第十六話 エピローグ
誤字報告ありがとうございます。
いつも助かっております。
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あれから大将家族とも挨拶出来た。嫁さんはマジで別嬪さんで驚いたし、9歳の娘さんは可愛らしくて素直な良い子だった。
素直に驚いて、本音でこんな熊がって言ったら小突かれた。
避ける間もなく小突くとは親の愛か。
大将との関係も昔と同じで懐かしく風呂は無理だが水浴びぐらいならと銀色ゲートの水場を大将家族に提供した。
その際大将に覗くなよと言われたが、関西人の自分としては「振り」かと指摘したら。
「違うぞマジで覗くなよと」言われてしまった。
最初から言わなければ覗く事なんてしないのに、関西人の性は怖い、条件反射で聞いてしまった。
熊の大将はともかく嫁さんと娘さんが大喜びし感謝されたのは素直に嬉しかった。
それから1週間近くを大将の善悪値改善の手伝いで収穫を受け取り食材を提供するのを続けたがまだ掛かりそうだと寂し気に言うだけだった。
俺も掛ける言葉がなかった。
それでもこっちが提供した食材でレベルがかなり上がったらしくて魔物を倒す速度が上がったそうだ。
そして自分の子を探してる事も伝えたら真剣に叱られた自分の子供を優先しないかと。
優先したが見つけ出せない事も不覚ながらも泣きながらも伝えた。
大将は泣く俺の肩に手を置くだけだったが無性に嬉しくもあった。
そして、手を尽くしたが手掛かりが無さすぎると伝え話を終えた。
尽くせる手は尽くしたが今思えば自衛隊から総攻撃で、おもっくそ銃弾浴びせられた事を盾に子供の手掛かりを探せとでも言えばよかったかとも思ってしまう時があるんだよな、手遅れだけど。
そして大将に俺の心配するぐらいなら自分の子供を探せと追い出される形で集団から出て行く事にはなったが、大将の嫁さんに回復魔法のスキルブックを渡しその場で覚えて貰ったのでホッとした。
そして集団から出て淡路島経由で帰ると伝え兵庫に向かう事にした。
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何かして動いてないと子供の事を考えて異空間に閉じ籠ってしまうだけなんだよな。探す手段が思い付かな過ぎて、それに目の前で一時とは言え心から愛した女性が【赤色表示】になる瞬間を目にしたのも心に突き刺さってる。
恋愛中もあんなんじゃなかったし、子供が出来てからなんだよな激変したのも。まぁ考えても仕方ない。
そうやって考え事をしながら淡路島でも集団の気配を〈探知〉スキルが感じ取ったが、大将に言われた言葉が心に突き刺さり、他のお世話になった恩人の事も考えられなくなった。無事で居てくれると良いのだが。
西宮市の最高難易度【ダンジョン】に戻り、100階層でドラゴンさんに挨拶をして我が子を探す方法は無いかと尋ねたら、無い事も無いが教える事は禁止されているとの回答だった。
要するに自分ではどうしようも無いと言う事か。
「一つだけアドバイスをする事が出来るとしたら、レベルとスキルを鍛えろ、今のままでは・・・・・・だ。
やはり伝える事は禁止されてるようだ」
「どういう事だ」
「そういう事だ。先ほどから貴様の子供の探し方も伝えようとすると言葉を封じられる。
それと同じで今後の方針も提案してやろうとしても無理なようだ。すまないな友よ」
今までも会話の途中でたまに途切れる事があったのはそう言う事か。
「いやいいよ。そもそも〔神〕様から与えられた使命でここに縛り付けられてるんだろうしさ。
一つだけ聞きたいが、海でドラゴンさんより大きな影を見たんだがシードラゴンとでも言えば良いのか、あれはなんだい?」
「それも答える事が禁止されてる」
「最後に一つ、俺はドラゴンさんやその巨大な影とも戦う様な事になる?」
「それは貴様次第としか言えん」
いよいよ持って怪しくなってきたな。このドラゴンさんは自分と戦っても勝てないと言って100階層は通過させてくれたが。
「スキルを鍛えろとはどのスキルを指す?」
「それも言えない」
「そっか、ありがとう、手当たり次第にスキルを鍛えてみるよ」
「そうするがよい」
「最後に我からも1つ伝えられるかは分らぬが、加護は与えられた時の条件を破らない限り剥奪される事はない。
スキルも同じで取得した者の魂に定着するので【白色表示】からしか覚える事が出来ない。【灰色表示】以下に落ちてもスキル名表示は消えないが使う事は出来なくなる。
またスキルを奪う強奪系のスキルは存在しない」
「ふっ伝える事を許された様だな」
アドバイスは貰えた。俺の持つスキルで一番有用なのが《固有スキル》:[異空間創造作製Lv8]だろう。
これはいつの間にかスキルレベルが上がってて出来る事が増えて助かってはいるが鍛える方法も分からないんだよな。
ゲートを出したり消したりを繰り返すしか無いのか入ったり出たりが有効なのか、子供たちが入ってた時期が一番スキルが上がってた気もするし、盾として【魔物】の攻撃を受け止めてた時にも上がってたのだろうか?
