第五話 〔神〕を呼称する存在 動く
誤字報告ありがとうございます。
昨日は100件を超える句読点の修正をありがとうございます。
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〔神〕を呼称する存在 動き出す
『もう一度この星の魂を再調査する。これは手分けしてやってもらう』
突然、統括が思いも寄らない事を言い出してきた。
『そんな事しなくても結果を見たらどうです?』
審判と裁きの女神が確認してきた。
『すでに何度も見た、結果が分岐してるのか、あの星の時間が進むにつれて結果が変わる。例えば今見た結果と、あの星の時間で1時間後に見た結果に違いが出る。時を戻し同じ時間で見ると結果は同じなのだが、あの星の時間で1時間5分後に見た結果は1時間後に見た結果とまた違うのだ』
分単位で結果が逐次変わって行ってる事を言う。
『それに我々が介入を始める前に見た結果と、今見た結果は大いに違いがある』
調査時に見た結果と、第三幕の第一段が開始した今と結果を見比べても大いに違う。我々が求めたバランスの取れた星とは言い難い結果しか見えない。
『はっ?どういう事だ?』
疫病神と死神担当リーダーが疑う。
『あの星の先はいくつもの枝分かれの先の様に、分岐点が存在して結果が大きく変わるんだ』
理解しがたい。
ダンっ『なぜだ?』
疫病神と死神担当リーダーが机を叩きながら問う。
『そのなぜの謎を解く』
半ば投げやりに言い放つ。
『我が見ただけで、時間が経つにつれて「白色」が増える。時間が経つ毎に「赤色」や「黒色」が「白色」に向かい始める』
これは悪い事ではないので歓迎は出来る事ではあるが。
『我が見た結果の中の一つには「白色」以上ばっかりだった』
それが「赤色」や「黒色」を排除しての結果ではない。時間は掛かってるが、贖罪を済まし手に入れている。贖罪方法を、上位色への食材の提供にしたのが軽すぎたのかもしれないが、これを言い出したのはあの魂だ。
『理由を知りたいし、なぜそうなるのかの知らないといけない』
言い切ると。
『それはそうだが、柱が足りないぞ?それでも確認は必要か?』
疫病神と死神担当リーダーが柱不足を心配してくる。
『必要だ。このままだと計画が狂う。検証班は疫病神と死神担当者から選別して欲しい』
統括が言い切る。
『わかったが、検証方法は決めたのか?』
疫病神と死神担当リーダーが了承してくれて安堵する。
『ああ、我々が介入する前の結果を検証班全員で確認し。星の生命活動停止の結果を見る。次いでどの地点まで結果が変わらないかの確認を分刻みで確認する。異常が出た時点を検証する』
『検証方法は星を多重に複製し複製した星側で実験する』
そこで、今から我が見た結果全てを検証班全員に知らせる。知らせ終わるまでは話の腰を折るなと注意し、大きな分岐点の場所だけだが、そこからは検証班で分刻みにどう結果が変わるか調べ検証するようにと伝える。
『まず、我々が介入しなければ、星は活動を停止していた。これだけは何度見ても、結果に変わりがない。【ダンジョン】に試練者を落とし、開始するまでも結果に変わりがない。ここまで見ても星は生命活動を停止する』
『異空間創造作成スキル、これを慈悲と慈愛の女神連中が捻じ込んだ事でも大きく結果が変わった。慈悲と慈愛の連中が与えた「加護」の後からも結果が変わった』
『次に【ダンジョン】の生存者数を知りたいと魂の願いを聞き入れた後からも結果が変わる。「黒色」や「赤色」が激増した。他の星では「黒色」や「赤色」が激増する現象自体、極稀にしか起こらない』
『次に大きく変わるのが、「視線」を配った魂の存在消去した後だ。今の膠着状態も変わった先の結果だ。「視線」付き魂に救済のつもりで、告げた事が大いに結果を変えた』
『計画段階で「視線」を付けた魂を、存在から消去する時に見た結果と大いに違う』
あの時は一瞬で100%達成したから、告知しただけでこの結果の違い。
『ただ、いつ見ても結果の変わらない事もある。ここに呼んで接触した魂の結果には変わりが無かった』
あれらは【魔物】に倒される結果にしか繋がってなかった。
『まだ接触できてない魂は我々の行動如何では結果が大きく変わる』
『異空間創造作成、これの育ち方でも結果が大きく変わる。我々は思い違いをしていた、我々が干渉できない異空間など、新たな世界の構築と変わりがない』
