第159話 ツインテ少女は魔法の天才?
魔法勉強会2日目
「今日は魔力をこめる簡単な実技をやってみましょうか」
畑仕事が終わったあと、昨日と同じようにソフィア先生とティナ先生が前に座り、
オレとミリアは2人の言葉を真面目に聞いていた
♢
ちなみに、今日の畑仕事は広大な範囲への水やりのお手伝いだった
ミリアがオッサンから指示をもらってきて、
「あそこに、、水瓶がたくさんあるから、、井戸から汲んできて、、
それから、お玉ですくってお水をあげるの、、」
と作業内容を説明してくれた
しかし、
「そんなことする必要ないわよ」
「そうじゃな、今日はわしらの出番のようじゃ」
とうちの魔法使い2人が嬉々として畑の前に立つ
「な、なん、、で?」
ミリアが不思議そうに首を傾げていると
「ん~、どうしようかしら、あんまり強力だと畑だめにしちゃうし
えーっと、ウォーターシャワー」
詠唱を終えると
ソフィアの杖の先端からシャワー状になった水があふれだした
「即席の魔法だったけど、良い感じね」
「では、わしも
精霊よ、この大地に潤いを与えたまえ、頼むのじゃ」
ティナは手のひらを斜め上に掲げた
すると、青い光の粒が現れて、くるくると回りながら水を放出し出した
透明な雨雲を操っているような光景だった
そして、水を出しながら、2人が畑を歩き出す
「わ、、わぁ!、、わぁぁぁ、、」
ミリアはその光景を目にすると、キラキラと目を輝かせだした
そのまま、2人の後ろについて、ワクワクした様子で歩き出す
魔法が出ているところばかりを見て、足元を見ていない
ほおっておくと転びそうだな、と思ったので、すぐ後ろについて歩き、いつでも支えれるように準備する
しばらく歩いていくと、案の定、ミリアは転びかける
「はわっ!?」
「よっと」
なので、そっと支えてあげる
「ぴっ!?、、ありがと、、」
恥ずかしそうに、赤くなってお礼を言ってくれた
「いえいえ♪」
ニコニコしながら、引き続き付き添う
そんなことをしていると、
畑の水やりは、本当にあっという間に終わった
「すごい!ソフィアちゃん!ティナちゃん!すごいね!」
仕事が終わったあとも、ミリアはすごく感動していた
魔法使い2人にも懐いたように見える
オレは3人が仲良くおしゃべりしているのを眺めながら、ニコニコ上機嫌でミリアの家に帰ってきた
♢
「それじゃあ、はい、練習用の杖だけど、これ持って」
時は魔法勉強会に戻る
ソフィア先生がハリーポッターに出てきそうな小さい杖をミリアに渡した
「わぁ、、魔法の杖、、かっこいい、、」
ミリアはその杖を受け取ってじっくり観察している
目はキラキラしていた
「説明した通り、集中して魔力をこめるとその杖の宝石が光るから
まずはそれができるか挑戦してみましょ
こんな感じね」
ソフィア先生が自分用にもう一本小さい杖を取り出し、
くるりと振ってみせる
すると、杖の先端についている白っぽい透明な宝石がポワっと光った
「ひかってる、、しゅごい、、」
ごくり、、
ミリアはこれから自分もやるんだと実感したようで、緊張した表情で喉を鳴らした
「大丈夫大丈夫、リラックスして、きっと上手くいくよ」
「う、うん、、がんばりゅ、、」
言いながら両手で杖を持つミリアは小刻みに震えていた
大丈夫だろうか
「最初から上手くいく人なんていないわよ
気長にやればいいわ、ほら深呼吸して」
「ふー!、、ふー!、、」
「それじゃと息を吐いてるだけじゃな
よし、わしが緊張を解いてやろうかの」
そういって、ティナがミリアの後ろに回り込み、肩をもみもみしだした
「あにょ、、ティナ、、ちゃん?」
「こうすると緊張がほぐれるのじゃ
ほれ、気負わずに杖を振ってみるがよい」
「う、、うん、、えいっ!」
ブンッ
ミリアが目を閉じて控えめに杖を前に振る
ポワ
すると、杖の先端の宝石に光が灯った
「うそでしょ、、」
「おぉ、やはりミリアには才能があったようじゃの」
「、、、」
成功したのに、ミリアからはリアクションがない
目をつぶっているからだ、成功したことに気づいていない
「ミリア、ミリア、目を開けてみて」
「え?、、うゆ、、」
そっと片目をあけるミリア
「はわっ!?光ってる!?光ってるよ!ソフィアちゃん!」
「そ、そうね、、なかなかやるじゃない、、いえ、、すごいわ、、」
「わぁーい!!ミリアも魔法使いになれるかな!?」
「もちろんじゃ」
「そうね、、これならすぐなれるかも、、」
ティナは笑顔、ソフィアはひくひくと引きつっていた
「もしかしてミリアも天才?」
「そ!そそ、そうね!わたしの次くらいに天才かもね!」
突然虚勢を張り出すソフィア
やはり、自分以上の才能をミリアに感じて動揺しているようだ
わかりやすくて面白い
「ティナ先生とソフィア先生のお墨付きが出たから!
ミリアは魔法使いになれるぞ!」
「ホントに!?ミーが、、魔法使い、、しゅごい、、」
嬉しそうに、でも信じられないような顔でミリアが喜ぶ
よかったよかった
このまま順調に魔法を覚えてくれるといいな、そう思う
「んんっ!それじゃあ続けましょうか」
「はい!おねがいしましゅ!」
すっかり緊張が解れたミリアと共に、2日目の勉強会はもうしばらく続いた




