第十二話 会見日からのそれぞれ。
誤字報告ありがとうございます。
また読みにくいものを読んで頂けてありがとうございます。
本当に文章力、文章構成力の無い土木作業員が怪我で入院中に構想を練って退院し、リハビリ計画が本格的に始まるまでのリハビリがてらに入力してるだけの作品を読んで頂けてる方々に申し訳なく思っております。
皆様の忍耐力に助けられてます。
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時は戻り会見の日の後 佐伯視点
丹後は兵庫県への派兵任務から無事に帰ってきた。本人曰く死の一歩手前であったらしいが帰ってきた。
阪本氏があのタイミングで出て来なければ餌になってたと本人は言う。
自分もその時の映像は見たが【魔物】の動きは映像でも目で追えなくて、スロー再生でやっと何が起こっているのか判断できたぐらいだ。
帰って来てからは、自分達に一緒に陸自を辞めないかと打ち明けてきた。
と、言うのも阪本氏と話し【レベル】は上げれるだけ上げた方が良いと知らされ【ダンジョン】内で手に入る物は武器として使えるとも聞かされた。
【レベル】さえ上げていれば、武器を持った【魔物】から武器を手に入れる事も可能だとも聞いて来ていた。
【レベル】は６０以上には上げた方が良いらしい。
武器持ちの【魔物】の【レベル】がそれぐらいかららしいが、初級【ダンジョン】の事は分からないから自分等でその辺の見極めはするようにと注意もされたそうだ。
「それで自分は皆に声を掛けはしたが、姉も連れて行くつもりだ」
姉まで連れて【ダンジョン】で【レベル】上げしようとは意気込んでいる。
詳しく聞いてみたが、阪本氏が【ダンジョン】の１００階層で出会ったドラゴンから知りえた事でアドバイスを貰って帰ってきたそうだ。
そうは言われても、自分には妻も息子もいる。
その場は妻や両親と義父母にも相談してからじゃないと返事は出来ないと答えておいた。
その丹後は早々に除隊して行った。連絡先のメモを残して。
会見の日から日常が激変したのは確かだ。阪本氏への事を抜きにしても、○○違反常習者ってのが【灰色表示】や【黒色表示】者で目立っていた。
陸自の中にも『未成年者淫行常習者』が付いた者もいて懲戒免職処分されていた。
ニュースも阪本氏への謝罪一辺倒かと言えばそうでもない。善悪値の上下動の基準を探して慎重に検証もされてた。
道路交通法など知らない子供には交通違反常習者ってのが少なかったから、これは知ってて違反してると善悪値に影響するものだとの見解だ。
新規で追加された道交法でも、警察官からの注意を受けた後も続けていた場合も○○違反常習者と表示されていたそうだ。
常習者で多かったのが複数違反の常習者は『道路交通法違反常習者』となっており個別違反だけなら『信号無視常習』『自転車運転中のスマホ操作常習』『自転車運転中のイヤホン装着常習』『暴走行為』『当て逃げ』『ひき逃げ』あげればキリがないが、こんな物までって驚いた物があったが、六法全書を見たら該当するものばかりで納得もできた。
例を挙げたのが分かりやすく道路交通法だがこの国の六法全てに及んだ。
あと面白かったのが、収監されてる人々の中に【白色表示】の者が複数確認され大慌てで対応されていたようだし、刑罰を減刑目的で演技、偽証と表示されてる者も多かったと言うかほぼ全ての受刑者にそれが表示された。
この国では刑罰法規不遡及の原則があり、今更演技でしたと分かった所で刑が重くなったりはしない。
またその○○違反をしっかりと守るようになってしばらくすると【灰色表示】が【白色表示】に戻った例も取り上げられていた。
そして不思議だったのが海外の例で例えると、その国の法律に無い事を日本の法に当てはめて見てみると違反常習していようが善悪値に影響が無いのも判明してきた。
結果法律が事細かに作られた国は息苦しいと思われたが全ての人が守れば事故も減り事件も減りと悪い事ばかりとも思えなかった。