『この魂と接触し、槍をリソースに還して貰う事でも結果は変わるし。この魂と接触し、槍を手放してくれない場合でも結果が変わる』
『この魂と接触した事でも大きく変わる。この魂と接触しなかった場合でも大きく変わる。会うタイミング、会う我々の中での代表、会話内容で大きく変わる』
『また時間が進むにつれて、星の上の魂の数が我々が管理したい数を下回る。むしろ維持するのが危険域にまで悪化する結果も見た。いや実際に動植物だけが存在する星へなった結果もあった』
『他の星でも運命は存在するがここまで星全ての結果に関わる運命は存在しない。この星の運命は魂に存在するのじゃなく、星に存在している可能性もある』
『絶望して【ダンジョン】内で【魔物】に殺されに行く魂も増える』
『以上が、我が見た大きな分岐点だが、小さな分岐点も数多く存在する。管理しやすい環境に導くために柱諸君どうか力を貸してほしい』
そう言って統括は頭を垂れ、お願いしてくる。
『この検証には途方も無い時間が掛かるため、現時点をもってあの星の時間経過を止める事とする』
手遅れになる前に改善案を探し出しバランスの取れた星へ。
『話は聞いたな。細かな分岐点の洗い出しを二人一組で細かく確認し、分岐の起こった時点を見つけ出せ』
疫病神と死神担当リーダーが激励する。
『班を分けるぞ』
一つ、星の生命活動が活発化し出した地点を探せ!
一つ、【ダンジョン】発生直後からの分岐を探せ。試練終了までだ。
一つ、第二幕の第一段を告げた後から第二段の開始までの分岐を探せ。
一つ、第二幕の第二段から第三幕の第一段開始後現時点までの分岐を探せ。
一つ、あの魂との接触方法と会話内容を洗え。
大まかな所はこれを班分けとする。
分岐を洗い出したら擬似星を使って最善の行動とタイミング。分岐の比較を検証し最善策を再構築していく。
修正の必要な箇所と必要ない箇所も洗いだせ。
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星の生命活動が活発化し出した地点を探せ!班
『この地点も星の生命活動は停止したな』『こっちも駄目だ』『こっちは生命活動が活発化し出した地点だと思う』『こっちも活発化したがそっちの僅か後だ』『ならその前後の時間を再調査して確定地点を探そう』
喧々囂々と班員達が生命活動が活発化し出した地点を洗い出していく。なんども疑似星であらゆる可能性を検証しても、活発化する地点は一点だけだった。
『報告。試練終了日からキッチリ半年後の、掘り出された資源の還元から星の生命活動は活発化しています』
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【ダンジョン】発生直後からの分岐を探せ試練終了まで。班
『【ダンジョン】発生時には問題なし』『試練者落下時も異常なし』『落下者が着地時にも変化無し』『約2700の魂が輪廻に返っても異常なし』『注目魂のスキル選択時にも変化なし』『【加護】を与えられた魂が増えても結果に異常無し』『注目の魂が【レベル】を上げ過ぎた地点で結果に変化を確認』
こちらもこちらで喧々諤々と班員達が結果が変化した地点を割り出していく。
『報告。こちらの検証結果からは、試練者へ「上階へ上がるほど【魔物】は弱くなる」との一文を入れなかった為、結果に変化が出た事が判明しました、主にあの魂が原因です』
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第二幕の第一段から第二段の開始までの分岐を探せ班
『【ステータス】導入時にわずかな揺らぎを発見』『【ステータス】導入時、罪名を確認後、贖罪に努める魂多数でわずかな揺らぎ』『穢れ悪しき魂の処理施設映像を見せた結果魂に変化を確認』『第二段が始まるまで特に結果に影響なし』『揺らぎも結果を確定させるまでの物ではないのが判明』
『報告。検証結果ですが、試練開始時に【ステータス】を一律導入する事が一番「赤色」「黒色」の魂を激増させない事が判明致しました』
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第二幕の第二段から第三幕の第一段開始後現時点までの分岐を探せ班