自宅にしてる金色ゲートを開き中に入る。
〔環境設定〕のパネルには、《時間軸同調》《温度設定》《風景設定》《水源》《小川作り》《床面の硬度調整》《床面の起伏調整》《竈作成》《第2の金色ゲート》《第1の銀色ゲート》《第3の金色ゲート》《第2の銀色ゲート》《第3の銀色ゲート》《囲い壁作成》《風呂場作成》《トイレ作成》《?????》《?????》こうある。
この2個の未定の内容に何かヒントがあるんだろうか?
それぞれ魔力を込め直して中の空間自体を広くした事はあるので現状広くは出来ないがかなりの広さだ。
これ以外で見つけてないスキルとなると、鑑定やアイテムボックスとか最初の頃に選択出来た物の中にあって名前と性能を知ってるが取得してない。
スキルを探しながらスキルを鍛えてみたがダブったスキルブックが増えただけだ。ほとんどが製造系スキルが多いが〔神〕様は生き残った人類に生活基盤を作る事を望んでる様に思える。
俺はこの時知らなかったが、各地の【ダンジョン】でも製造系のスキルブックはそこそこ出てたらしい。
第三幕がなんだか怖い事が起こる気がしてならない。
それから俺はアドバイスを貰った通り【レベル】上げに勤しんだ。スキルのレベルも共にだ500階層を踏破して、そろそろ2か月が経過する。
徳島まで向かっての時間を加えると3か月だ。一度芦屋の子供たちに会いに行って癒し成分を補充してこよう。
序に378階層で手に入れた大量のお肉も食べさせて上げると【レベル】も上げれるだろう。
[ステータス]
【名前】:阪本 仁
【年齢】:45
【性別】:男性
【レベル】:964
【状態】:バツ1
【善悪値】:89
【性格】:おだやか
【結婚可能人数】:5人まで
【生命値】:213285
【魔力値】:209670
【筋力値】:83203
【体力値】:68733
【器用度】:79585
【敏捷度】:50645
【知力値】:57880
【精神力】:72350
【 運 】:67
《スキル》:造形術Lv89、頑健Lv93、怪力Lv95、機織Lv24、裁縫Lv36、糸紬Lv48、鋳造Lv31、鍛冶Lv76、採掘Lv82、陶芸Lv29、調合Lv41、料理Lv60、手芸Lv51、錬成Lv27、錬金術Lv41、火魔法Lv86、土魔法Lv74、風魔法Lv69、水魔法Lv88、回復魔法Lv78、解毒魔法Lv22、解呪Lv1、威圧Lv94、探知Lv92
《固有スキル》:[異空間創造作製Lv8]
《加護》:[女神様方の寵愛]
[簡易表示]
【善悪値】の数値により、簡易表示は【銀色文字】で表示されます。
【名前】:おじさん
【レベル】:964
【状態】:常に小さなイライラ
残り3か月こうなったら鍛えるだけ鍛える。
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芦屋市立打出浜小学校
2か月ぶりに地上に出たら大半の建造物が崩れてるが瓦礫は見当たらない。崩れてる最中の建造物を凝視してみると崩れ落ちた部分は地面に吸い込まれるように白い光の粒子になって星に入って行ってるようだ。
芦屋のテントももう崩れてるんじゃないかと急いで向かってみたが【魔素】が充満して来たせいか、空気の壁を感じる事もなく衝撃波を辺りに振り撒く事もなく走れた。
路上に放置されてる車も錆びてはいないのだが崩れだしてる。車の崩れた部分に触れて見るも錆びを触った様な茶色の鉄屑が付着する事もなく不思議な光景だ。
あの子たちは無事か少し心配にはなったが大丈夫だろうと信じ臨港線を芦屋に向けてひた走る。
「集団が増えてる?」
〈探知〉スキルで感じ取れる数が大幅に増えている。
しかもテントじゃなく木材屋根と壁があるだけの木材でテントを作りましたって感じの物だ。
近場に居た人に声を掛けてリーダーの所在を確認すると建物を教えてもらえたが、見た事無い人だった。
木材テントって感じの建物の為ノックしてから声を掛けてみる
コンコンコン
「居てますか?」
「どうぞ」
斜めに開く不思議なドアを開け入る。
「不思議な建物を作りましたね?」
そう声を掛けながら入ると、目を見開き驚かれた。
