というよりは銀行とか、高級店みたいな印象だった
そんな受付が7箇所ある、今日開いてるのは4箇所のようだった
そのあと、入口の方に戻ると左の掲示板の反対側、右手側は待合所になっていた
簡易なものではなく、上品なテーブルとイスのセットが並んでいて、5、6組のパーティが話していたが、まだ座るスペースには余裕があった
それから正面の階段を登る
登った先は食堂だった
売店ではなく、ちゃんとした食堂だ
社員食堂のような感じで、ライス系、麺系、サラダやデザートといった具合に場所ごとに注文する窓口が違う
「食べていこうよ!」
とコハルに提案されたのでそうすることにした
食堂の真ん中あたりに腰掛ける
ここのテーブルも上品なもので、円形のテーブルに白い鉄製の椅子が設置されていた
椅子にはちゃんとクッションもついている
「ボクが取ってきてあげるよ!なに食べたい?」
「ん〜、カレー」
「了解!」
「わしも手伝うぞ」
「ありがと!」
2人が料理をとりに行ってくれたので、1人で周りを見渡す
少し早めのお昼だが、何組も食卓についていた
よく見ると冒険者には見えない人たちも何人もいる
不思議に思っていると
「ここの食堂は安くて美味いから、町の人も来るのさ」
「ん?」
見上げると、先ほど掲示板でオレの方を見ていた黒フードのやつが話しかけてきていた




