最終話 世界に秩序がもどる。
誤字報告ありがとうございます。
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「先に質問良いですか?」
『よかろう』
「リソースが足りなくて【白色】以上の確保されてる魂が肉体に戻す事が出来ないんですよね?それなら【善悪値】の高い順に選んで行ってリソースの足りる分だけ元に戻して【善悪値】の下からはリソースにしていった場合、過去に戻して〔神〕様の管理する人数に足る数が確保できますか?」
『無理だな、そもそも【善悪値】と【レベル】が低い魂はリソース量も大した量にはならないんだ、数で賄う感じになるって思ってくれれば良い』
「そうなんですね、上手く行かないものですね」
何か良い案はないのかな、時間を戻すってのは良い案だと思うが
『そうだな、絶滅したら他の星から長命種でも連れて来るか、ヒューマン種でも連れてきて開拓させるのも一つの手では有るな』
「それだと本末転倒なのでは?」
地球の人類を管理するのでは無かったのか?
『我々は星の管理者だ、汝の住む星の伝承や空想に出てくる神のような都合の良い存在では無い』
「・・・」
絶句してしまった、人口管理で魂を鍛え見つけるのが使命なのだとばかり思ってた。
「では、人類が滅んでも特に問題無いと?」
『そう言う事だな。だが指令は星に住む生命体の数を調整しバランスの取れた星へ導けと言うのが上から与えられた指令だ。なので最善の方法を探し続けるし修正もいくらでもしよう』
「なら滅亡前に打てる手を探すと言う事でしょうか?」
『そうだ、汝を呼び出したのもその一環だ』
「先ほどの話にあった過去の一点に戻す方法でも、人口は戻らないのですよね?」
『そうだ、時間は戻せても本来なら死者も戻せぬ。特に穢れ悪しき魂は必ず処理場送りにしなければならん』
「では過去に生きてた人の多い時代に戻すのは?」
『それも厳しいな。汝が子供と引き離された前ぐらいまでならリソース内で何とか出来ても、記憶の整合性を弄るだけのリソースは足りないから、そこまで戻すと混乱が生じる恐れも大きい。我々が星の管理に介入した時点までが理想のリソース消費量ではあるな。当然介入後から死んだ魂も元に戻す事が出来ない。処理場に送られた魂や、輪廻に帰った魂はどうやっても戻せないからな。だが今回は輪廻に帰さずに星の安定化の為のリソースとして保存しておいた事が幸いして手段を模索する事が出来る』
「【エリクサー】等も持ってますがリソースに戻すと量的にはどうなのですか?」
『それ自体ただの回復薬の一種でしかない、一つの魂の肉体の修復にそれほどのリソースを使うと思うかね?』
「思えませんね・・・」
そっか、肉体の修復とか人類にとっては夢の様な薬でも、視点が変わればただの薬扱いか。
「【ダンジョン】ボスとか魔石とかはリソースになりますか?」
『【魔物】をいくら倒してもリソースにはならない、魔石は純度と数によってはリソースとして使える』
「そうですか。では自分に触れて貰っても宜しいですか?口で説明するのが難しいので」
『ふむ、よかろう』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『ほぅ、そのような方法があるとはな。しばしまて』
「はい」
この方法でまだ足りないならもう少し魔石集めだな。
『今までで一番良い結果に繋がるが、今の時点ではまだ足りぬ』
「では急いで戻って集めます」
『まぁ急ぐ事はない、第二段は現時点を持って凍結され、第三段も破棄された。本来であれば【黒色】【赤色】を減らす為に【ダンジョン】から【魔物】が出て来る事となっておったが汝の提案を以って凍結された』
「やっぱり【ダンジョン】から【魔物】が出て来る事になってたのですね、危惧してた通りでした」
近しい集団の【レベル】をあげておいて良かったとは思うな、時間を戻したとしてもいずれは凍結解除して実行されるはずだし。
