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6 ウィリアム視点

 

【神子迎の儀】の翌々日、私は4人の供を連れ王都の冒険者ギルドに来ていた。


 現在、聖女の降臨と所在不明に関しては機密事項とされ、知る者は国の上層部のみとなっている。

 国内に大々的に聖女探しを布告して情報を募ることも策の一つにあったが、そうした場合必然的に他国にも聖女の存在が知れ渡る。


 召喚したのは我が国だが、保護していない現時点で聖女はどの国にも()()()()()()


 繁栄と安寧を齎すといわれる聖女を欲しがる国は数多あり、公表すれば聖女を危険に晒す可能性が大きくなると推測し少数で秘密裏に動くことになった。


 冒険者ギルドは王都のギルドが本部であり、国内の主要な街や村には支部が配置されている。ギルドには横の繋がりがあり、地方の情報も入りやすい。

 私を含めた5人は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()【極秘に王国内を視察】する為【冒険者】としてギルドに登録、そしてパーティーを組み各地へ赴く予定だ。

 裏を返せば聖女捜索を他国に隠匿する為である。ただ王都の冒険者ギルドマスターともなれば、自国の情報も当然持っているようだ。

 先程までギルドの受付フロアで老若男女の視線を一身に集めていた我々5人組は、騒ぎを聞きつけたギルドマスターによって即行応接室に連行(とお)された。


 ◆


 応接室は荒くれ者の多い冒険者ギルドには不釣り合いな、品のある落ち付いた室内だった。

 ギルドマスターは当然のように私を上座のソファ、供を下座に案内し自分はソファの傍らに跪いたが、私はソファに座らずギルドマスターに声を掛けた。


「久しいな。ジオニール王国冒険者ギルドマスター、ローガン」


「お久しぶりでございます、ジオニール王国の若き太陽ウィリアム殿下」


「私だとよくわかったな」


「類稀なる端麗なその御姿を忘れるはずはございません」


 彼とは騎士団と冒険者合同での魔獣討伐の際に交流することがあった。

 実直な性格は好ましく、何よりも元Sランク冒険者という強さは騎士団のいい刺激になった。


「今日の私は一介の冒険者だ。つまり貴方の配下のようなものだから堅苦しいことは抜きにしよう。ローガン、私が冒険者として活動している期間は貴方の不敬な態度や言動があっても不問にする。テオバルド、後で書面にして渡してやってくれ」


「畏まりました」


「では本題に入ろうか。ローガン、どこまで知っている」


「どこまで…とは?」


「私は質問を質問で返されるのはあまり好きではない。2度は言わないよ」


「……聖女様が…、降臨なさったのではと噂が拡がっております」


「噂の出所は?」


「神殿の神官たちが騒いでいたようです。ただ王家からの発表がない為、皆半信半疑です」


「…まあ、想定の範囲内だな」


 この清浄なマナを感じ取れないようでは神官である意味などない。

 私の言葉にローガンは意を決したように問う。


「殿下、聖女様は降臨されたのでしょうか?」


「ああ、降臨された。だが降臨後すぐ姿を隠されたので行方がわかっていない。貴方には色々協力してもらいたいから隠すことはしない」


 質問したことを後悔し顔を引き攣らせているローガンだが、私は最初から彼を巻き込むつもりでいたのでローガンの後悔は無意味だと思った。


 本来、私がすることではないのだろうが冒険者としての今後を見据え、ローガンに私のパーティーメンバーを紹介した。


【ウィリアム・スティオニス・ジオニール】

 私。

 20歳


【テオバルド・コンウォリス】

 コンウォリス公爵家嫡男。

 私の側近兼友人である。

 文官だが剣の腕は一流。

 20歳


【アルバン・ガーランド】

 ガーランド公爵家嫡男。

 私の側近兼友人その2。

 ジオニール国第一魔術師団副団長。

【神子迎の儀】の際、現場にいた。

 22歳


【アメリア・バーデット】

 バーデット侯爵令嬢。

 アルバンの婚約者。

 私やテオバルドとも旧知の仲。

 18歳


【レオン】

 テオバルドが連れて来た男性冒険者。ランクはB。

 18歳



 全員の紹介を終えるとローガンからは「ご紹介くださり有難うございました」と床に頭が着くのでは…、と思う位に身体を真っ二つに折って礼を言われた。

 今回は嘘偽りない名と身分を伝えたが、ギルドへの登録は偽名や愛称などの方がよいだろう。

 テオバルド達と話し合った結果、聖女に対して例え一時期でも偽りの名を名乗るのは…との事で各自愛称を登録することになった。


 私は『ウィル』

 テオバルドは『テオ』

 アルバンは『アル』

 アメリアは『リア』(エイミィでの登録をアルバンが阻止した)


 レオンはすでに登録済みなので『レオン』だ。

 私は更に冒険者として行動するときは敬称を略すよう提案したが、レオンが「せめて“さん“付けをお許しください!!」と泣きそうな顔で懇願する為、彼にはそれを許した。


「貴方もですよ、ギルマス」


『自分は関係ない』という顔をしているローガンに釘を刺すとレオンと同じ顔をして“さん”付けを懇願してきたが、こちらは却下しておく。ギルドマスターがただの冒険者に“さん”付けはおかしいだろう。

 膝から崩れ落ちるローガンに構うことなく、王国内の冒険者ギルド全てに通達を出すよう命令を出した。




 《 冒険者各位 》

 管轄の街、町、村に見慣れぬ女性が現れたら速やかに冒険者ギルド支部を通し、王都冒険者ギルドマスター・ローガンまで報告をすること 





 ~~ 閑話 ~~


「ウィル、もう少しフードを深く被ってくださいますか、貴方の容姿は目立ちすぎます。耐性のない平民の婦女子にとっては顔面兵器なのですからね」


 物心付いたときからの付き合いである、テオバルドが私に苦言を呈す。


「テオもウィルの事を言えないと思いますよ。でもアルが一番ステキです!」


 ツッコミを入れつつ惚気てニコニコと笑うアメリア。


 そんなアメリアを愛おしそうに見つめるアルバン。


「…」


 私達のやり取りを死んだ魚の目をして無言で見ているレオン。


 恐らく彼は『こんなキラキラしてる平民冒険者なんていねぇわ!!!』と思っているだろう。

 私もそう思う。

 しかし彼は気付いているのだろうか?

 自分も十二分にキラキラしている容姿だということを…。


なんとか王太子出せました。

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