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1-1話_New Frontier

登場人物のストックが30人ぐらいありました。


『新入生、入場』

進行のお姉さんのアナウンスを合図に、初々しい制服姿の新入生が講堂に入場する。

聖召学園の講堂は、まるで演劇ホールのようなステージ、巨大なプロセニアムアーチ、オーケストラピットさえあり、上階にも客席がある。


奏はステージ壇上のスーツの威厳あるお爺さんをじっと見ていた。

ふかふかの席に座り、周囲をざっと見渡した感じ、新入生は100人越えるか超えないかであろう。


後ろの席からたくさんの密々(ひそひそ)話が聞こえる。


「新入生代表挨拶、やっぱり入試トップの彼女らしいよ。」

「あの大人しめなメガネの人?アイマさんだっけ。既に『()()()』持ってるらしいじゃん。エリートちゃんだよね。」


「お前と同じクラスになれるといいな。友達作るの下手じゃんお前。」

「俺らが偏ったら学校側も面倒じゃないか?。」


―キィィン!


壁付けの音響設備から、マイクがハウリングする嫌な音がすると、講堂は静まり返った。


『それでは、入学式を執り行います。開会の挨拶をー』



『クラス発表に移ります。呼ばれた生徒は壇上に上がってください。敬称略にて、各担任が点呼いたします。』


理事長挨拶、新入生代表挨拶、生徒会会長挨拶、来賓挨拶などがやっと終わり、クラス分けに移った。

ここ、聖召学園1クラス25人前後で4クラスにて編成され、A〜D組まである。噂では成績順らしいが、それは確かでは無く、眉唾ものだろう。


『タカノミヤ カナデ』


奏はD組の序盤の方に呼ばれた。



入学式が終わり、各々の教室に向かい、初めてのホームルームを行った。

堅ぐるしい入学式とは一変、教室で行われる入学のしきたりは何かとゆるい。

制服とスーツの胸に造花を付けている教師や生徒が皆、新しい環境に胸を膨らませている。


「では改めて自己紹介を行う。私の名前は御手洗 啓斗(みたらい けいと)。教師歴は2年目だ。よろしく。それじゃ、順番に名前を呼んでいくから、その場に起立して、自己紹介を簡単にしてくれ。」


何人か自己紹介が終わった後に、奏での番が回ってきた。


「天宮 奏。」

「はい。」


奏は軽く、それでもって教室にある程度響くぐらいの声で返事した。

母が後ろの方で心配そうに見ていた。


「天宮 奏です。よろしくお願いします。召喚獣は未所持です。」


奏が、召喚獣、というワードを口に出した時、先生が口を開いた


「ん?未所持なことぐらい分かっているぞ?。入学前から召喚獣を所持している生徒は極わずかで、学校側もしっかり把握しているから、わざわざ言わなくてもいいぞ。」

(滅茶苦茶余計な事言った気がする…。)

「よ、よろしくお願いします。」


奏では少し冷や汗をかいた。

父のクォーツを持ち出していることは、肉親である母にも伝えていないからだ。



「無法地域となるこの学園の敷地内では、もちろん銃刀法が適用されないのを理解してほしい。個人が使用する武器に関しても学園はすべて把握済みだ。申告した武器以外を持ち込んだ時点で停学処分となる。最悪のケース、退学()()だ。ちなみに私が使用する武器は日本刀だ。』


御手洗先生が、腰の刀の(つば)を親指で押し上げ、刀をチラ見させた。


『で、君たちが一番興味を持っていて、そして一生付き合っていくことになる『召喚獣』を紹介しよう。もちろん、私のだけどね。」


御手洗先生は教卓を持ち上げて教室の隅に運び、黒板前に少しスペースを作った。

清潔感のある青地のネクタイに付けていたクリップ式タイピンを外す。

見た目はよくあるシルバーのタイピンだが、綺麗な山吹色をしている宝石があしらわれていた。


「召喚獣を呼ぶには、『クォーツ』と呼ばれるこの鉱石が必要なんだ。ま、詳しくは授業で習うから今はスルーしてくれ。当学園にお子様を送り出している保護者様は、ほぼ当然の様に知ってると思いますが。」


御手洗先生は『クォーツ』をタイピンから取り出す。


「これが私のクォーツ。」


左の掌に生徒達に見えるように乗せて、そして言葉を放った。


「【モロク】!!」


御手洗先生の掌を中心に、教室中が山吹色の光に満たされていく。

奏の胸ポケットの中のクォーツが少し動いていたのが分かった。

御手洗先生は、召喚の際に放たれるその光に見とれる生徒たちを見回す。

生徒一人一人の反応に注目しながら。


(数人か...。)


光が収まると、御手洗先生の隣に尻尾を4本持つ大きな犬が現れていた。成熟した狼のような大きさで、大人1人でも背中に乗れそうな頑丈そうな体躯。艶やかな金色の毛並みを持ち合わせた神秘的な存在だった。


「こいつが俺の相棒のモロクだ。モロク、挨拶できるか?」

『啓斗の授業で居眠りしたやつは喉笛噛みちぎるからな。』

「おい!」


御手洗先生の召喚獣、『モロク』

生徒たちの目は釘付けだった。


「それではホームルーム終了後に、屋内運動場でクォーツ授与式を行う。えー、保護者様は別棟で保護者説明会が有りますので、一旦解散となります。クォーツ授与式が終わりましたらアナウンスがあると思いますので、再度この教室に戻って来ていただきます。」

この学園の敷地面積は東京都23区ぐらいの広さを想定しているみたいです。

さすがに広すぎやしませんか。

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