『汝の提案に褒美をやらねばな、息子と娘の居場所と情報を汝の魂に直接送り込んでおく。一目見れば分かるようにもしといてやろう、初めだけだが輪郭が光って見えるようにしといた』
「ありがとうございます、名乗り出るかどうかは分かりませんが成長した姿を一目だけでも見に行ってみます」
思わぬ所から我が子の情報を得る事が出来た。苗字が変わってる事からしてもやっぱり里親に引き取られてたのだな。
『汝の好きなようにするがよい』
「それでは今しばらく槍をお借りしてても構いませんか?」
『よかろう、汝の計画の結果が変わりそうな兆しがあれば使者を出す』
「それでは体に戻して貰っても良いですか、少しでも多く集めたいので」
『わかった。我がこのまま肉体まで飛ばすとしよう』
そのまま自分の意識はブラックアウトし肉体に無事戻るのであった。
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「ただいま、ドラゴンさん」
「よく戻った」
「それじゃあさっそくで申し訳ないけど、ドラゴンさんの所に顔を出した要件を先に済ませるね」
「何があったか聞きたいが後でもよい」
まずはドラゴンさんに魚を出せるだけ出して、焼きながらどんどん食べてもらった。実に美味しそうに食べて貰えて嬉しかったし。この後はやらないと駄目な事が多いのでゆっくりもしても居られない。それでも、ドラゴンさんには〔神〕様とどう言った話をし、星の上の人口が管理限界を迎える程減少してしまった事も話した。時間を戻す計画も話をし納得もして貰ったが少々寂しそうな表情をしてた。
「それじゃ今から下に向かって魔石集めするから。しばらく会えないか、時間が戻ってしまえばもう会う事もないかもしれない。色々教えてくれて、ありがとうございます。お元気で」
「貴様も頑張るがよい」
それだけを交わしてドラゴンさんと別れた。実にあっさりした別れではあるが、いつもこんな感じでの別れなので特に感傷はないはずなのに、時間が戻る=もう会えない寂しさでか涙が少し頬を伝った。
そこからは純度の高い魔石を集める為に下の階に突き進んだ。純度の高い魔石を集めながらも【スキルブック】も色々手に入った。中でも珍しい部類に入る〈アイテムボックス〉も6冊も手に入ったし1冊はシルバー本だ。手当たり次第に【魔物】を狩って集めた。
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長男が住んでる京都嵐山まで突っ走て、渡月橋手前に出来てたらしい初級【ダンジョン】前までやって来た。らしいと言うのは〔神〕様に息子の住む所を魂に直接送り込まれた際にそう記憶されたからだ、当然現在は荒野と言っていい風景のなか一直線でやって来たのだが。道中は川が多く今の身体能力なら軽く飛び越えて突き進めた。
京都嵐山の初級【ダンジョン】に着いた頃には夕方になっており、そこ彼処で調理してるのか湯気や煙が立ち昇ってる。どうやら火魔法の使い手が居る様で、火には困ってる様子は無かった。近くで調理してるご婦人に声を掛けて集団のリーダーの居所を聞き出しお礼を言って離れた。
そしてご婦人に聞いた場所にやって来ると、比較的若い集団が調理された食料を食べてる最中だった。食事中に申し訳なかったが、息子とは伝えず「智樹」さんって高校生ぐらいの人を探してると言うと「あっちの方の集団で食べてるはずだよ」と指差して教えてもらえた。話し掛けたついでに明日の昼から食料を提供して、ここの集団すべての人が食べる量があるのと、幼子や乳飲み子用に、離乳食やミルクの用意もあると宣伝してもらう様に頼んだら、即了承してもらえた。
そこからは緊張気味に指差された方へ移動して行き【緑色表示】で集まって食事してる集団の中に輪郭が光って見える男の子が目に入った。身長は自分に似たのかそれほど高くはなく、目元も元妻によく似ている。小さい頃の面影があり泣きそうになったが堪えた。
「おじさん、そんな処で突っ立ってどうしたん?食料ないん?」
「いや、おじさん頼まれ事でここの集団まで来たんだけど「智樹」君に用事があって会いたいんだけど、居てますか?」
