第二話 第三幕の第一弾始動
いつも誤字報告ありがとうございます。
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〔神〕と呼称する存在
『第三幕で少しでも悪しき穢れた魂の消滅処理期間を短くして、使えるリソースへと戻さねばならんな』
この星の再生に蓄えてあったリソースを膨大に投入したからな。元から【魔素】【魔力】が無かった星だから環境を整えるのには仕方なかったとは言え。
『なぜこの星の人種は同種族を殺したり、騙し奪ったり、外見の違いだけで差を付けたりとするのだろうな』
天敵となりうる種が、この星で言う太古の昔に滅び去ってしまった事でここまで増長してしまったのか?それでこの星を勝ち取った気になってしまっている。
『輪廻システムに狂いが生じたのも、穢れが蓄積した結果だろう』
『不幸な事に輪廻システムの狂いで正常な生を得られなかった魂は、大量のリソースを使ってでも魂の穢れを浄化してもう一度輪廻システムに戻す。しかし、他の魂を余りにも酷く害した魂は裁く』
いくら見落とされた星で管理予定が悠久の先でも、自然発生してしまった生命が巣くう星だとしても、我々の輪廻システムが稼働してる限り、我々管理者側の落ち度と認めなければならないだろう。
『それにしても国々によっても差が大き過ぎるな。弱った魂を悉く排除する国や、弱った魂でも援助して全体的に善悪値を上げてる国も存在する』
これは何か違いがあるのだろうか。もしかしたら人種と一纏めにしたが実際は別の種族だったりするのだろうか?
『今更考えた所で何もかもが手遅れには違いない。星の命を最優先に考えバランスの取れた星へと導こう』
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芦屋市立打出浜小学校跡
「あと3日とお告げがありましたね」
あと3日しかないなんて、体の中に何かが入ってきた感じがしたのが影響してるのか、長い期間意識を失っていたようだ。
「それにしても、ここも以前来た時と違って木材テントって感じから、小屋にランクアップした感じですね」
建造物の消失と同じで、ここでの小屋の乱立も目立ってる。
「そうですね、丸太を大量に置いて行ってくれた事が大工のスキルアップに役立ちました」
ついでに樹皮や葉から繊維を取り出して糸に紡いで衣服も作ってるらしい。
「そう言えば、リーダーの場所を聞いた人の雰囲気が少しおかしく感じたのですが、何か問題でもありましたか?人が増えてミルクや離乳食用の材料がなくなったのかと予想をしているのですが?」
「いえ、ミルクも離乳食用のにんじんもまだ有りますが、減って来ているのは確かです。第三幕が原因で少々問題が起きてるのが事実ですね」
そう言って説明してくれたのが【黒色表示】者と【赤色表示】者の中で「疫病神の視線」や「死神に視線」が付いた者達が、空腹のイライラで絶えず暴言を吐くようになり、うんざりしてる人や反応してしまう人も出てるそうだ。
「まぁ、それは自分にはどうしようも無いし。最後の晩餐になるかもしれませんし、食事を提供しますよ」
幼子と乳飲み子に癒されたいからね。
「舟木さんパーティーや優大君パーティーを見かけないですが【ダンジョン】ですか?」
「そうですね」
なら今回の肉焼き場はリーダーに担当してもらおう。あ、料理スキル持ちも居ったし、リーダーに手伝いを頼んでみてもらおう。
それからはいつも通り、夕方から配給が始まったのだが。
肉を焼き始めて、ミルクを温めてと準備をしていると、
「お前が阪本か!」
といきなり呼ばれた。
「お前の悪口をちょっと書いて広めただけでこの有様だ。なんだ、俺たちに贖罪のつもりで配給でもしてるのかどうか知らないが、俺は許さないからな。この偽善者!でもお前の献上する食糧は食ってやる」
あっれー??俺が責められてるけど責められる要素なくない?
「いやいや、俺がなぜ責められるんです?私にはあなたの自業自得にしか思えないのですが?」
思い当たる節が無かったので聞いてみた。そちらの自業自得としか思えないと言った瞬間、
「うるさいな、お前が悪いんだよ。お前さえ【ダンジョン】で子供等と一緒に死んでればこんな事になってないんだ!
