終着地
日が沈み、日が昇る。
何度も何度も空は暗転し、そして黎明へと変わる。
少女と少年はずっと旅をした。様々な世界を巡り、様々なものを見た。無限に天へ続く階段、大きな城とその城下町、店が入っていないショッピングモール、ガラスやネオン色で作られた近未来的な都市…その旅の中で誰かと会うことはなかったが少年との旅は楽しかった。そして少女は、幾度にもわたる旅の果てに、自分の世界へと帰ってきた。
少女がこの世界から去った時と見た目は何も変わっていない。汚れているとか植物が枯れているとかいうことはなくて、本当にそのままだった。唯一、少女がいない間に誰かが来たのだろうか、植えた覚えのないところに花が育っていた。
「ふう、僕は君をちゃんと帰すことができて安心したよ」
「ええ、そうね」
少女は少年との旅の中で彼の特徴についてある程度把握していた。彼は感情をはっきりと表情に出す。今も彼は心から安心しているような表情を浮かべている。実は彼は途中から中々この世界へと来ることができずに焦っていたのだ。ただ、その感情だけは表情に出さずにいたので少女は一切気が付かなかったが。
「それじゃあ僕はそろそろ行くよ」
「っ…」
少女は家の方へ体を向けたまま、そして少年はその反対側へと歩き出した。少年は敷地内でテレポートするのを嫌い、大きな建物などに入ったあとは律儀にそこから出てからテレポートをしていた。今日も同じ意識で少女の家の敷地から出るために塀の外へと歩き出したのだった。
少女は顔を背けたままだ。少年に別れの挨拶をしようという気配もない。それが人生の中で一番の後悔になると理解することができていなかった。だから、だから…私はずっと一人なのだ。
彼はそのあと何も言わずにテレポートをしていった。きっと彼自身の世界へと帰ったのだろう。今思えば随分と彼を振り回して迷惑をかけたような気がする。ただもうその謝罪をすることは叶わないけど。
私は一人自分の家に入って、棚の中にあった新鮮同様のじゃがいもを切って焼いた。そういえば今日はまだ何も食べてなかったななんてことを思いながら。一人で食べるじゃがいもはとてもしょっぱくて、塩なんて大層なものは何もかけていないのに、そんなものは私の家にはないのに…
結局彼はそのあと私の世界に一度も訪れていない。多分運が悪いだけなのだろうけど。
今日も今日とて私は植物を育てる。元々一人だったというのに、いつの間にか私は一人に弱くなっていて。
これで私の日記は終わり。またあなたに会えるまで、この日記はこのあとずっと白紙のまま。
だから、また会いに来てね。
ここまで読んでいただきありがとうございました