泣きそうになって棒立ちになってたら、女性と少女の境ぐらいの見た目の子に話しかけられ、目的の人の事を聞くと本人が手を挙げてくれたので少し話がしたいと集団から離れた処で銀色枠のゲートを出し中に入ってもらった。
「こんばんは、私は阪本仁と言います。あなたの妹さんに頼まれて荷物を預かって届けに来ました」
「妹が自分の事を覚えてる?離れ離れに引き取られた時で2歳にもなってない妹が?」
「ええ、お兄ちゃんが居るとの事で妹さんの両親からあなたの名前だけ聞き出して、各地を捜し歩いてやっとお会いできた次第です」
そう説明すると、妹の名前はなんと言うと問いかけられたので、逆に問う。自分は既に本人と確信はしてるが向こうはこっちを知らない。小さい頃だから覚えてもいないだろうし。
「今までもそうやってこちらから聞き出そうとする人に騙されかけたので、出来れば「智樹」さんの口から妹さんのお名前を言って欲しいですね。貴重な物を預かってますので」
「妹の名前は「岬」だ、自分も小さい時に別れたきり会えてない、どこに居るか知ってるなら教えてほしい」
「ええ勿論、ですが「岬」さんからの荷物を預かってるので先にお渡ししますね」
そういって、【スキルブック】を色々と覚えさせた、〈アイテムボックス〉を覚える際にはこんな貴重な物を妹が?と怪しまれたが、そうですよと一言いい覚えさせた。ついでにお仲間の人が居てるならと、〈探知〉や〈盾術〉や〈剣術〉や〈短剣術〉や〈衝撃耐性〉に〈回復魔法〉のスキルブックを追加で取り出して渡したら早速アイテムボックス内に仕舞ったので、注意を促しておいた。〈アイテムボックス〉なんて希少なスキルを持ってると他人に良い様に使われる可能性があるからと。すると〈アイテムボックス〉に仕舞った【スキルブック】を取り出し手で持って行くそうだ。それでも仲間との探索では食料集めに役立つだろう。
息子には〈剣術〉、〈衝撃耐性〉、〈盾術〉、〈回復魔法〉、〈自己再生〉、〈探知〉、〈アイテムボックス〉、〈スタミナ消費減少〉、〈水魔法〉、〈生活魔法〉、を覚えさせた、過保護と言われようとこの先の未来の為には必須だ。
「妹さんはご両親とご一緒で今も同じ処にいるか分かりませんが、兵庫県に居てますよ」
「もう少し詳しい場所は分かりませんか?」
「ごめんなさいね、結構各地を彷徨ったもので最後にあった場所しか答えようがないですが、坂本岬と名乗ってました」
そう言って地面に漢字で名前を書いて見せた。
ごめんね、詳しい場所は魂に記憶されてるけど、世界の時間が戻るまでは安全な初級【ダンジョン】で大人しくしててほしい。
「とりあえず「智樹」さんの【レベル】はまだまだ低いですので、外のお仲間の所に戻って私の持つ食料で、少し【レベル】を上げましょうか」
「おじさん、そんな高【レベル】の食材を持ってるのですか?」
「まぁね、さ、外でお仲間が心配してるかもしれませんよ、用意してから行きますので先に戻っててください」
そう言いながら肩に触れゲートから送り出す。14年ぶりに触れた我が息子に当時の事が鮮明に思い出されついに涙を堪える事が出来なくなり、いい年をしながら嗚咽を漏らし泣いてしまった。
しばらく泣き、心に一定の決着を付けた。外に食材を持ち出して「智樹」君のパーティーの場所まで行く。食材を調理して行く為に鉄板やらを取り出して、腹一杯になるまで食べさせ。【レベル】を無事に上げる事ができた。
その食事は今まででも格別に美味しく感じた、その際に「智樹」君の里親の事も教えてもらえた、普通の一般家庭で特に貧しくもなく家庭内暴力も家庭内不和もない家庭だそうだ。里親申請の審査は厳しいと聞くし安心だろう。
高校の友人と一緒にパーティーを組み食料を集めてるそうで、明日はここの集団全員に提供すると教えると親兄弟や親せきにも教えて絶対食べに来ると活発そうな子が答えてくれた。勿論手伝いもかって出てくれたのでお願いしておいた。そこで今夜はお開きとし、自分はそっと集団をはなれ自宅としてる異空間に入り、何もする事が出来なく横になって息子の小さかった時の事が脳裏に宿っては涙を流した、一気に離婚直後の感情にまで巻き戻された気分だ。