だってそうだろう。死んでくれてれば〈週刊真実〉の記事は捏造記事とも言われず、お前の母親が死んだのも子供たちを見捨てたお前の償いとなってたはずなんだからな!
俺たちのSNSだってすべて真実だったんだよ。」
おっと、とんでもない事を言い出したぞ。
「勝手な憶測と勝手な記事に踊らされただけでしょう?それに普段から他人を面白おかしく誹謗中傷してるから、平気で出来るようになっただけじゃないのか?」
「うるさいな、悪人に裁きを突き付けて何が悪い」
いや、すでにあんたが悪人認定されてますやん・・・
「言い難いんだがさ、すでにあなたが悪人認定されちゃってませんか?〔神〕様に」
「うるさい、うるさい。こんなのは〔神〕などではない。侵略者だ」
まぁ、言いたい事は分らんでもないし、侵略者だと言えば侵略者だが、なにを侵略されてる?
星自体が奪われた?まぁいいか。
「とりあえずさ、あなたは私が提供する食糧を食べる権利を失ったと出ちゃったからさ。もう黙っててくれる?」
もう黙れと威圧を少しずつ掛けて行く。一気に掛けるとそれだけで死んでしまいそうなレベル差だ。
「他にもこの人に同調しちゃった馬鹿が数名居てるようで、君らは食べる権利を失ったのでどうぞ離れて黙っててください」
「はぁ?ただあいつが言ってる事を正論だと思っただけで権利を失っただって?食えないのかよ、腹減ってるんだよ?」
そう言われても、食う権利を主張した人に同調しちゃったんだし、仕方ないんじゃないの?
「まず正論と思った時点で間違っちゃいましたね。こっちは論争するつもりがもう無いので同じく黙って離れてて下さいね」
目ざわりとだと威圧して黙らせる。
「それじゃあいつも通りにって、新規でここの集団に来てる人も居てるんだったっけ?ただの配給なんで食べる権利を主張しないでくださいね。心の中で思うだけでも【灰色表示】以下の人は権利を失うので」
〔神〕様が決めたルールなので自分にはどうしようもないからね、と注意を促しておく
「それじゃあリーダーと料理スキル持ちさんは、お肉をひたすら焼いて一人一枚ずつ順に配布してあげてね。お代わりは自由ですから腹一杯食べてもらってね。
こっちが200g位でこっちが100g位に切ってあるお肉ね」
そう言って異空間からドサドサとお肉を山のように取り出していく。なんと鳥肉も含まれてるから食感は楽しめるだろう、調味料はないけど。
「こっちは、離乳食と人肌に温めたミルクね。離乳食の子にもミルクは配れるので、欲しがったら受け取ってって」
しばらくなら交代でお子様を見てるから、親御さんもお肉を食べて来てねとも宣伝しとく。
チーちゃんを抱っこした夫婦が近づいてきて頭を下げながら配給を受け取って行ってくれた。
その際にマイちゃんが「おじぃちゃん、あちょであしょんでねー」って言ってた来たので、いつでも良いよと答えてあげると両親と食事をしに行った。
それからマイちゃんとチーちゃんが手を繋いでやってきたので、いつも通り疲れ果てるまでお馬さんごっごで走り回るのであった。
いつも通りに他のお子さんもとも遊べたから大満足である。
さてと、甲子園球場跡の中難易度【ダンジョン】にも顔を出して来るかな。また来るって言っちゃたし、食材だけ置いてくれば良いだろう。
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甲子園球場跡地
昼間に聞いてたリーダーの居る小屋の前でノックしながら声を掛ける。
コンコンコン
「夜分にすみませんが昼間に寄させてもらった者ですが、少しお話出来ませんか?」
しばらく待ってるとごそごそと動く気配がして出てきてくれた。
「阪本さん!」
「ん?松本さんか!」
「そうです、そうです。お懐かしいですね。いつぞやはお世話になって」
「お休みでしたか、本当に申し訳ない。幼子と乳飲み子の食糧が足りてるのか気になって寄らせて貰ったんですが、こちらの集団ではどのような感じでしょうか?」
「ここでも正直に言えばカツカツですね。アイテムボックスで荷運びは楽ですが、どうも【魔物】が強くてね」
そう言って状況を詳しく説明してくれた所によると【黒色表示】と【赤色表示】の集団は元芦屋の初級【ダンジョン】に移動したそうだ。戦える戦力じゃなかったようで食糧を確保出来なかったと言う。
