第三話 それぞれの思惑
感想欄への応援メッセージありがとうございます。
日本語の作文技術なる本を取り寄せ読みながら修正作業をしておりますが、理解力不足を痛感し集中力の無さを実感しておりますm(__)m
修正が落ち着くまで投稿は控えようと思ってましたが応援してくださる方々も居ますので頑張って一日一話だけでも更新したいと思います。
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〔神〕を呼称する存在の会話
『第三幕の第一弾を告知した』
これで一気に、なんの見込みもない魂が一掃出来るだろう。
『回収率は順調だぞ。告知後の一瞬で98%まで処理場に回収された』
疫病神と死神担当のリーダーが報告してくれた。それだけゴミが多かったって事だな。
『お次は?』
審判と裁きの女神役が聞いてくる。
『次も断罪さ、苦痛も悲しみも伴うね』
『善き魂も巻き込まれますの?』
『少しはね、善き魂次第さ』
『それにしても、問題も多少出てきたな?』
疫病神と死神担当のリーダーが問う
『そうだな、あの魂を呼ぶのを失敗したのは痛い。是非にも、話を聞いてみたかっただけに』
まさかあれ程強靭な精神力を有して肉体から魂が離れたがらないとはな。
『それだけじゃないだろう?』
『そうよね、結構なリソースを使って作った罠の槍を取り込まれたのはイレギュラーよ』
審判と裁きの女神が指摘する。
『そもそも境界を越えて魂を呼ぶために、肉体が弱っている状態でないと魂が離れ難く呼べないのが問題なんだ。しかも肉体は生命活動が停止しないように維持しなければならないし』
『それなのに、あの槍と液体を食らって自分の異空間に飛び込み、回復ポーションで傷口の手当をすると思うかい?ましてや解毒魔法まで意識を失う寸前まで使い続けるし』
あれは見てるだけなら感心もするし見応えがあった。だが計画の発案者となると忸怩たる思いで見つめてしまった。
『仕方なかろう我々には直接手を下す事は禁止されている。今回の事も罠を利用はしたが規律ギリギリぞ』
疫病神と死神担当のリーダーが規律を言う。
『本来なら弱った体にあの液体を注入されたら即意識を失い魂を呼べるはずなのにさ、あの魂は鍛えすぎでしょ』
『我もその意見には同意する。本来なら針程度で使う物だしな』
疫病神と死神担当のリーダーが同意してくれるけど、あの槍のリソースは地球に還る物だったのだ。痛過ぎる。
『それでどうするのよ?』
『どうもしないさ、機会を待つよ』
『分かった、そっちはまた指示してくれ。それで接触できた魂はどうだった?』
疫病神と死神担当のリーダーが聞いてきた。
『駄目だね弱すぎる。それに我々は、あの魂の神では無いとキッパリと言い切られて、話は聞けないと返答されたから肉体に返した』
『そうか、肉体に返すのは当然の事だからな』
疫病神と死神担当のリーダーが注意してくる
『分かってるさ、あの魂を呼んでもちゃんと戻すよ』
『当然だな』
『それでは100%になるまではまた待機ですのね?』
審判と裁きの女神役が聞いてくる
『そう言う事だね、好きな様に審判と裁きをやってて良いよ』
規律内ならねと念を押しておく。
『もう一つの魂も呼んだが「神」様から殺して良い人物の指示が出なくなって困惑してる様子だった』
何も指示を与えていた訳では無いのだが、自分基準で裁きの対象者を選別出来るのはまあいい。
それに、一度もゴミ以外を手に掛けてない所がこの魂の優れた所だろう。我らの同胞と成れたとしたら審判と裁きの女神役も可能かもしれないが。
『それで、選ぶとしたらどの地点を選ぶと言ってた?』
疫病神と死神担当のリーダーが問う。
『どこも選べないとさ、結果が変わらないのなら興味が無いと』
実際にどの魂も流れは確定してる。それでも我々の出来る事を見せ実行して見せた。そこから何かを考えられない魂はただ動くだけの存在だ。
『また新たな魂が育つのを待つしかないか、もう一度あの魂との接触を試みるかだな』
あの魂と接触出来れば槍をリソースに戻すように頼む事も出来るだろう。
『既に60億程の人種を排除出来た。もう少しで管理のし易い数へと持って行ける』
計画は順調と言える。
『問題は人種が拡散して生き残ると、国毎に考え方も大いに違う事が今後の議題だ。
