第七話 おじさん〔神〕と対話する
誤字報告ありがとうございます。
本当に感謝しかありません。
感想欄も読ませていただいてます、ありがとうございます。
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トビウオに似た?サイズはマグロより少し大きい感じなのだが。魚が大量に取れて浮かれすぎた。そのせいで金色の粒子の集まりに気付く事が出来ずに、背後から声を掛けられてしまった。
内心では必死に異空間へ逃げ込む方法を考えたが、女神さまの圧に屈する形での対話が始まった。
それにしても、お怒りだったのは分かったのだが、いったい何をしに顕現なされたのだろうか?お説教らしきものを話し出して、地面に座らせようと、いや正座でもさせるつもりだったのだろうか?でもそのお説教が長引いたのか金色の粒子となって消えてしまった。
助かった思いが大きすぎてその場で即異空間に逃げ込み、ホッと一息ついて呆然とするのであった。女神様がいったい何をしに顕現されたのかが、いくら考えても分からないのだった。非常に長い時間を思考に没頭し思い悩んだが解決策は思い浮かばず、分からないなら良いやって感じで思考放棄する。
そこからは、思い出したように久しぶりの魚!我が子や嬢ちゃん達やマイちゃん達にも食べさせてあげたいって気持ちも大きく湧いて来るが、まずは実食といっちゃいましょうとばかりに魚をさばき始めるのだった。
魚が大き過ぎるので程よくさくに切り分けて、造形術で木の枝を串に加工した物を扇状に刺していき、直火の遠火でじっくりと焼いて行くと見た目淡白な白身から油が滴り落ちて、落ちた油が直火で炙られると同時に、何とも言えない芳しい匂いを辺り一面に漂わせ、生唾を飲み込むのであった。
焼き上がり、一口齧るとその身はほくほくと柔らかく、噛みしめるほどに旨味が口内を蹂躙する。そうなると後は言うまでもなくがっつき食べつくすのであった。旨過ぎて結構な量を食べてしまった。
つい興味にかられて、薄切りを一枚用意し醤油も塩も無いが、おもむろに口にインすると、これまた淡白なのにめちゃくちゃ旨味が凝縮されており、刺身でも抜群な食い応えを齎すのであった。
これは、嬢ちゃん達やマイちゃんに、優大君パーティーに舟木さんパーティーにも食べさせてあげたい。
ドラゴンさんにも食べさせてあげたい気もするけど、これだけの量じゃ足りないような気がする。
それからも、異空間を避難口に【デビルフライフィッシュ】を狩りつくす勢いで漁るのであった。
そもそもこの【魔物】は飛び上がって突進を仕掛けてくるのだが、滑空してる胸びれを槍で切り落としてしまえば、飛島の上でビチビチと跳ね回るだけなので、そこを一突きで青黒い粒子になって【ドロップ】を落とすってわけだ。〈探知〉で察知して切り落とすを繰り返すだけの作業となってはいるが、尋常でない速度での突撃なのは言っておく。
これだけの量があれば初級【ダンジョン】前に居てる集団には行き渡らないだろうが、嬢ちゃん達と交流のあるパーティーとドラゴンさんが食べるだけならなんとかなるだろう。ドラゴンさんを除けば集団にも振舞えるが、そこまで親しくもないその他大勢など普段の配給だけで勘弁してもらいたい。貴重な情報源のドラゴンさんを優先しても文句は出まい。いや文句は出るか、それが人ってもんだし。
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審判と裁きの女神
『ぐぬぬ、あれから警戒度が上がったのか、油断も隙もない』
『統括は、一つの魂に会うだけの為に星全体の時を止める事は許可してくれないし』
それだけのリソースを使っちゃう訳だから理解はするわよ。
『逆に出会う事に成功したのに目的達成しなかった事をグチグチ言われたわ、まったく踏んだり蹴ったりだったわ』
『それにしても、このイタチごっこは疲れたわね。泣いてしまいそうですわ』
『統括が言ったように、あの初級ダンジョンの集団リーダーに伝えて貰うのが一番ですわね』
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自分は最高難易度ダンジョンを出て、初級ダンジョンに向かってひた走っていた。子供達へ魚を食べさせる為にだ。これで幾許かのレベルも上がるだろう。
仮に初級ダンジョンから魔物が出てくる様に段階が進んだとしても自衛できるだろうか?不安ではあるがレベルは上げれる時に上げておきたい。
それに〔神〕様が自分を狙ってるのも気にはなる。
このおじさん、既に狙われてると思いっきり勘違いし思い込んでしまってるのだった。哀れ管理者サイド。
時は移り変わり、子供達へ魚を食べる会を提案し子供達とそのご両親辺り迄を対象に集合をかけた。子供達は自分達の親を呼んでも良いのか不安顔ではあったが。子供達に招集を掛けるのだ、親御さんに許可を取らない事にはただの変質者予備軍か犯罪者予備軍だろう。