『概念の書き換えが魂の贖罪の阻害になってる』『贖罪により魂の善悪値が改善する現象を確認』『穢れ悪しき魂の存在消去では一切の結果変更無し』『穢れ悪しき魂の消去により善悪値の改善速度上昇』『穢れ悪しき魂は存在自体不要と判明』『存在自体消去する事により影響を受ける魂はなし』『【魔素】【魔力】の増大で建造物の星への還元完了で結果に影響あり』『建造物の消失で魂に揺らぎあり』『全ての生活術を失うにつれ魂の弱体化現象を確認』
そのあと疑似星で何千万回もの検証の末不確かではあるが、管理できる環境を導き出されるのであった。
『報告。概念の書き換え時期は14年後が最適解であり、時期尚早であったと判明。また、穢れし悪しき魂の存在消去はいつ実行されても、結果に影響は無い事が判明しました。序ですが生活環境が著しく失われた事によって混乱し脆弱化する魂多数。建造物を除く資源の還元で星の活発化には問題無い事も判明し後にリソースの投入で安定する事も判明』
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あの魂との接触方法と会話内容を洗え班
この班が一番苦労したのではないだろうか。慈悲と慈愛の女神連中が注視し始めた初期なら何も影響なかった。試練の説明不足による【レベル】の上げ過ぎが、のちに影響を大きくする事となる。
『現時点での接触には注意が必要』『会話の持って行き方では槍の回収は不可能』『人種やましてやあの魂の子を人質に取る行為は最悪の結果を招く』『異空間創造作成スキルは現時点で脅威』『弱者に対しては友好的』『敵対者に対しては苛烈』『未だに頭上の情報で心を傷めてる』
この検証は時間が止まってるとは言え、何年も掛かった。それでもあの魂との接触方法を探し出し、最善だと思える道筋を導き出すのであった。
『報告。あの魂と会うなら、あの魂の考えを覗き、その場その場で応対するしか無いとの結論』
え?それだけ?何年もかけて。これって臨機応変って言わない?
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〔神〕を呼称する存在 上司と密会
上司の部屋を訪れる。
コンコンコン『入れ』
『失礼します。今お時間宜しいでしょうか?』
時間があるかお伺いを立てる。
『少しソファーに座って待っててくれ』
『はい』
失礼してソファーに腰掛けると秘書が飲み物を持ってきてくれた。
『・・・・・・・・・』
またこのパターンですか。
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
少しって言いましたよね?
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
今回は更に長いな。
『待たせたな、少々立て込んでてな。それで、どうかしたか?』
『はい、こちらの資料を見ながらご説明します。あの見落とされてた星で発生した人種の魂なのですが少々特殊と言う感じでして、ご相談に伺わせて頂きました』
立て込んでたなら待たされても仕方ないよね。
『再調査と再検証をした結果。魂自体の成熟度が我々が管理するどの星よりも段階が上と言う事です。その結果、計画の一部を変更して星の時間をある一点まで戻し、再スタートさせて様子を見ようと考えています。まだある一点は決まってませんが現地魂の意見も聞いてみて決めたいと思います』
フムと言いながら資料に目を通してくれる上司を横目に飲み物を一口頂く、すでに冷めてるが。
『良いだろう、魂の質が高いのは嬉しい事だ。それにしても穢れ悪しき魂の数も膨大だったのだな?処理場から苦情が来てたぞ』
『すみません、その件も増援のお願いで来てます』
やっべ、忘れてた。
『既に増援を手配した。以後忘れる事の無いように』
ばれてらっしゃる。
『はい、以後注意します。それで計画変更の件でも増援をお願いしたいのですが如何でしょう?』
この際、言うだけ言っちゃえ。
『良いだろう、100柱の増援を許可する。また何かあれば報告するのだぞ』
『はい、では失礼します』
ふぅぃー今日はいつに無く長かった。いつものイヤミーが来る前に退散しとこ。
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〔神〕を呼称する存在 会話
『ご苦労様。検証結果は見せて貰ったが芳しくないね。最悪時を戻そうか?』
『それも手ではあるが、存在を消した魂と輪廻に還った魂は元には戻らんぞ?』
疫病神と死神担当リーダーが問題点を指摘してくる。