【赤色表示】者の中には未解決事件の犯行が表示されている者も大勢からの通報で逮捕された。その中には時効を迎えた者も【赤色表示】者となっていた。
〔神〕様には時効は無いらしいとも判明した。
人を死なせてしまった者全てが【赤色表示】だった訳でもなかった。
事故で人を死なせてしまった彼は２７年間、毎月の月命日に墓参りで謝罪の言葉を唱え、遺族にも月命日に会いに行き謝罪を繰り返し、遺族からも許された彼は【白色表示】者であり、遺族の勧めで家族を持ち幸せに暮らしているが、毎月の月命日だけは行動を変えていなかったという。
ネット民は沈黙し事実しか書き込めなくなり、過去に書き込んだ事への修正や削除依頼に忙しくなってるとニュースでも報道されていた。
掲示板管理者が修正や削除依頼の多さで辟易し掲示板自体を削除してしまった為【黒色表示】に一気に変ってしまったそうだ。
しかしバックアップを残してたおかげで掲示板を復旧して修正依頼や削除依頼をするようになって少ししたら【白色表示】に戻った事も報道された。
政治家も『選挙での相手陣営への過剰な妨害工作』とか『身内企業へのやり過ぎな口利き』とか『人を使って口封じ』とか、やっぱりなとしか思えない事が取り上げられた。
判断基準は〔神〕様次第かと言えばそうなのだろう。
一つだけなんとなく理解したのは『誠実であれ』『償いには真摯に向き合え』って事が漠然にそうなのだろうなと思えた。
さて、真剣に家族会議をしよう。
この後、佐伯も除隊し丹後に合流するのであった。
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１等陸士 千葉陽大 視点
丹後さんから除隊して【ダンジョン】で【レベル】を上げないかと誘われた。
勿論、即答は出来なかったので妻とも相談してみてからと返答した。
妻も所属は違うが陸自にいる。と、言うか陸自内で出会い職場結婚に至った。
そして今、我が家と家族ぐるみで仲良くしていた夫婦とのお別れ会を我が家で開いた。
お別れの会は楽しいままに終わったが、いざお別れの際には目元が潤んでしまった。
我が家と仲の良かった隣家に住むアメリカ人家族が神の用意した光の輪で移動して【ダンジョン】に入る準備をすると言い去って行ったのだ。
各国で国際結婚をしていた夫婦もバラバラに自国へ帰っていくか、飛行機でどちらかの国へ行き片方の食糧調達に頼る判断をした夫婦もいた。
妻に丹後さんからの提案を相談してみたら、妻も丹後さんの命がけの戦闘の映像を見たらしくて同意してくれた。
妻からはあの鎧の彼のようになれと無茶な提案もされた、どうも全ての攻撃を動じず受け切ってたのが恰好良かったらしい。
それからは二人して両家の両親に除隊意思を伝え理由も説明して協力していこうと決まった。
決まってからは妻の行動は早かった。自宅にある電化製品を売り払い手に入れた現金で保存の効く食料を買い漁った。預貯金も全てつぎ込んで借家も解約して妻の実家の方が大きいからとそちらを拠点に移り住んだ。
勿論、両家の両親宅の電化製品も最低限だけ残し売り払い現金化して保存食を中心に買い漁った。
もうしばらくすれば、初級【ダンジョン】が出現して入れるようになる。丹後さんと佐伯さんと大勢の親族で手分けする算段もついた。
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救助された女性アナウンサー
ニュース番組の中で私の不要な発言が元で大炎上してしまった。局からは叱られ大阪の局への赴任もさせられた。所謂左遷だ。
でも大炎上で自分のＳＮＳに集まる賛同の声の多さに酔った。
ＳＮＳでも子供を見捨てたと強調して拡散したら一気に広まり応援のＤＭまで届くようになった。
中継で兵庫県の【ダンジョン】へ向かった時も仕事中は大人しくただの報道をした。