会場は銀色ゲートの中で開くようにした。外で開催するとこの焼き魚特有の匂いが他の皆さんに申し訳ないからねとの建前で異空間内にした。
本音は、外でのんびりするのが怖かった。
マイちゃんとチーちゃんが、自分の所に来てくれて【ダンジョン】の試練中の様に胡坐座りしてる自分のふとももの上にチョコンと座る姿が本当に尊い。マイちゃんが焼き魚を手掴みで美味しいそうに頬張ってる姿をみながら。チーちゃんにも魚の身を細かく崩した物を少量ずつ口に運んでみると、チーちゃんもまた美味しそうに咀嚼してゴックンするのを眺めてる。ふと、息子にも魚を食べさせた時の思い出が脳をよぎって少ししんみりもした。
「おじちゃん、この焼き魚もお刺身も美味しいねー。塩とわさびと醤油があれば完璧だったね!」
ミサキちゃんのその言葉を聞いて凹んだ。自分でも分かっていたのだ。美味しいのは美味しい、でもなんだが一味、物足りなさを感じ取ってしまうのを。
「おじさん、焼いただけでも美味しいよ」
サクラちゃんが、そんな自分を見てフォローを入れてくれるが、その優しさが心に痛い。
「阪本さん、この魚って名前は物騒ですが美味しいですね。それに【レベル】も上がりましたし、二度美味しいですよ」
舟木さんまでフォローしてくれる。皆やさしいな。
その日は暗くなるまで、魚以外の食材も取り出して料理して食べた。子供達の両親達はチラチラと視線を向けて来るが、こっちは一切見向きもしない。興味が無い事に時間を取られたくはない。
そして、マイちゃんとチーちゃんが眠ってしまった事でお開きとし、全員にゲートから出て貰った。その後は後片付けをしながら、少々の孤独感を感じ感傷に浸る。
翌日早朝には、また最高難易度【ダンジョン】へ戻る事を伝え集団を後にした。
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「さてさて、ドラゴンさんは魚って食べるのだろうかねっと」
ぶつくさ言いながら100階層へと魔方陣を起動させて、ドラゴンさんの住処へと向かうのであった。自分はこの時、これから起こる事を予測すらしていなかった。
「ドラゴンさん居てるー?っていつも居るよねー」
「やっと来たか」
「やっと?」
いつもの出迎えの挨拶では無い事に違和感を覚えたが、次の言葉で理解した。
「伝えたではないか〔神〕様が其方を探してると」
「ええ、お聞きしましたよ?だから命を狙われないように、異空間内に避難しながら慎重に【レベル】上げしてましたとも」
そう言ったら、久々に見ましたドラゴンの呆れる顔!。その後に事情を聞くと命など狙われてもおらず会いたくて探して居るとの事だった。
「こんなおっさんに会いたい?」
首を傾けながら聞く
「そう聞いておる」
この顔はドヤッてる時の顔!
「なぜ?」
更に首を傾けながら聞き返すも
「知らぬ」
知らねーのかよ!そう思った瞬間、金色の粒子が集まり、審判と裁きの女神様が顕現なされた。
ドラゴンさんとの会話に集中しすぎて逃げ遅れたってやつだ。
『やっとお会いできましたわね!』
なにやら底知れぬ怒りを感じるぞ。
『今回は愚痴は後回しにして、先に要件を伝えるわ、心してお聞きなさい。この小瓶に入ってる液体を今ここで飲むのが要件よ』
「あの、それを飲めばどうなるのでしょうか」
胡散臭そうな小瓶を見つめながら聞いてみる。
『汝の体と魂が別離される』
「それって死ぬって事では」
やっぱ殺しに来た。
『死にはせぬ。魂を我々の境界へ招き入れる手段で、肉体の生命活動は維持される』
「その後魂は肉体に戻れるので?」
『聞いておりませんわ。渡すように命令されただけですもの』
おつかいか。
「尚更飲みにくくなりましたが?」
そのまま死ぬ可能性があるなら、飲める訳ないじゃん。割ったら怒るかな?神罰が下されるかも?どっちも死ぬ可能性しかねぇー(汗
『直ちに飲め!』
「えーー」
そう言った瞬間、女神様は金色の粒子となり消えていった。
「ねぇ、ドラゴンさん?飲まないと駄目なやつ?」
「だろうな。さっさと飲むがよい」
無責任なー
ま、いっか、なる様になれだ。小瓶の蓋を開け飲み干す。
その瞬間、意識は一瞬でブラックアウトし、なぜか見た事も無い町の景色が目?の前に広がっているのだった。
「無事に行ったようだな」
ドラゴンさんの呟きは誰に聞かれる事もなかった。
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〔神〕を呼称する存在との対話
あれから呆然としてた自分はいつの間にか目の前に存在した審判と裁きの女神様によって連行される形で連れていかれた。
何を聞こうにも、不機嫌度MAXって感じでこちらを見もしない。これ本当に体に戻るのでしょうか?