『それって問題ある?そもそも存在を消すゴミなんか気にする必要ないでしょ。輪廻に還った魂は今の所は試練挑戦者と存在消去に巻き込まれた救済される子供の魂だけさ』
『まて、多くの「白色」の魂も死んでるが輪廻に送ってないのか?』
疫病神と死神担当リーダーが問い質してくる。
『そう言う事、リソースとして星の為に使う予定だよ、あの槍でリソースを大量消費してしまったのもあったし』
あの槍は本当にリソースが掛かってる。今ではあの槍を使って階層をどんどん攻略してるあの魂が気になる。
『それで、必要数の魂は管理出来るのか?』
疫病神と死神担当リーダーは心配性だ。
『無理だろうね。我々が管理して来た星の魂とは、違いが有る事が判明しつつあるし、今の状態で過去の一点に戻し、概念の導入も段階を入れてやり直すのが最適だな。それにゴミは消去出来てるし魂の数は他の星より多いけど上手く行くかもね。
それにね、失敗は付きものさ。さらに誤算だったのはこの星の魂は成熟度が他の星を凌駕している。面白そうじゃないか?』
『面白そうって・・・それでいいのか?』
『良いさ、上司の許可は貰ってある。夢でも見てるように概念が書き換わる前の風景に戻ってるさ』
ニコニコしながら答えて更に追い打ちの一言
『って事でさ、100柱の増援が許可されたから、疫病神と死神担当で半分迎え入れて、担当名称を変更する。そうだね概念の書き戻しと星に吸収された建造物の再生をお願いするよ。再生担当とでもしよう』
言った瞬間うへぇって顔してるよ。
『ま、よろしく頼むね、再生担当!』
しぶしぶ頷いてくれたしこっちは終わりで良いだろう。
『ただし、あの魂との対談が終わってからの導入ね。あと魂が存在しなくなった国の建造物は戻す必要はないよ、すでに63億は魂が減ってるから。国に少量の魂が残ってる場合は、魂の数で住んでた建造物の配置を変えて、使いやすいようにだけ気配りしてあげて』
『次にさ、審判と裁きの女神にお願いが有るんだけど、良いかな?』
『内容によるわ?』
審判と裁きの女神は用心するように答えた。
『なに、簡単な事さちょっと頼み事を聞いて貰いたいだけさ』
ジーーーーーっと見てきても言っちゃうよ?
『はぁ、で何よ頼みって?』
諦めたように聞いてくる。
『あの魂に会って話をしてみたいから、この液体を飲んで、魂になって来て貰えるように伝えてくれない?』
『それ位なら良いわ、私も短時間しか星の上には居られないし、それ位なら伝えられるでしょ』
そうなのだ、我々は肉体を持たないから星の上で活動出来ないのだ。審判と裁きの女神役にだけに許可されてる行為なのだ。
『それじゃあ、お願いするね』
そう言って液体の入った小瓶を手渡す。
『楽しみだなぁ、槍は返して貰えるだろうか?』
『どうだろうな、楽しそうに振り回してるし断られるんじゃないか?』
再生担当が呆れたように答えた。
『それにさぁ、あの星の人種ってさ、魂の成熟度は高いのに肉体は脆いのが気になるよね。だから、星が死ぬ前に絶滅してたって結果も分かるよね』
だから、段階としては【ダンジョン】設置はそのままで。星に【魔素】を注入しながら資源は回収で、地上への【魔素】の導入は見合わせて、人種には【魔力】を持たせて強化。
概念も導入時期は知らせずに、段階的に導入かな。
1、【魔素】【魔力】が発生させたエネルギーは一瞬の【魔素】の揺らぎを発生させるだけで持続してエネルギーを生み出さない。
2、【魔素】【魔力】が無い建造物は著しく早く朽ちる。
3、【魔素】【魔力】が高濃度でない限りエネルギはー伝播しない。
4、【魔素】【魔力】が無い電荷は発生しないと言う概念。
5、【魔素】【魔力】が無い生物は生存出来ないと言う概念。
6、【魔素】【魔力】が無い物質は、【魔素】【魔力】を有するエネルギーを通す事や透過させる事は出来ないと言う概念。
7、【魔素】【魔力】が無い物質で、【魔素】【魔力】を有する物質を破壊する事は出来ないと言う概念。
6,7だけ導入して【魔物】から取れる【魔石】を燃やせばあの星で重要となってる電気ぐらいは賄えるでしょ。人口も大幅に減ったしね。
通信手段も残してあげるし喜ばれるんじゃないかな。食料だけは【ダンジョン】頼りだけどね。
ああ、あの魂と意見を酌み交わしたいな。慈悲と慈愛の女神が用意した【エリクサー】もいつまで経っても使う気配無いし。面白そうな魂だ。
お読み頂きありがとうございます。
感想欄でも温かいお言葉ありがとうございます、リハビリも頑張りつつ更新も頑張りますので、よろしくお願いします。