翌日は約束通り昼から食料の提供をした。手伝いに来てくれた「智樹」君パーティーや集団を管理してるリーダー達に感謝しつつも。自分は離乳食やミルクの配給をして感情を落ち着けた。やっぱり子供の離乳食やミルクには困ってたようで、感謝されたが中には見たくない表示をしてる方も居た。だがそれも時間が戻れば消えるだろうと、普通に対応した。
昼から始まった食事会は夕方頃に一人の【黒色表示】者がわがままを言い横取りをしようとした事で食べる権利を失った以外に大きな問題もなく、ほぼ全員が腹一杯食べれたそうだ。今回は赤ちゃんの抱っこは遠慮した、今抱っこすると感情を抑えられる自信がなかったから。
食事会終了後に片づけをしてる最中に魔石を集める為に立ち去る事を伝え。その集団を後にした。
「ねぇトモキ?あのおじさんさ、トモキを見る目だけなんか違ったけど何かあったの?」
「いや、妹からの預かり物を持って来てくれただけだよ」
「そう?それだけじゃない雰囲気だったと思ったけど気のせいだったら変な事言った、ごめん」
「いいさ、気にしてないよ」
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後ろ髪を引かれる思いで集団を後にしたが、心は重いままだった。
次に訪れたのが、いつもの初級【ダンジョン】前で、手に入れたスキルを知り合い連中に渡すのが目的だ、まずは試練に挑戦させられた6人を呼び出した、親御さんの許可の元金色枠の異空間で話をした。
「ミサキちゃん、サクラちゃん、ナツちゃん、ハルちゃん、君たちに〈アイテムボックス〉のスキルをそれぞれ覚えて貰う、そしてその中にマイちゃんチーちゃんが大きくなった時に渡して欲しい【スキルブック】を預けときたい。良いかな?」
「いいよ、おじさん、預かっとく」
ミサキちゃんが元気よく承諾してくれたおかげで、他の皆も頷いてくれた。
真っ先に返事してくれたからって事で、ミサキちゃんへ〈アイテムボックスのシルバーブック〉を覚えさせたら、Lv36で少し低くて凹んでた。エリクサーを始め各種回復ポーション等も容れれるだけ〈アイテムボックス〉に詰め込ませた。
そこからは、〈アイテムボックス〉を全員に覚えて貰い、4人それぞれに、〈剣術〉〈盾術〉〈自己再生〉〈回復魔法〉〈毒耐性〉〈スタミナ消費減少〉〈投擲〉も覚えて貰った、一気に覚えさせたからか、攻撃力のあるスキルって駄目って言ってなかった?とナツちゃんが言ってたけど、もう【ダンジョン】に入って食料集めしてるんだし、安全の為にねと言葉を濁しておいた。
〈火、水、土、風魔法〉もそれぞれが持ってない分を全部覚えもさせた。そしてマイちゃんとチーちゃん用にも同じだけの【スキルブック】を預け、それでも余ったスキルをいくつか預け必要だと思う人に渡して有効利用してとお願いし預けた。
舟木さんにも話があるからとそれだけ言って解散させた。子供達は不思議そうにしてたが、新しく覚えたスキルを使ってみたいのか、はしゃいでいる。
舟木さんパーティーを呼び出して銀枠異空間に入って貰い話をし、【スキルブック】を託していく。舟木さんには〈アイテムボックス〉を覚えて貰って、同じように【スキルブック】を配布し、余ったのも託して必要な人が居たら好きに配って良いとした。
そしていつもの食糧の提供もして、離乳食もミルクも配った。マイちゃんチーちゃんが飛び付いて来てくれたのでいつも通り疲れ果てるまで遊んであげて、他の子とも遊んだが、心が痛い。
夜も更けた頃だけど、食事会も問題は一切起きずに終了したので、片付けをしてるときに舟木さんに片付けたらまた最高難易度【ダンジョン】に魔石集めに行くと伝え、別れた。
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さて、魔石集めを続行しないと、いつ使者が来るか分からない。