考え方の違い一つで大きな争いが起こりかねない。小さな諍いや意見の相違などの論争は良い。魂を育てる上でも有効なのは他の星の過去の実績でも証明されてる』
『そうなると、予定の数に達したらこの星の唯一種として作り変えるか?』
疫病神と死神担当のリーダーが提案する。
『それも悪くない考えだと思ってる。他の星と同じようにヒューマン種としてしまうのが効率的かもね』
意識統一して、過去にあった蟠りも何もない単一種にするのが理想だがリソースが少ない。
『ちょっと宜しいかしら?』
慈悲と慈愛の女神担当の一団がやってきた。面倒事じゃなければ良いが苦手だ。
『これはいったい、どういうことですの?なぜ【白色】で子供の魂が2億近くも輪廻に戻ってらっしゃるのかしら?お答え頂けます?』
『ああ、それの説明は簡単だよ。まず消去する魂の母体の中にあった魂は輪廻に返した。
次に消去する魂と行動を共にして荒野とでも言えば良いのかな?を移動中の子供の魂も救済で輪廻に返した。
次も同じような感じだが、消去する魂と一緒にあり引き継いで育ててくれる魂と巡り合えなかった子供の魂も救済で輪廻に返した。
最後に、この星の上では魂が多すぎるが故に数の調整を行ってる最中だ。処理場送りを免れた魂もまた人種となれるとは限らない。
そういった理由での救済で、もう一度人種として生れ落ちられるように輪廻に返しただけですよ。
すぐに生を受ける事は出来ませんが安定すれば順次って感じですね』
そうしないと第三幕の第二弾で必要ない苦痛を受けるかも知れないしね。
『言われてみれば正論ではありますわね』
『理解いただけたかな?』
『ええ、無慈悲な事では無かったと理解致しましたわ』
納得してくれはしたようだが、これは伝えとかないと文句を言われそうだな。
『伝え忘れたが【赤色】や【黒色】の子供の魂で、改善する事のなかった魂は処理場送りにしたから。この星の上の魂の数が多すぎるからね、例え子供と言えども改善見込みのない魂は処理した』
『苦渋の決断であるならば納得しておきます』
『ありがとう』
そう言うと慈悲と慈愛の一団は去っていった。
あの一団を怒らせると怖いんだよな。あの時の記憶が蘇ってきて身震いしてしまった。
『子供が絡むと強くなるよな、あの一団・・・・』
ひっそりとここに居る柱全てがが頷く。
『試練の時もそうだったな。今注目してる魂以外にもあの一団が【加護】を与えたのに子供に被害が出続けて【加護】を取り上げられて全滅とかあったね。
慈悲と慈愛の連中が【固有スキル:異空間創造作製Lv1】を項目にねじ込んで来ても【神眼】とか格好良いって理由で選んだ魂もあったし。
まぁ全て強き善き魂の持ち主ではあったのだが、想像力が劣ってたって事だろう』
結局慈悲と慈愛の一団の希望通りに進んだのは、あの魂だけなんだよな。試練の守護竜とも友誼を持って接して情報を得てるのも強みか。
『試練の守護竜も、少しあの魂よりに情報を与えすぎな様な気もするが』
そうなんだよな。重要な事は言えなくしてあるけど、あの魂に上手い事誘導されて話を聞き出されてる感じなんだよね。
『ま、問題なかろう』
疫病神と死神担当のリーダーが問題無いと言う。
『次は何か議題はありますか?』
『議題では無いのだが、処理場から苦情が来てる。一気にゴミが増えて処理が追い付かず監視柱の増援をお願いされた』
それはそうだよね。あの数が一気に出されれば処理も追い付かず苦情も言いたくなるだろう。
『それは上司に相談してみる』
『よろしく頼む』
そう言って、疫病神と死神担当のリーダーが頭を下げる。
『他には?』
『・・・・・・』
『伝え忘れてたけど、【白色】を率いて【灰色】以下を襲い周ってた魂があったでしょ?あの魂は輪廻に帰ったよ【ダンジョン】産のナイフを持った【赤色】に刺されてね』
『それでは、回収率100%までは現状維持とする』
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自分は食料集めに奔走していた。この先何があるか分からないから備えとくに越したことはない。調味料は見つかって無いが、キノコを乾燥させて出汁は作ってみたが、もう一つだった。
それに、第二幕の第一段が告げられたが、誰が消えてるのかさえ分からない。
一つ言えることは、サクラちゃん、ミサキちゃん、ナツちゃんハルちゃん、マイちゃんチーちゃんのご両親や親族は消える事が無かったが、不安がないと言えば嘘だろう。