女神様は姿形が見たまま美女なのに。自分を連行?されてる姿を見ると、人魂?魂魄?まぁそんな感じで手足なし、顔なし、口も目もない。簡単に言うとだな、女神様に鷲掴みされてるわけで、丁重とは程遠いなと思ってしまった。
『すべて思考が筒抜ですわよ?』
・・・・・・・・・・もう黙る。
『統括、お約束通り連れて来ましてよ』
『・・・・・も、物を運ぶようだね・・・(汗』
『命令の件は、これでもうよろしくて?』
『あ、ああ、ご苦労様』
自分はその会話を他人事のように聞いていたが、審判と裁きの女神様が自分を無造作に、椅子と思わしき場所に置いて去っていった。
『あー手荒い招待で申し訳ないね、ここ最近の彼女はちょっとキテてね』
統括と呼ばれてた人?がそう言ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
喋らなくても考えてる事が伝わるならこれで良いはず。
『あー出来れば言葉を話して貰えるかな?直接魂に触れてないと思考は読めないのでね。そもそも我々は万能では無いのでね』
「で、では、どうして自分をお呼びに?そして肉体には戻れるのでしょうか?」
本当に肉体に戻れるのか心配で疑問をぶつけてみた。
『何も聞いてないようだね、簡単に言うとこの星の魂との会話が目的かな、既に幾つかの魂を呼び出して簡単ではあるが対話をした』
「はぁ、それは理解出来ましたが、どうして自分なのかを理解出来てません」
本当になぜ自分が選ばれたのか理解出来ない、自分には学が無いし権力も持ってた訳ではない。地を這い蹲ってその日その日を養育費稼ぎの為に必死こいてただけの存在だ。
『我々の事を邪神や侵略者と表現した魂もあったし、我々の言う事は絶対だと信じる魂もあった。注目した魂の中では、汝の魂も興味深く映り対話を望んだ結果が今だ』
「はぁ、それで何をお聞きになりたいのですか?」
何が聞きたいのか分からないが、答える事が出来るのだろうか不安だ。
『そうだね、いくつかある。一つは汝の使ってる槍を返して貰えると助かる。あれはかなりのリソースを費やして作った槍でね、汝をここへ呼び出す為に罠に仕込んで液体を注入したが、汝の精神力で撥ね退けられた』
「え、あの罠って〔神〕様の仕込み?あれ以来、気配の無い罠に出くわさなかった訳だ」
あの罠から対話を求めての行動だったのか。そうなると審判と裁きの女神様が激おこなのも分かるかも。
『簡単に言うとそう言う事。あの時はここに集う柱一同驚いたものだよ』
「まぁ、返せと仰られるなら、お返ししますが、ここじゃ異空間を開く事が出来ません」
さっきからゲートを開こうとするが何かに弾かれた如くゲートを開く事が出来ないんだよな。
『ああ【ダンジョン】内で消える迄放置してくれてれば良いよ、勝手に還元されるからね』
「分かりました、無事に肉体に戻れたら槍を手放します」
無事を誇張してみたが、〔神〕様は特に反応しなかったな。肉体に戻れたらドラゴンさんの所ででも槍を放置して消えるまで確認してみようと思う。
『そう言ってくれると助かるよ、これからリソースは必要だしね』
「では、帰してもらっても?」
要件も終わったようだし、帰れないかな?