そこからは、使者が来るまでの期間を時間を無駄にしないように、【魔物】を狩りまくった。痛む心を忘れるかの如く戦いまくった。それから3日後に、審判と裁きの女神様が顕現された。
『準備が整った。槍を出し、そしてこれを飲め、今度は肉体も持っていく』
言われた通りに即座に小瓶の液体を飲み、その瞬間意識はブラックアウトするも、次の瞬間には以前見た街並みが視界一杯に広がってる。
不思議な光景だ。45年育ってきた体を抱えた、絶世の美女と言っても過言ではない審判と裁きの女神さまを視界に収めながらついていく。
審判と裁きの女神が自分の肉体を丁重に机の上に横たえる。その横に槍も並べられた。初めてここに連れて来られた時とは対応が違うな、ふふふ。
『良く来た、汝の計画通りこちら側の準備は全て整えたぞ。試練開始前まで時間を戻し、存在を消去した魂が担ってた役割も、違和感を感じる事もなく試練開始前に戻れる魂に役割を与えた。魂の数は介入時と比べれば大きく減らしはしたが、汝の計画通り事が進むなら維持管理も問題なかろう』
「それは良かったです、頑張ったかいがあると言うものですね」
本当に時間を戻す準備を万全にしてもらって助かる。
『今存在する魂には今日までの記憶を残したまま過去に戻す。こちら側で保存してあった【白色】以上の魂も死ぬ直前までの記憶は残るが死ぬ瞬間の記憶だけは汝の言ったように消しておいた』
「あの、記憶は過去の時点まで消してやり直すのをお願いしてたはずですが?」
『そこまでする時間と柱とリソースが足りない、代替記憶の作成をするにしても時間も柱も足りなくてな。それに汝の記憶だけ消すにしても個別対応じゃ時間も柱も足りぬので諦めよ。汝の存在を消去するとリソースとして使えぬゆえ容認していただきたい』
「それで齟齬が生じなければ良いんですけど、ここまで来たらやってみるしか無いでしょうし」
『本当に良いのだな?リソースになると言う事は輪廻にも戻れなくなるぞ?』
「今更ですね、我が子の場所も教えて頂いて成長した姿も目に焼き付けて来ましたし、里親も善良な方々でしょうし、時間を戻してみましょう」
『わかった』
次の瞬間、机の上に横たえられた自身の肉体と槍が銀色の光に包まれて細かな粒子となって霧散した。
『なにか伝えたい事はないのか?』
「特に無いです」
『そうか、ではさらばだ。汝の【善悪値】と【レベル】と【固有スキル】に感謝する。おかげでリソースも確実に足りやり直す事が叶う、星の上にある魂もまた苦労なく存続し続けて行けるであろう結果を見た』
その言葉を聞き終わった瞬間に自分の魂もまた銀色の光に包まれて細かな粒子となって霧散した。
『我が子と僅かばかりの知り合いの為だけに、鍛え上げた魂全てをリソースにする案を提案してくるとは思いもしなかった。この星の魂にはもう少し注目して観る必要があるな、いずれ我々の同胞も育とう』
『それにしても、リソースが過剰になる位に【レベル】を上げたものだな。魔石なんか集めた所でそんなにリソースにも成らぬのに本音を言えぬから建前か。
我が子の事を心から想ってたようだしな息子と娘だけには真実を知らせてやるか、これは我からの感謝の印だ』
『さてと、これでこの星は半永久的に周り続けるだろう。幾百幾千と子が生まれ幾年も平和が続く事には成功した。しかしこれだけ逸脱した量のリソースを使ってしまったのだ、我も裁かれに行くとするか。処理場送りか、降格だろうな。降格で済ませて欲しい所だが、最後に星の人種へお告げを済ませてから引継ぎだな』
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『地球と呼びし星に住む人種よ告げに来た。汝らの同胞の最大級の献身により時は戻された。その魂との盟約で本日導入されるは【ステータス】と概念の一部だ【ステータス】は時間が戻る前を引き継ぐので今後の生活の役に立てて欲しいと、たっての願いでもある。今後変わる概念に変更はないが段階的に導入する事もその魂との話し合いで決めておる』
