第158話 ツインテ少女のはじめての魔法修行
ミリアの畑仕事の手伝いは、基本的に毎日行っている、とのことだった
その日によって作業内容は変わるが、作業量的にはそんなに変わらない、と教えてもらう
それを聞いて、今まではミリア一人にあんな作業量をやらせていたのか、、
と憤るが、今は一旦我慢して、
「もちろん今日も手伝うからね!」
と明るく振舞っておいた
さて、畑仕事の作業量についてだが、
昨日と同じくらいの作業だとすると、
オレとコハル、もしくはステラの2人体制でサクサクこなせば、
お昼過ぎのおやつの時間くらいには終わるだろう
なので、魔法勉強会の時間は十分確保できると算段を立てた
「よし!今日も張り切って畑を耕すか!」
「だから!作業は日によって違うんだってば!」
「あれ?そうだっけ?コハルにツッコまれるとは意外だな」
「なんだよそれ!ボクだってたまには人の話聞いてるんだぞ!」
うん、そうだよね、たまには、ね
と心の中では思ったが言わないでおくことにした
「ホントたまにだけどね」
しかしソフィア先生は遠慮がない
「ソフィアのいじわる!」
「なかよし、、だね?」
コハルはぷんぷんして、ミリアは少し笑っていた
そんな調子で、今日は全員で畑に向かう
♢
畑に到着、昨日とは違うオッサンの畑だった
ミリアが作業内容を聞いて、オレたちの元に戻ってくる
今日はカボチャの収穫のお手伝い、ということだった
収穫範囲を教えてもらう
例によって、結構な作業量だ
「今日もボクと競争するだろ!」
「おお!受けて立つぜ!今日は負けないぞ!」
「あの、、わたし、、が、、」
「いいのよ、あの2人は楽しくてやってるんだから
わたしたちはお茶でも飲んで見学してましょ」
またミリアが仕事をしようとあわあわしていたが、ソフィアがうまいこと引き留めてくれる
それを確認してから、オレとコハルはカボチャの収穫にとりかかった
♢
「はぁはぁ、、ずるいぞ、、ピーちゃんの力使うなんて、、」
「ピー?」
「はぁはぁ、、そんなことない、、
ピーちゃんはボクの友達だから、、セーフだもん、、」
今日もオレはコハルに僅差で負けていた
目の前で最後の一個を先に収穫されて、とても悔しい
「ぐぬぬ、、オレもピーちゃんの友達なのに、、」
「あはは~、や~い、負け惜しみ~」
オレとコハルは地面に座って空を眺めていた
途中までは良かったのだ、オレが勝っていた
でも、終盤に差し掛かるころ、コハルはピーちゃんに魔力を借りたかと思えば、
髪を真っ赤にしながら猛スピードで追従
「そんなん反則だろ!」
と抗議するオレを無視して勝利を奪っていった
「ライ様、コハル、お茶ですよ」
「ど、、どうぞ、、おつかれさま、、それに、、ありがと、、」
座り込んでるオレたちの元にリリィとミリアがやってきて、冷たいお茶を渡してくれる
「ありがと~、うめぇぇ」
「ホント、運動したあとのお茶は美味しいよね~」
そのまま一息ついて、少ししたら家に戻ることにした
帰ったら、予定通り、魔法勉強会をはじめるつもりだ
♢
ミリアの魔法勉強会初日
オレとミリアはリビングの食卓に並んで座って、ペンを握っていた
ミリアの正面にソフィア先生、オレの正面にティナ先生が座っている
「それじゃあ始めましょうか」
「お願いします!ソフィア先生!ティナ先生!」
「おねがいします、、ソフィア、、先生、、ティナ、、先生、、」
「ミリアは先生なんて呼ばないでいいわよ、こいつふざけてるだけだから」
「わしもティナでよいぞ」
「ふざけてません!先生!」
「うっさいわね、教えてあげないわよ」
「ごめんなさい、、」
なぜか睨まれて怒られる、しょんぼりするじゃないか、、
「それじゃまずは基礎から、ちょうどいいからあんたも復習がてら聞いてなさい」
「はぁーい、、」
ソフィア先生が魔導書を開いて、魔法とはなにか
どうやって発動するのか、その基礎について説明をはじめた
オレは知っていることだが、真面目に聞く
「ふむふむ、、へ~、、しゅごい、、うん、、うん、、」
ミリアがツインテを揺らしながら、ことあるごとにコクコクと頷いていた
その仕草が可愛くって、ついつい隣を見てしまうのは内緒だ
「、、、」
ティナ先生がオレのことをジト目で見ている気がしたが
うん、気のせいだろう
こうして初日の座学は滞りなく完了した
「どうだった?難しくない?」
「うん、、まだ大丈夫、、ソフィアちゃん、、説明、、すっごくわかりやすいから、、」
「そっかそっか!ミリアは賢い子だな!よしよし!えらいぞー!」
頭を撫でながら褒めまくる
「あ、、ありがと、、えへへ、、」
「、、、ねぇ」
撫でられて笑うミリアを見て、ソフィア先生がジト目で声をかけてくる
「はい!」
「なんで、わたしにはそんな怯えてるのよ、、傷つくじゃない、、」
「そんな!怯えてないよ!?」
ガタリ、オレは立ち上がってソフィアの元に近づく
あわあわと、どうすればいいかとその周りをうろついた
「、、わたしも頑張って教えたんだけど、、」
髪の毛をくるくるといじりながら下を向いてしまうソフィア
そして、隣のティナに肘で突かれる、腕のあたりを
えーっと、、そういうことか!
オレはすぐに手をのばして、ソフィアの頭の上に手のひらを置く
「ソフィアありがとうなー!!
いつも魔法わかりやすく教えてくれて!すごく助かるよ!!
さすが天才魔法使いだ!」
オレは頭を撫でながら感謝の言葉を述べる
「そ、そうかしら?ふ~ん?」
ちらりとオレの方を見るソフィア
「うん!ソフィアには感謝しかない!
それにこんなに可愛い!
可愛くって天才でソフィアは最高だ!!」
「、、えへ、、へへへ、、なかなかいい気分ね!もっと褒めていいわよ!」
えっへんと胸を張って、どや顔で目を瞑り出した
かわいい、もっと撫でさせていただこう
「ソフィアかわいい!天才!キュート!賢い!ありがとう!」
「うんうん!」
しばらくそうして撫でまくっていたら、ミリアとティナに見られていることを思い出し、唐突に正気に戻ってしまうソフィア先生
「あ!も!もういいわ!
明日も勉強会なんだから!覚悟しておくのよ!」
ビシッ!ビシッ!
ミリアとオレを順番に指さして立ち上がり腕を組みながらそっぽを向いてしまった
その様子もすごく可愛くって、ミリアと顔を合わせてクスリと笑い合う
明日からも、ソフィア先生には教えてもらったらちゃんとお礼を言おう
そう思いながら、夕食の準備に取り掛かることにした