『そう慌てないでくれ、汝は我々をどう思い感じてるのか聞いて無いのでね』
「そうは言われても、人間の持つ常識を超越した存在?としか」
人の存在自体から消去出来て、動植物まで隔離させれて、【ダンジョン】なんてファンタジー物質まで作り出せるのだ、人の常識では測れない程の存在としか言えない。
『ほぅ、汝は我々を〔神〕様とは言ってるが内心ではそう思ってたか』
「いや、そう言う訳ではないのですが。自分は無神論者であり、八百万の神々が物に宿ってるとも思ってる、八百万ってのは無限に存在するとでも思って頂ければと思いますが、そう言う思考の人間ですし。似た様な人が居るとしたら、ご高齢の方々の中には居てるかも知れませんね」
実際に神様も仏様も妖怪も会った事も無ければ何かを与えてくれた訳じゃない。でも日本人特有の何にでも神様は宿ってると言うのは小さい頃から母親にそう教わって育って感謝だけはするようになった。
『ほぅ、それだと他の魂が言ってたような、救いをしてくれる存在って訳じゃないと?』
「そうですね、自分の中で感謝するだけの存在なので実在してるのが証明された訳でもないですし。ただ同じ国の人でも宗教によっては、何十億年後には救いに来てくれる神様だか仏様がとか説法を説いてるのもありますね。でも今回の女神様方には最大限の感謝はいつもしてましたよ。目に見えて効果がハッキリしてましたし」
そんな存在が居たなら今回の件で横やりを入れるなり、介入するなりしてくれてるでしょうね。
『ふむふむ、面白い考えだね。それでは次は今の状況をどう感じてる?』
「どう感じてるとおっしゃられましても、こうされてしまった、としか言いようが無いですが。私の場合は【固有スキル:異空間創造作製】が桁外れに有用で、最初は住所不定者だった為に与えられたのかもと説明を読み思ったのですが、一緒に試練に落とされた子供を守るには最適でしたね。正直に言えば自分だけはそこまで苦労をしてません。でも他の方々は生活基盤を失い?いや違いますね奪われが正確な表現でしょうか〔神〕様を前にして言い過ぎだとは思いますが、他の方は苦労されてるとしか言えません」
調味料ないしな、そこだけは不便だが、自分より不便なのが生き残ってる他の人々だろう。
『ふむ、汝は【ダンジョン】脱出時には既に言われ無き罪を着せられ母親が同調圧力にさらされて自害するまで追い込まれたが、国が崩壊した時に穢れ悪しき魂を殺して周らなかったのはなぜだい?』
「そうですね【ダンジョン】を出たあと、会見をした時ですと怒りに任せて暴れたとは思いますよ。たしか〔神〕様か女神様に止められてしまいましたが、その後は贖罪方法が勝手に決められそれに苦労する人々を目にして少しは溜飲が下がったからとしか」
溜飲が下がったのもあるし、自分の中にある常識が殺人行為を否定するんだよな。
『あったね、あの時に汝に暴れられると星の寿命が尽きてたからね、仕方なく止めに入った』
「それなんですが、ただの個人一人が暴れただけで星が死ぬって変じゃないですか?」
確かに【レベル】は上げ過ぎたかと思うけどそこまでの事が出来るとは思えませんが?
『いや、あの時点の星では汝が暴れた衝撃を受け止める事が出来なかった。【魔素】【魔力】が無い物質が【魔素】【魔力】ある攻撃に対して防御力が0の状態だったからね』
「そうなんですね。まぁ今更ですし贖罪も放棄した件ですので、別になんとも思いませんよ。ただ許したかと聞かれたら、絶対に許す事は無いと答えますけどね」
うん、これは被害者側のただの感情論だろう。法で裁かれ罪が決められても、納得も出来ないし許しも出来ない、なので個々人の感情の問題としか言えないが、自分は許さないを選択する。
『ふむふむ、それで色を構わず食料を提供してたわけか。なぜそんな事をした?【赤色】【黒色】なんかの穢れ悪しき魂などに施す必要などなかろうに?』
「うーん、自分が他者の優しさで助けられた事があるから区別せずに食べさせた、からでしょうか?〔神〕様のルールで食べる権利を失ってしまった人々も多く居ましたが、自業自得なので特に罪悪感はありませんでしたね」
特に理由はないんだよな、確かに日本各地で色んな人に助けられ優しくもしてもらった。でも結局は区別や差別をして非難されたくなかった自分が矮小な人物ってだけなんだろうな。
『では、我々が汝に【赤色】【黒色】を駆除しろと告げたらどうるす?』
「お断りすると思います。【赤色】【黒色】だろうが子供を有する親を殺すのは出来ません。それに、すでに実行されてるじゃないですか?【赤色】【黒色】に[疫病神の視線][死神の視線]が付いた者を存在自体を消してその周りに存在するすべての事象を歪めてなかった事にしたでしょう?なのでその依頼は絶対にお受けしません」
自分の感情論としか言えないが殺人は自分の中での最大の禁忌だ。
『ほぅ、汝の子の所在を教えると言ってもか』
「ですね。我が子の事は心配はしていますが、我が子に胸を張って会えなくなるような行為はしたくありません。正直に言いますとそもそも施設で育ったならどこかしらから情報が手に入ったと思います。でもどこも情報を出さないのは我が子が里親に出されて暮らしてるからとしか思えないんですよね。そんな所に実の父親ですと出て行って幸せだろう家族を壊すのも求めてません」
とっくの昔に施設や役所を周ってる最中から気付いてたさ、どこからも我が子の情報の一片すら出てこないんだ、里親に出されたからなのだろうなとね。もし亡くなってたりしたらそれはそれで悲しいが情報は出て来たはずだしね。それに今〔神〕様が所在を教えると言ったって事は生存が証明されたような物だ。
『我々に協力はしないと言う事で良いのかな?』
「そうは申してません。協力出来る様な事が無いだけです」
協力出来そうな事なら吝かではないけどね。
お読みいただきありがとうございます。