それさえもそう思ってるだけで、誰かが消えてしまってる可能性も無くは無いが、口にする必要は無いだろう。
ただ不思議な事もある。俺はなぜ元妻の一族の事を鮮明に記憶してるのかって事だ。
審判と裁きの女神様のお裁きを無視し続けてるのは確実だろうし、そうなると死神や疫病神の視線が既に付いて居たとしてもおかしくはない。
その場合、俺は思い出す事もないはずだ。結婚していた事も子供の出産時の光景や感動を覚えてるはずがない。
子供との幸せな記憶も確かにある。我が子二人とも消されてはない事になる。そこは純粋に嬉しい事だ。
考えても分からん。
いや、考えれば考える程分からなくなる。
第三幕の第二段を確認し期間が判明しないと大きく動くに動けない。
まったく嫌らしい手を打ってくる・・・違うかこれはただの過程であって結果はゴミの消去か。
最初からそうだったな。ゴミの処分、これだけは確実に実行してくる。
自分も〔神〕様のお告げの言葉に影響を受けすぎだな。同じ人間なのにゴミ呼ばわりしちゃうなんて。
少し気を引き締めて考えをしっかり持って無いと〔神〕様のお告げの言葉通りに踊らされかねないな。
あれ?これって実は危険なんじゃないか?皆が【灰色表示】者以下の人をゴミ呼ばわりしだしたら、それこそ諍いがおきて視線付きの人が感情任せでキレたりしたら、存在を消される?
〔神〕様の遠謀深慮?まさかねそんな感じはしなかったし考えすぎかな?。
なら第三幕の第二段はどうくる?残った【灰色表示】以下の駆逐もあり得る?
もしかしたら【白色表示】者以上に処分を命令する?いや、それはないか〔神〕様はあくまでもそれぞれに道を残しながら謝罪、後悔、償い、懺悔、謙虚、感謝、だっけ?の6個程の気持ちを強く持てば消されない事からも救いの道は残されてはいる。
それに【白色表示】者以上に攻撃されたら一溜りもないだろうし、【白色表示】者が【黒色表示】か【赤色表示】に成り下がってしまう。
〔神〕様は、強き善き魂を求めてるのに基本を蔑ろにする事はないだろう。そう信じたい。
そうなると考えられる事は地上に【魔物】が溢れる?そう言えば天敵を用意してとか最初の頃に言ってた気がする。
ま、考えても分かんねぇー。
どうせ1個人に出来る事なんてたかが知れてる。大将を心配しても既に会いに行くことすら不可能な様にな。
九州にも行けないだろう。地下トンネルで繋がってても既に水没してそうだし、北海道も同じだろう。
それに山は見えるが道しるべが無いから各地を捜し歩くと迷子になるだろう。
さて、色々と考えてみたが結局結論は出ず。我が子の事も心配だが調べようがない。そして調味料もない。【ダンジョン】でコンブぐらい見つからないものか。
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千葉 陽大 23歳 視点
第三幕の第一段が告げられたが、何もわからない。
佐伯さんと自分達の夫婦2組と、丹後さんとお姉さんの今日香さんの6人で食料を集め【レベル】を上げている。
最初は苦労したがそれなりに戦えるようになってる。自分も妻もゲーム感覚で楽しんだ。
丹後さんに誘われた後にも元職場からは復帰を要請されたが固辞した。詳しく聞くと政治家の○○を護衛をしながら食料を得る事を頼みたいと言われたが、今更だ。
それに、その時の上司からの言葉で政治家とは出てくるが、誰が対象だったのかは一切記憶にない。
周りに居たであろう人が誰かいなくなってる事も分からない。
6人で食料集めをして連携もばっちりなのに本当に6人だったのか疑問に思う日も増えた。
誰も違和感を抱いてないし、自分もそうだ。何も違和感はない。ただ不安なだけだ。
それも違うか。〔神〕と言う存在が怖いだけだ。
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上空を見上げると地球が映し出されている。各国毎に分けられ人間の存在しなくなった地は赤く染まる。
小国で試練脱出者が居なかったので中難易度【ダンジョン】と最高難易度【ダンジョン】しか無い国だった。
第三幕の第一段が開始されて赤く染まる土地が増えた。予想でしかないが始めは【白色表示】者が下位色を守りつつ食料を得、下位色も上位色に提供するなりしてたんだろう。