「お久しぶりです阪本さん」
「お久しぶりですね。なんか変な建物が増えましたね?人の数も増えてるようですし」
「あはは、変な建物とは手厳しい。とりあえずの日よけと雨除けですね」
テントがボロボロになり仕方なくと言った感じで作ったらしい。
「阪本さんが置いて行った木材をまだ加工出来る者が居なくて2階層から採って来た数少ない木材で出来るだけって感じです」
「今【ダンジョン】に入ってる人は?」
「大勢居ますよ。食料を取るためと木材や薪を集める為ですね」
それは頑張ってますねと言って今後の計画を話す。
「いつもの如く配給に来ました。主に幼子と乳飲み子とその親メインで」
「助かりますが、ここに住む人も増えてますが大丈夫ですか?」
この程度なら問題無いと言い、以前預けた離乳食用の材料とミルクの残りは大丈夫ですかと確認もする。
「あれから、幼子を連れた人が結構やってきたんで、口伝えで広がってるようですよ」
「へぇ、不思議ですね。それじゃ張り切って配給始めますかね。
【ダンジョン】に入ってる人って夕方ぐらいには戻るのかな?それとも泊りで潜ってる?」
「いえ日帰りが殆どですね」
了解と答えながら、どこで配給すれば良いかを尋ね、それなりの広さがある場所を貸して貰える事となった。
「お手伝いも誰かやってくれると助かるけど、誰か居てる?」
「それじゃ手伝わせる者と一緒に広場まで行って貰いましょうか。舟木が居てるので彼女に仕切らせましょう」
「了解、リーダーも後で食べに来るようにね。【レベル】上げとかないと駄目だよ」
そう言いながら以前と変わってない【レベル】に対してチクリと一言添えて外にでて舟木さんが来るのを待った。
「阪本さんご無沙汰してます」
「舟木さんこそお久しぶり。頑張って【レベル】上げてるようですね」
【緑色表示】で【レベル】が42まで上がってた。
「実際は阪本さんと別れてから2しか上がってませんけどね」
初級ダンジョンで2上げるのはキツイと思うんだけどな。中難易度【ダンジョン】に拠点を移さないんだろうか?
「それじゃまた、自分は幼子と乳飲み子の相手するので、お肉を焼いて食べたい人に食べさせてあげてください。一人1枚ずつ配ってお代わりは自由で良いとね」
「あの【赤色表示】者でも良いのでしょうか?」
「別に良いですよ。食べる権利を主張してくる馬鹿が居たら勝手に食べれる権利を失うだけですので、好きに食べさせてあげてください。以前より【レベル】の上がるお肉だしその後の役には立つでしょうし」
「宣伝はお任せしますので、陸自の人で人集めしてね」
「今日配給したら帰りますので、まだまだ鍛えないと第三幕が怖いですしね。
ま一泊ぐらいはしてもいいですけどね、真っ暗中走るのも気疲れするし。
知ってます?電気も来なくなって街灯もなくなってさ月明りか星明りしかないのって、すっごい暗いんですよ!」
「わかります、ここでも星々がすごく綺麗に見えるんですよね。
前と違って火を絶やす事も出来るようになったので、薪の節約の為に食材を温めたら火も消してますしね」
そういえば、舟木さんは火魔法のスキルを覚えてるんだったな。
「あれからスキルは使いこなせるようになりましたか?」
「おかげさまと言うか何と言うか、使える様にはなったとは思います」
それは良かったと雑談しながら準備してると【ダンジョン】から見知った顔が出てくるのが目に付いたら向こうから駆け寄ってきた。
「おじさん来てたんだー」
「おじさんお久しぶりです」
「おじさん元気だった?」
ミサキちゃん、サクラちゃん、ナツちゃんの3人が真っ先に駆け寄って挨拶してくれた。
「おじさんは元気ですよ。四国まで行って知り合いと会ってきましたし。
皆さんもお元気でしたか?」
「元気元気だよ。それで今日なにしに?」
「いつものあれですよ、食べたい人は食べてってやつ。ミサキちゃんのご両親もどうぞ食べたいだけ食べてください。ただ食べる事を権利だと思ったり主張しちゃうと食べれなくなるので注意しといてね。
移動中の集団でもあったんですよ、一人一枚の配給でお代わりは自由としてたのに3枚乗せろとかごねてさ権利失っちゃった人とか。