それで、芦屋の所も自分の配給を受けた【黒色表示】者と【赤色表示】者と、こちらから移動した者達との格差が出来て、食べ物を取る量が少なく空腹も重なって暴言を吐き捲ってたわけで、最初から居る集団に不満たらたらだったのね。
「料理や大工と言ったスキル持ちは居てますか?」
初級ダンジョンの2階層で採った木材がまだあるから一応聞いてみた。
「それは複数人居てますね」
それは好都合。
「では離乳食用に、にんじんと乳飲み子用にミルクを、あとは肉を置いていきますので食べれば【レベル】も結構上がると思いますし、全体的に【レベル】を上げて頑張ってみてください」
大量の食材を運び出したら、少しだけアイテムボックスにしまうだけで、どうしたんかと聞いたら、
「これ以上は入りませんね。このままでは明日の探索でも荷物を持ち運べなくなるので、どこかに保管場所を作ります」
「そうですね、泥棒対策も〔神〕様がやってくれてますし、権利を主張したら食べれなくなるので奪う行為は意味が無いでしょうしね。
ま【灰色表示】以下の者が対象ですがね、権利の事は。まぁ盗人は頭の上に表示されちゃうと思うので大丈夫でしょう」
そういって笑いあって、また来るとお暇する事にした。
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山之内桜 視点
お母さんとお父さんの表示が赤色から一向に戻らない。頑張って食料を集めては私に食べさせてくれてるけど、赤色表示のせいで取れる食材が少ない。
両親は私たちが救出される際までおじさんの親戚達に誹謗中傷を続けてたらしい、おじさんのお母さんにも直接会って酷い言葉を投げかけてたらしい。
それでおじさんのお母さんは、謝罪の手紙を私たち其々の家族の為に長文直筆でしたためてくれていた。
会見の日におじさんの異空間から出てお母さんとお父さんの顔を見た瞬間、涙が出そうになって駆け寄ったけど、勢いそのままに抱き着く事が出来なかった。
ミサキとナツミも一瞬戸惑って、チーちゃんを抱き上げながらマイちゃんと手を繋いで近づいて来るおじさんの顔を見ると、軽くではあるけどしっかりと頷いてくれたので、抱き着いて泣いた。
マイちゃんとチーちゃんを両親の元へ帰したあと、おじさんはいつの間にか会場から居なくなっていた。
それからは探しても見つける事が出来なかったのに。
学校の英雄志向だった水木将大君の計画で【ダンジョン】にキヨちゃんが着いて行くとなったから心配で着いて行ったら、落とし穴に6人で落ちたりもした。
失った足は【エリクサー】で治しても貰ったな。
おじさんは何事も無かったように助けてくれて、訓練までしてくれたっけ。
それからまたしばらく、おじさんとは会えなかったが、久しぶりに来てて食材を大量に提供して子供たちに囲まれて遊んで楽しそうにしてたが、時折さみしそうに見えるのはどうしてなんだろう?
2日間は食事の心配をしないで配給してくれた。代わりに舟木さんパーティも連れて30階層で蜘蛛糸集めと木材の切り出しを手伝わされた。一番厳しい訓練だったかもしれないが、急成長した実感はある。
移動はおじさんの異空間での移動だったので、自分の足で移動しなかっただけ楽だったのかも知れない。あれはずるい。
そして第三幕が明日開始される。
お父さんとお母さんが消されちゃうんじゃないかと不安でたまらない。
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今日第三幕が開始される。
俺はその時を待った。我が子は居ないがここには助けたい子供が大勢居てる。
無邪気に無償の笑顔を自分に向けてくれる。尊い。
本当ならここに居てる全ての人を異空間に入れて安全を確保したいが出来ない。異空間に居てるせいで、救済があったとしても反映されないかもしれない。
異空間に入ってるせいで中に入っている人がお告げ逃れと取られ、罪を押し付けられる恐れもある。
どうなるのか分からないから対処のしようがない。
〔神〕様は第三幕が三段階としか言わなかった。そして注意するのは第二段階と言う。
それでは、第一段階は何が起こるのか?
