第214話 首都レウキクロス
馬車の旅が始まって更に1週間、リフレットを出てから3週間ほど北に向かって進んできた
すっかり辺りも寒くなったので、みんなの服装も厚着になっていた
朝、馬車を動かす準備をしながら、みんなの目を盗んで攻略スキルを開く
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リリアーナ・クローバー
好感度
100/100
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旅に出てから毎日確認しているが、リリィの好感度は変わらずカンストしていた
よし、大丈夫大丈夫
嫌われたわけじゃない、大丈夫
ただ、修行しに行くだけだから、大丈夫
今日もそう自分に言い聞かせ、馬車に乗り込んだ
♢
馬車を動かしながら、
まわりを見渡すと、山の上の方には雪が積もっており、このあたりが雪国なのだと実感できる
オレたちの馬車が走る山道には雪は積もっておらず、問題なく前進できている
冬になると、雪掻きしないと馬車が通れなくなるほど積もるのだと、リリィが教えてくれた
「ライ様、あそこを越えると町が見えますよ」
ついに目的地が視界に入るらしい
「そうなんだ!楽しみだなー!」
今は緩やかな上り坂で、リリィが指差したあたりはこの坂の頂上なのだろう
すぐにそこにたどり着いた
「おぉ、、おぉぉぉぉ、、すげぇ、、」
坂の頂上から麓を見ると、町の全貌を見ることが出来た
「ホントに、すごいね、、」
みんなが荷台から顔を出して、その町に圧倒される
今まで見てきたどの町よりもファンタジーな町が目の前に映っていた
アステピリゴス教国
首都レウキクロス
その町は、とてもキレイな円状に建設されていた
白く高い城壁が円形に町を囲っており、その中に町があるのだ
ステラと出会った城塞都市リングベルにも高い城壁はあったが、見た目は無骨だったし、完全な円ではなかった
地形にあわせてグネグネしていたのだ
それに比べて、レウキクロスは完璧な美しい円だった
それだけでも驚きなのだが、もっと目を引くものがある
巨大な塔とリングだ
レウキクロスの中央には、天にそびえ立つ巨大な塔が建っており、スパイラル状の模様が付いている
地面が1番太く、空に近づくにつれ細く鋭利になっている
そして、その最上階付近に大きな輪っかが浮遊していた
かなり巨大だ、町を囲う城壁と同じくらいありそうな巨大な輪っかだった
塔と同じ白く綺麗なその輪っかは、塔を中心にゆっくりと回っているように見えた
「神秘的な町ですね、、」
「ホントそうね、、」
「あれがレウキクロス?」
「はい、そうです、わたしが教会に引き取られ育ててもらった町です」
「そうなんだ、、すごいところで育ったんだね」
「子どもの頃はあれが普通だと思っていました
でも、改めて見ると不思議な町ですね」
リリィにとっては馴染みのある町だ、だから感動はないのだろう
でも、オレたちと一緒に旅をしてきたことで、自分が育った町が特殊だということを認識したらしい
「あの輪っかってなんなの?どうやって浮いてるの?」
馬車を走らせながら会話する
「町の人は天使の輪っか、と呼んでました
なぜ浮いているのかは誰もわからないそうです」
「天使の?」
「はい、昔話では、アステピリゴスを建国するとき、当時の教皇が天使の守護を得て国を作ったと語られています
その天使の守護によって国は栄え、その証として天使のリングが首都の上空に現れたのだと
そのリングを近くで管理するために中央の塔が建てられたんです
ただ、管理とは言っても何かできるわけではないのですが」
「へー!」
ワクワクするファンタジーな歴史を教えてもらい、少しテンションが上がる
「アステピリゴス教国は国教がクロノス教じゃろう?
つまり、その天使は?」
「はい、クロノス様の使者だと言われています」
「ただの昔話なら子供騙しねって言うところだけど、あのリングを見たあとだとそうも言えないわね」
ソフィアの言う通りだ、この世界には天使も神もいるぞ、と信じてしまう光景だった
クロノス教が国教として広く普及しているのも、この首都ありきなのかもしれない
たしかに、あれを見せられたら入信したくなりそうだ
みんなと町について話していると、門の手前までたどり着いた