お代わりもしてるうちに自分らに贖罪なんてさせやがってって思ってた人が食べて当然だよなとか言い出した瞬間に食べる権利失ったとかね」
簡単に〔神〕様は権利を奪うので注意してねとだけ言って、離乳食やミルクの配給を始めるのだった。
なぜかここの集団の子供の【白色表示】者が増えてるし【黒色表示】者や【赤色表示】者も以前みたいに我が強くなく、子供が謝ってくる事も多かった。
不思議な感じに浸ってると、チーちゃんを抱っこしたマイちゃんチーちゃんの母親が目の前に来てた、どうぞ、チーちゃんの離乳食とマイちゃんにはミルクをあげよう。
「おじぃちゃん、またあしょんでー」
「何して遊ぶの?」
「おうましゃんごっこ!」
「いいよぉ、少し待てる?」
「うん、まちぇる」
偉いねと頭をナデナデしてあげると嬉しそうに見上げてきた。
「舟木さん、こっちの配給も誰か人寄越してくれないかな?」
「わかりました、すぐに向かわせますね」
「ごめんね、ありがとう。ちびちゃん達と遊んで幸せ成分補充させてもらうよ」
それからは、マイちゃんチーちゃんを背に乗せて縦横無尽に走り回ってたら、いつもの如く参加してくるちびちゃん連中を疲れ果てさせるまで遊ぶのであった。
その際一人一人抱き上げてギューっとして幸せを堪能するのであった。
その日の配給は特に大きな問題もなく、権利を失う人も出ずに【レベル】を大幅に上げれた人からお礼を言われ。
金色のゲートを出すと、ミサキちゃん達からお願いがあるって言われて人の少ない方に引っ張られていき、お風呂に入りたいと言われてしまい許可するのであった。
まぁ4人が風呂から出てくるまでここの【ダンジョン】の2階層にでも行って木材を集めてきてあげようかな。こんな不細工なテント擬きで生活なんて悲惨だわ。
って事でやって来ました2階層。ここはビッグラビットってウサギの少し大きいだけの【魔物】が居て、突撃攻撃がメインで草陰からいきなりの突撃に注意なんだとさ。
ま、気にしないで、木を切り倒す。
今回は斧じゃなくて、400階層の【デスグリムリーパー Lv2000】ってのからドロップした死神の鎌だ。使ってみたかったんだよな、取り出すだけで独特な雰囲気を纏ってるし格好良し!
おおお、サクサクと雑草でも刈るように木も伐採できる。枝葉落としも楽だし鎌良いな!
ついつい、調子にのって2時間ほども時間を遊んでしまった。
地上に戻ってゲートを開くと丁度あがったそうで、あ、そうですかって反応しか出来なかった。
女性の風呂って長いんだったね。
ついでに舟木さんに木材の置き場を確認して取り出したら今回のサービスは終了で金枠ゲートの中でゆっくり休む。
翌日の昼にお告げがあることなど知る由もなくねるのであった。
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〔神〕と呼称する存在。
『あのドラゴンのアドバイスでこの魂は力を付けてますね。計画に支障はないですか?』
『大丈夫でしょう。母親が死んだ事であの魂は怒りを秘めてますしね。協力はしてくれるはずですよ』
『とりあえず、残り3か月後のヒントでもお告げしてきますよ』
大盤振る舞いした翌日の昼前、木材は好きに使うように伝え、離乳食の材料とミルクと肉を大量に渡しリーダーに管理を任せ立ち去ろうとしてる時にそれは起こった。
『ごきげんよう、地球と呼びし星に住みし人種よ。第三幕まで三か月を切った。
第三幕は過激に人口を減らす故、魂を綺麗にし心して待て。我らは強き善き魂にしか興味がないゆえゴミは処分するので覚悟せよ。
以前に見せた映像の通り。
切り刻まれたり、焼かれたりと、ありとあらゆる激痛を伴う責め苦に合うであろうだが安心しろ。
体が復元する一瞬だけは幸せだった光景が思い出される。なんども一瞬だけの幸せだった光景を思い出しながら長い時間責め苦に苦しむのだ何十億年もな』
『それでは、3か月後の第一弾を心して待て』
その言葉を最後に全身に掛かってた重圧から解放され、心が不安に塗りつぶされるのであった。
せっかく補充したちびちゃん成分を一気に消費させられた気分だ。
お読み頂きありがとうございます。