第101話 次の目的地
ガルガントナで数日過ごした後、
オレは次の目的地について考えていた
と、いうのも、ある課題が見えてきたのだ
「ステラ、今日もお願いしていいかな?」
「もちろんです!」
オレたちはガルガントナの町から外に出て、適当な原っぱで、練習用の刃がついていない剣を構えて向き合う
「よろしくお願いします」
「はーい!」
頭を下げるオレと元気よく手を振るステラ
ガキンッ!ガキンッ!
ほどなくして剣士同士の打ち合いが始まった
「くっ!」
ステラの剣は重く、さばくので精一杯だ
「うおぉぉ!」
なんとか隙をつこうと気合を入れて斬り込むが、剣で受けられて力を流される
「えい!」
「うわ!」
体制を崩したところで、
ステラの剣の柄で背中を叩かれ、オレはベシャっと地面に倒れてしまう
「くぅ〜、強い」
「それほどでも♪」
「治療しますね」
リリィが近づいてきて、背中にヒールをかけてくれる
「ありがとう、リリィ
ねぇ、ステラ、さっきの剣で受け流すやつ、あれどうやってるの?」
「えーっと、剣で受けたあと、すぅーと力を抜いて、
えい!って受け流すんです!」
「うーむ、わからん」
「だから、ステラに剣の先生は無理よ
ステラは天才型だもの、人に教える才能はないわ」
「えー!そんなことないですよー!
私がライさんに手取り足取り教えてあげます♪」
「それ前から行ってるけど、ライの剣、ぜんぜん上達してるようには見えないわ」
「う~ん、まぁ、、ねぇ」
そう、少し前からステラには剣の修行に付き合ってもらっているのだが、
オレの剣の腕はほとんど変わっていないように感じていた
これが新しい課題だ
そもそも、オレには剣の心得なんてなくて、最初に取得した
身体強化のスキル
でなんとなく剣を振り回せているだけだ
それに、この世界にはレベルという概念がないらしい
モンスターを何匹倒しても、
冒険者ランクが上がっても、剣術が上手くなる、なんてことはなかったからだ
だから、オレの能力は転生後からあまり大きく変化していない
「やっぱり、剣の先生が必要だよなぁ、、」
「しゅーん、、」
オレが呟くと、ステラが見るからに悲しそうにする
「ステラ、こっちきて
ステラにはいつも美味しい料理を作ってくれて感謝してるし、オレたちパーティの主力として戦ってくれて頼りにしてる
剣を教えるのが少し苦手だからって、ステラのことを愛してるのに変わりはないよ
それに、そういう能力を見て、ステラを好きになったわけじゃないって分かってくれるよね?」
「そ、そうですか?
うふふ♪
そんな嬉しいこと言ってもらえるなら、拗ねて得しちゃいましたね♪」
笑顔に戻ってくれる
オレの気持ちは伝わったようだ
よかったよかった
納得してくれたようなので、かわいい嫁の頭を撫でておくことにした
と、いうことで、次の攻略対象は剣術を教えてくれる人だな
え?その辺の剣術マスターのオッサンに頼めって?
いやですけど?
美少女と修行するのがいいんじゃないですか〜
そもそも、そうじゃないと頑張れませんよ〜
わかってませんね〜
え?いうと思った?
「ライ、ライってば!」
「ん?なぁに?」
脳内で会話してるとソフィアに声をかけられた
「それで?次はどこに行くのよ?」
「そうだなー
まずは剣を教えてくれる人を探そーかな」
「ガルガントナにはおらぬのか?」
「あーそれはどうだろう?」
少なくともオレ好みの美少女はいなかった
もちろん、攻略さんでこの周辺のマップは検索済みだ
「ライ様、、もしかして、、ソフィアのときと同じこと考えてますか?」
「わたしのときと?
どういう意味?リリィ?」
「ライ様は、オラクルで魔法の先生を探していたのですが、
可愛い女の子じゃないとイヤだって言ってました」
「えっと、、」
え?そんな言い方しましたっけ?
リリィさん、なんだか棘がありませぬか?
「ふ、ふーん、それがわたしってわけ?
なかなか、見る目あるじゃない」
あれ、ソフィアにも怒られると思ったけど、そっちのパターンか
うちの魔女っ娘は腕を組んでそっぽを向いていた
もちろん頬は赤い
かわいいじゃねぇか
「つまり、可愛いおなごにしか剣を教えてもらいたくないということか?」
ティナが呆れ顔でこちらを見てくる
「ま、まぁ、、
要約すると、そういうことです、、」
「ライさんの欲望はとどまることを知りませんね!」
ステラはなぞのテンションではやしたたてくる
「お、おっけーおっけー
次の目的地は、近いうちに決めるからちょっと待ってて」
話がおかしな方にいきそうだったので、
一旦待ったをかけて、ステラとの修行を再開した
剣を教えてもらうことはできなくても、戦闘経験を積むことはできるはずだ