1、【魔素】【魔力】が発生させたエネルギーは一瞬の【魔素】の揺らぎを発生させるだけで持続してエネルギーを生み出さない。
2、【魔素】【魔力】が無い建造物は著しく早く朽ちる。
3、【魔素】【魔力】が高濃度でない限りエネルギーは伝播しない。
4、【魔素】【魔力】が無い電荷は発生しないと言う概念。
5、【魔素】【魔力】が無い生物は生存出来ないと言う概念。
6、【魔素】【魔力】が無い物質は、【魔素】【魔力】を有するエネルギーを通す事や透過させる事は出来ないと言う概念。
7、【魔素】【魔力】が無い物質で、【魔素】【魔力】を有する物質を破壊する事は出来ないと言う概念。
『まずは、6番と7番が本日導入される概念である、1番から5番は数十年掛けて導入される。本来であれは本日この時間に【ダンジョン】へ試練者が選ばれていたはずだが、その必要はもうなくなった。この星の人種の肉体は脆弱極まりなく、試練の結果も記憶しておろう』
『残念ながら試練で亡くなった魂は既に輪廻に還ってしまってる故生き返る事はない、また巻き込まれた穢れ悪しき魂も処理場送りとなっておる』
『今より一か月後に初級【ダンジョン】と中難易度【ダンジョン】が出現し食料調達の場になる。六か月後には、前の時と同じように、星の資源は回収し動物のみ隔離する。植物は【魔素】の影響を受けにくかったので今回は残す事にしたが、肉体に悪影響を及ぼす害のある植物は消す』
『【ダンジョン】の【魔物】より採れる【魔石】は高火力で燃やす事も出来るように、献身されし魂と盟約を結んでおるゆえ、今しばらくは資源が星に回収されても生活に苦は生じ難いであろう』
『くれぐれも魂を、穢し悪しき魂に落とさぬようにな。ゴミは必要ないゆえ』
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坂本岬 視点
つい今し方〔神〕様からお告げがされたが、前回の時と内容が違うし私の【レベル】も92まで上昇してる、【スキル】もそのままおじさんから貰った物が記載されてる。
突然周りに建物があり、あの日遊んだ公園にサクラ、ナツミ、ハルちゃんの4人で鉄棒をしていた。記憶は鮮明に覚えている。本当ならこの鉄棒と一緒に傍に居るマイちゃんとチーちゃんとおじさん?と落下したはず。でも自転車で通過して落ちるおじさんが見当たらない。
サクラとナツミとハルちゃんも違和感を感じてるようだ。おじさんを探してるみたいにキョロキョロしてる。
それに【ステータス】の【加護】に[実父の思い]なんて付いてる、前は無かったはずなのに。恐々タップしようと触れた瞬間すべての事実が頭の中に流れ込んできた。会見の日に見た性悪女が実母ってのも衝撃だったけど、おじさんが実父だったのも衝撃だ。今の両親の子じゃ無かったてのも衝撃だったけど、一番のショックはおじさんとはもう二度と会う事が出来ない事を理解した瞬間だ。この不思議な現象におじさんが関わってた事を知ってしまった。
「「ミサキちょっとどうしたのよ、突然涙なんか流して」」
気付かない内に泣いてたようだ、心配かけないように何でも無いと言ったがそのうち、打ち明けよう。
あと、実の兄が京都に居るのも知った、今井智樹、どんな人だろう。
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世界は人口を五億まで減らしたが、法も秩序も元通りでこれからの世界に順応していくのだった。
それと言うのも、頭上に表示される内容が犯罪や違反行為だと事細かに出てしまうからだ。嘘も演技も偽証も全て見抜かれてしまう。弁護士の発案も演技と見なされる件が横行した。
お読み頂きありがとうございました。
本作を投稿し始めて文章の作り方の難しさを思い知らされました。
結果丸々1章分の話や説明的な話を削ったりと140万文字程削ってしまいました。
今後、修正する時に話を追加で上乗せしたり章を増やして話を挟んだりするかも知れません。
こんな稚拙な話でしたが、本当にお読み頂きありがとうございました。
12/4追記:近々子供達のその後を投稿する予定です。