何が起こるか分からないから、今日は【ダンジョン】へは入らないようにお願いだけした。
そう言う訳で自分は今、その【ダンジョン】前で舟木さんパーティーと一緒に用心している。
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『地球に住む人種よ、第三幕の開幕となる』
その言葉が脳内に響いた瞬間、重圧と共に時間が止まった。
『内容は至極単純である。「疫病神の視線」と「死神の視線」が与えられた魂共の断罪の時である』
『断罪対象の魂は、償い、謝罪、感謝、後悔、懺悔、謙虚、それらを魂が1つでも持たなくなった時に断罪対象の魂は即座に処理場に送られます』
『第三幕までの期間、猶予を与えたが、一切の贖罪をせず、他の魂を妬み続けるだけの魂など必要ない』
『対象で無い魂は安心してほしい。ゴミの為に悲しむ魂が出ない様になってます。それらの悪であり汚れた魂が処理場に送られる際、全ての存在が抹消されます』
『どのような絆も親子の信愛もなにもかもが無かった事になります。その魂が消えた事すら認識しないでしょう』
『その魂から譲られた物も所持した物なども消え去り、全て無かった事になる』
『我々にとってゴミは必要ありませんので』
『最後に告げる。第三幕の第二弾の時期は告げません。断罪すべきゴミが消え去った後とだけ告げておきます。明日には発動する事も考えられますがね』
『では綺麗な魂を磨いて待て』
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「阪本さん、これは誰にも何も確認出来ませんね」
舟木さんが戸惑いながら言ってきたが、こんな断罪方法だと確認のしようがない。
「ああ、そうですね。ここに7人居てますが、本当に初めから7人だったのかも確認出来ないって事なのでしょう?」
恐ろしすぎる、確認さえ出来ない断罪。
「勿論名簿等も木材に刻んでは居ますが、それも変わってるのかも知れませんね」
そりゃそうだろう。存在そのものを抹消するって事は生きた証から全てを消し去るって事だから、言ってみれば生まれて来てさえ無いと言う事だ。
「今までのお告げで一番恐ろしいですね」
素直な気持ちが口から洩れてしまった。本当にいつでもリセット出来る存在なのだと実感してしまった。
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〔神〕と呼称する存在の会話
『第三幕の第一弾の開幕を告げてきた』
『そのようですね。どんどんと処理場に魂が運び込まれてます』
『あと、輪廻システムの不具合で生じた魂と肉体も、告げては居ないが存在を抹消して魂を輪廻に帰した』
『強き善き魂の下に生まれ落ちて欲しいですね』
『そうだな』
お読み頂きありがとうございました。
感想で句読点の意見が非常に多いので先に直したいと思います。
入院時にスマホでワードに適当に打ち込んでたので完結までは打ち込んでますが、一旦お休みします。
何分知識も無く適当に書いてたので、少し勉強し直してからになると思いますが、出来るだけ早くに投稿し直したいと思います。
読み難い物でも、楽しく読んで頂いてた方々には本当に申し訳ございませんが、勉強し直して修正作業後に続きを仕上げたいと思います。ごめんなさい。
あと、関西弁を使ってましたが誤字として修正依頼が後を絶たないため修正し、「居てる」って言葉が全国どこへ行っても変って反応があったので、そこだけに絞ってましたが関西弁を日常会話にされてる人にしたら違和感でしかなかった事でしょう。
変な試みでしたがもう止めた方が良いのかもしれませんね。修正依頼も後を絶ちませんし、全国的には違和感の塊なんでしょう。
また修正したら投稿し直しますのでお許しください。