裏ではＳＮＳで面白おかしく男性批判を拡散した。
そんな折〔週刊真実〕が発刊されてからは、男性の母親宅にも息子さんの事で聞きたいとアポも取って取材もした。
最初はそんな事をする子じゃないと言い張ってた母親だったが〔週刊真実〕が母親のＳＮＳを見つけ取材した内容を公表してから私も母親のＳＮＳにＤＭを送ったり、母親が過去に載せていた日記みたいな物に息子さんが未成年を見捨てたと煽った。
瞬く間に大炎上して私のＳＮＳも応援者が増えた。
そんな折【ダンジョン】から【魔物】が出て来る様になりすでに何十人も犠牲になっていた。
警察の捜査で六名の男性が結界に触れ中の【魔物】が気付き出てきてしまったと報告されていたが、そんな報告はなんの意味もない。
二人が逃走してるとも報告されたが、出てくる【魔物】の対処で大忙しだった為に捜査所ではなくなっていた。
そして結界の人数表示が６名と出てるのを生中継で報道しようと、防壁から外に少し離れた位置に陣取り生中継の準備をしてる時の事だった。
突然防壁を飛び越えてきた【魔物】に腕を摑まれ防壁の向こうに引っ張り込まれた、その後は両手両足が折られた痛みで泣き叫ぶしか出来なかった。
その時に着衣は強引に剥ぎ取られ【ダンジョン】の中に連れ込まれてしまった。
【ダンジョン】の中を運ばれてる最中も出せるだけの声でわめき叫んだ。
しばらくして広間に連れて来られると檻の中には５名の女性が同じように手足を折られ積み重ねられて放り込まれていた。
私は痛さと恐怖で泣き喚いたが【魔物】に檻の中に放り投げこまれた。
ほどなくして「大丈夫か？」って声が聞こえたので見上げると鎧姿が目に留まり悲鳴を上げたら「大丈夫か？【ダンジョン】に落とされた者だ。」と声かけられ涙声で助けを求めると、慎重に一人ずつ抱き上げながら水たまりの畔に寝かされて、いつの間にか６名全員が並べられていた。
比較的汚れてなかった私に水を飲ませて最低限度の汚れだけ水で流し落とすと小瓶を口に添えられて飲んでと言われ、飲むと手足の痛みが消えるどころか動かせなかった手足が動かせるようになっていた。
鎧姿の人は、他の人の汚れを落として水を飲ませてからポーションを飲ませてあげてと何処かに行ってしまった。
しばらくすると、ボロボロのタオルやＴシャツだった物を持って来て、必要最低限で悪いけど隠せる所は隠しといてとまた何処かに行ってしまった。
次に戻ってくると、片腕でトレイに乗せた食器と食事の入った鍋が運ばれてきて、食べるように勧められた。
勧めてくれた鎧姿の人を見ると泣いてるように思えて、つい声を掛けてしまったが。
「なぜ、私の母親は死に追いやられたのでしょうか？」と聞き返されてしまった。
なぜそんな事を聞くのかと問うと頭の上に赤色文字でそう表示されてると言われ、助けられた女性同士で見上げ合いして頭上の表示を確認した瞬間理解した。
そこからは白色で表示されてる二人としか会話しなくなり、私を含め四名は徹底的に避けられると言うか無視された。
それから暫くして、大きな皮を三枚持ち込んで地面に敷いてくれて六名で十分寝れるだろうとその上で寝るようにと一言だけ言って出て行った。
鎧姿の人が居なくなってから六名で少し話した結果、自分等のした事が筒抜けで話もしたくないどころか怒りを我慢してる節があると二人が言ってたっけ。
本当に翌日には助け出された出口前の階段で毛布を渡されて開放された【ダンジョン】入口から外にでた瞬間には泣いてしまったっけ。その後政府関係者から事情を聞かれて翌日の会見には同行してもらうとも言われた。
翌日の会見は予想もしてない事のオンパレードだったわね、マスコミ連中が彼に態度が悪いと詰め寄り未成年者を見殺しにしてって糾弾してたっけ。実際は子供もすべて五体満足で無事に連れ出されて、実の子を捨て養育費も払って無いって情報も捏造記事で。
実の子を捨てたのは元妻側で養育費も１３年間も振り込まれっぱなしと、地上で流れた情報に何一つ真実はなかった。
