第218話 幸せメーター
「本当に1人で大丈夫?」
「はい」
「オレだけでも一緒に、、」
「ライ様、まずはわたし1人だけの方がいいと思います」
「そ、そうかな、、」
ユーシェスタさんに冷たくあしらわれた翌日
リリィはクロノス教のシスター服に身を包み、出かける準備を整えていた
しばらく改造シスター服をメインで着てきたので新鮮な姿なのだが、そこに感動する余裕はオレにはなかった
「ライ、妻を信頼するのも夫の役目じゃぞ?」
「でも、、」
「ライさんは過保護すぎますよ、町の中ですし危険は少ないはずです」
「それになにかあれば意識共有があるでしょ?」
「でもでも、、」
リリィはユーシェスタさんのところに1人で行くと言い出した
たしかに昨日、オレのことを嫌悪してるなんて言われたから、オレがついていくのは得策じゃないのかもしれない
それは理解していたがリリィを1人にしたくなかった
なんだか、そのまま離れていってしまいそうな気がしたから
「ライ様、夕食までにはかならず戻ってまいります」
「絶対?」
「はい、絶対です」
にこっと微笑んでくれるリリィ
「わ、わかった、、いってらっしゃい、、」
「はい、行ってまいります」
カチャ
リリィは静かに宿のドアを開け、中央教会に向けて出かけていった
リリィが歩いていく様子を窓から伺う
「しゅーん、、」
「はぁ、、情けない、、」
「ごめんなさい、、情けなくって、、」
「ライさんいらっしゃい?よちよち」
「う〜ん、、ありがと、ステラ」
ソフィアたんにいじめられたのでステラに甘やかしてもらう
「おにいちゃん、、かわいそう、、よしよし、、」
ミリアも頭を撫でてくれた
「過保護が多いわね、、」
「そうじゃな、、」
「ボクは今日も探検してくるー!」
「ピー!」
「ミリアも行こうよ!」
「え?、、うん、、おにいちゃんも、、いこ?」
ぽかへいを抱っこしたミリアが右手を差し出すので、その手をとる
「う、うん、、いく、、」
「ミィが、、慰めてあげる、、」
「ありがとな」
よしよしとその頭を撫で返したら、気持ちよさそうな顔をしてくれた
「わしとソフィアは魔導書でも探してくるのじゃ」
「なら私は護衛してあげますね♪」
「助かるわ、じゃ、また夕方にね」
「うん、みんなも何かあればすぐに意識共有で教えてね」
全員が頷くのを確認してから外に出た
♢♦♢
「おにいちゃん、、あのね、、昨日、美味しそうな、お店、見つけたの、、」
「そうなんだ、ならそこ行ってみようか」
「うゆ、、ぽかへい、、」
よじよじ
ぽかへいがミリアに促され、オレの肩によじ登ってきた
「ミリア?」
ぎゅむっ
「ほわ?」
両手がフリーになったミリアが左腕に抱きついてきた
もちろん、その豊満なお胸が腕に食い込む
ぎゅむぎゅむ
なんだか、腕を組む、というよりわざと押し付けてきてるような動きをするミリア
「す、すごい、、」
「げんき、、でそう?」
「う、うん、、ありがと」
違うところが元気になりそうだったが、耐えて笑顔をつくる
「えへへ、、いこ?」
「うん!」
「むー、、えい!」
むに
「おぉ?」
コハルもミリアと同じように右腕に抱きついてきた
「ボクもやる!」
「あ、ありがと」
ミリアに対抗心を燃やしたのか、眉毛がふんす、と上がっていた
こうして、両腕に花の状態でレウキクロスの町を散策することになった
オレの幸せメーターが徐々に回復していく