それでも次第に【白色表示】者に怪我人が増えると、下位色の物量戦術で食料を得ていたと思う。そこでこのお告げだ、突然消える存在してた事すら理解出来ない。
そうなると【白色表示】者の怪我人には食料を集める事が出来なくなり餓死する。
この予想から〔神〕様は誰の味方でもない事が分かる。
星の生命を回復させ、人の数を減らし調整してバランスのとれた星とする事だけだ。
たぶん、それ以外は過程でしかないのだろう。
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大将 視点
数年ぶりに、仁が来てくれた。仁との出会いは居酒屋を経営してた時、張り紙を見て住み込みで雇って欲しいとアポもなし飛び込みでやって来た。
住み込みを希望する割には身綺麗にしてるやつだったし。俺は二つの事を条件に出した。寝るのは座敷席、開店前の準備と開店中の仕事に閉店作業があると言うと、仁はそれで構わないと働く事になった。
仁がする清掃は業者に頼むレベルで店内が日を追う毎に綺麗になっていく。聞けば自営業で清掃業を経営してたそうだ。本来ならバイトを厨房に入れないのだが閉店後に厨房の掃除を頼んだ。
「あの時は驚く位に一晩で厨房が見違えたな」
寝たのか聞いたら「調子に乗ってやり過ぎました、寝てません」だとほざきやがる。開店作業は免除して店を開けるまで寝かせたっけな。
それから船釣りや堤防釣りに食べ歩きやゴルフまで一緒に遊んだ。あの時は人生でも割と楽しい時期だった。
そして「そろそろ癒されたので次の場所を見に行きます」と言い、次のバイトが見つかるまで2か月は残ってくれたんだったな。2年ほど雇ってたもんだから寂しかった記憶があるが、その後店に来た嫁と付き合う事になり結婚し子供まで出来た。
すっかり仁の事を忘れてしまってたが。
そんな時ニュースで仁の話題が出る様になった。〔神〕の試練ってのが行われてるのは知ってたが、それに仁が選ばれてる事など予想もしなかった。そして報道は熱を帯びて激しく仁を非難するようになって行った。
ついSNSに反論を書いたら店が潰れた。後悔はしていない。
そして仁が無事に【ダンジョン】から出てきて会見放送を見て笑ったし痛快だった。自分は左手先を失ってるくせに子供の誰一人見捨てず五体満足で親元まで連れてきた。あの時は嬉しすぎて娘の前で涙を流したもんだ。
報道は手のひら返しをし、誤報を修正するのに躍起になってたな。後に仁が来た時に聞いたんだが贖罪を女神様に告げられた結果らしい。それで空に回収率などと言う数字が出てたのか。
ま、俺も交通違反をしまくった結果【黒色表示】になってしまったんだが仁は再会を喜んでくれたし、店が潰された話を聞いて悔しがってもくれた。自分のせいだと詫びようともした。
そこからは【ダンジョン】に付き合って貰っては集まった食材を仁に提供して善悪値の改善に協力してくれたし、食料をこの【ダンジョン】前にいる皆に提供もしてくれて全体的に【レベル】も上がった。仁の取り出す食材は【レベル】の桁が違ったし量も桁外れだった。
善悪値は改善されたか聞かれたがあれだけやって僅か3しか上がってない。自業自得とは言えキツイ。
それを察したのか仁は何も言わなかったが、仁が来てくれた恩恵は大きい。
昔を懐かしんで話していると仁が旅立ってから付き合って結婚し子供も出来た事を伝えると、驚かれた。
言うに事欠いて、この熊が?だとさ。俺をみて堂々と熊の大将って言い切るのは昔から仁だけだ。店のなじみ客ならぶん殴ってる。いや仁もぶん殴ってたか。
そして近況を聞き出すと子供を探す手掛かりがなくなって恩人に会うために移動をしてると言い出したので、子供に集中しろと叱った。自分に子供が出来たから叱る事が出来た。
別れ際に嫁に【スキルブック】を読ませて覚えさせてたが、回復魔法のスキルで本当に助かった。
そして時間が経ち本州や淡路島と繋がってた橋はもう跡形もない。橋だけじゃなく道路も家もビルも何もかもが星に吸収されるように消え去った。
次に第三幕の第一段で、視線持ちが消えたらしいけど存在その物が消されてるので誰が消えたのかハッキリしない。
【ダンジョン】前の人数も減ってるのかさえ分からないが、大きな問題も起こってない。
願わくば仁が子供と出会える事を願っておこう。
お読み頂きありがとうございます。