第160話 精霊と心を通わせるには
魔法勉強会3日目
「それでは、今日はわしの方から精霊について説明しようかの」
昨日の実技が予想以上に上手くいった、ということで今日はティナ先生がメインで精霊のことを教えてくれることになった
今日の畑仕事は初日と同じ畑を耕す仕事だったのでサクっと終わらせてかえってきたところだ
ちなみに今日はコハルとの競争はお休みにして、オレはフルで働いて、
相棒のもう1人はコハルとステラで交代しながら作業をしてもらった
ということで、魔法勉強会だ
精霊についてはオレも詳しく聞いたことがないので興味深くティナ先生の授業を聞いている
「まず、精霊というのはなにか、というところからじゃが
精霊とは魔力の集合体のことを言う
その中でも意思がないものを下級精霊
コミュニケーションが取れるものを中級精霊
自らの意思を持って移動できる者を上級精霊と呼ぶのじゃ」
「なるほどなるほど」
「うん、、うん、、」
「上級精霊は移動できる者じゃと言ったな?つまり、、」
「下級精霊と中級精霊は、、」
オレは口を開きかけ、答えをミリアに譲ってみる
「移動、、できない、、かな?」
ミリアが自信なさげに答える
「そうじゃな、正解じゃ」
「ほっ、、」
正解を答えれて安心したようだ
すかさず頭を撫でる、にっこり喜んでくれた
「下級精霊というのは土地特有の精霊なのじゃ
じゃから、精霊の加護を強く受けている土地にはたくさんおって
逆に精霊から嫌われた土地には数が少ない
これは中級精霊も同じじゃな
下級精霊が少ない土地には中級精霊も少ないのじゃ」
「へ~、、」
「その精霊が多い、少ない、の土地に特徴はあるの?」
「ぱっと見でわかりやすいのは、緑が多いかどうかじゃな
緑が多い土地には精霊が多く、逆もまたしかりじゃ」
「ふむふむ」
「なるほど、、」
「ま、とはいっても砂漠などの不毛の地や墓地などには闇の精霊が多かったりもするからの
属性次第というやつじゃな
では、次にこの子たちじゃが」
ティナが手のひらを上に向けると、色とりどりの光の粒があらわれる
赤、青、緑、白、黒の5色の光の粒だ
「わぁ、、きれい、、」
ミリアの呟きに、また白と黒の光がティナの手のひらから離れ、ミリアの頭の上に移動する
「わっ、わっ、、こんにち、、は?」
挨拶に応えるように、2つの光はミリアの頭の上でくるくると回り出した
「おぉ、こちらが教える前からミリアは精霊とコミュニケーションが取れておるのう
さすがじゃな」
「それってすごいことなんだよね?」
「そうじゃ、最初からなかなかこうはいかぬ
エルフでもじゃ、人間の中ではかなり稀有な才能じゃろう」
「すごい!ミリアはすごいな!」
「そう、、なの?、、うれしい、、な、、」
「ちなみに、その子たちは中級精霊じゃ
このあたりの土地に住んでおる子たちに呼びかけて集まってきてもらっておる
精霊の力を借りるには、
まず第一段階として、精霊を呼び出す
次に第二段階として、精霊と話せるようになる
そして最後に、精霊にお願いして魔力を貸してもらう
という流れになる」
「うん、、うん、、」
「ほうほう」
「ミリアは第二段階がすでにできておるようじゃから、精霊を呼び出すところから練習してみるかの」
「わ!わかりました!」
「オレもやってみていい?」
「やるのは構わぬが、9割方ムリじゃと思うぞ?」
「そうなんだ?」
「手を出してみるのじゃ」
「わかった」
オレは両手を前に出して、手のひらを上に向けた
「ちょっとよいかの?」
ティナが声をかけると白と黒の光がティナの手のひらに戻ってきて、他の光と合流する
そのまま、オレの方に手のひらを近づけてくれる
「挨拶してみるがよい」
「え~と、、こんにちは?オレはライだよ、よろしくね」
シーン、、
精霊たちは、ティナの手の上から、うんともすんとも動かなかった
「、、、やはりの、まぁ、精霊との相性がよくないとこんなものじゃ」
「しゅーん、、」
「気を落とすでない、これが普通なのじゃ
あれじゃ、ミリアがすーぱーすごいのじゃ」
ティナがたくさんフォローしてくれるので元気を取り戻す
そして
「ライ様、お茶です」
オレが凹んでるのを見計らってか、リリィがあったかいお茶を渡してくれた
「リリィ、、ありがと、、」
その神がかったタイミングにちょっと感動してしまう
「いえ」
にっこりと笑いかけてくれるオレの天使
「ミリアはジュースがいいですよね♪」
「うん、、ありがと、、ステラちゃん」
隣のミリアにはステラがオレンジジュースらしきものを渡していた
もちろん先生方にも飲み物が配られる
「では、精霊を呼び出すところから、やってみるのじゃ」
「はい!、、がんばりましゅ!」
今日もミリアはやる気満々だ
オレは出番がなさそうなので、今日もたくさん褒めるぞー!
と心の中で意気込んでいた