助けて貰ったお礼すら言えてないし、贖罪の拡散した情報の回収なんて頑張ってみたけど５４％までしか数値が進まなくなった。
自暴自棄で自殺しようにもナイフで体に傷を付ける事も出来ないし、紐で首を絞めても締まりもしない。
【レベル】が上がったからなのか、【ステータス】が導入されたからなのか、自殺も出来なくなってしまった。
そういえば政府関係者との会話でも、身体検査とかはなくて、運動能力測定だけ受けさせられたっけ。
注射針も刺さらない体らしくていかなる検査も不可能との事だったっけね
それから死ぬ為に１５階から飛び降りてもみたが地面を蜘蛛の巣状にひび割れさせ多少の衝撃を受けただけで骨折すらしなかった。
償い方法ももう分からない。自分のしてしまった事の重大性を今になって理解出来た。
それはあの時助け出された私の他の黒文字で表示された子らも同じだってＳＮＳで連絡を取り合ってる。
拡散して大炎上するのを見てるのは楽しかったし応援が集まったのも集まれば集まるほど高揚も出来た。
その結果が、人を追い詰めて死なせた一人。嫌でも【ステータス】を開けば目に付くし、外を出歩けば周りの視線を集めてしまう。
どこで間違ったのかな・・・
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会見後の舟木さん
私は助けて貰ったお礼をしたいと、会見場に居た松本３等陸尉に彼を探してると言い居場所を教えてほしいと言うと見失ったとの返答だった。
どうやら松本３等陸尉も彼を探してるようであったが、自分はもう見つける事は不可能だなと、納得してしまっている自分もいる事に気づいてしまった。
あの異空間に入られたら、追跡しようがない。
入った場所でも特定出来たら出て来るのを待つ事も出来るかもしれないが、彼は自由に【ダンジョン】の結界を越えて移動してたぐらいだ。
その後、松本３等陸尉に【ダンジョン】から無事に連れ出された子供達の親が彼の居場所を聞いて来るのだが分からないと返答に困ってると、助け出された子の一人が「無理でしょおじさんの異空間に入っちゃえば見つけようないよ」と言われ確信した。
それでももし見つけたら教えてくださいの一点張りでお子さん達の親族の方が怖いぐらい詰め寄ってきてたが、頭の上の表示を見るに彼は絶対に会いたくないだろうなと、思ってしまった。
子供たちも親族の頭の上の表示を見て知って複雑な感情だろうなとつい視線をやってしまうと俯かれてしまったから、間違ってはいなかったようだ。
【ダンジョン】の情報に関しては子供達に聞く事が一切出来ず、その親族さんたちも会見場を出てからの事を口にする事もなく恩人の事は言えませんというだけだ。
そうなると助け出された女性達からしか情報を得られない事と【ダンジョン】前での戦闘映像からしか得られるものは無かった。
最後に救出された女性達――と言っても五名は同僚だが――に彼はどこにも見当たらないと伝え解散する事とした。
助けた女性達への指示の伝え役をやらされたんだから、最後ぐらい声を掛けてくれても良いんじゃないのって腹を立てたのは内緒だ。
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内閣総理大臣官邸
昨日は散々だった、自衛隊が発砲した事を謝罪しに行ったはずなのに、一目みただけで全て知ってて黙ってたお前も同罪だろうと言われ激高しかけたが。
次の瞬間喋る事も動く事も出来なくなった。ただ男性の言葉を聞かされるだけで、１時間少しと会場から出て行った後も身動きも喋る事も出来なかった。
１時間と少しで男性が子供達の親族と会場に戻ってきた途端、何もない空間に金色の枠が出てきて、男性が入って行ったかと思った次の瞬間、男性が子供を連れて出て来るではないか。
子供と親族の再開を見届けてたら〔神〕様の声が響き渡り試練終了が宣言された。
会場の混乱中に出て来たが謝罪対象の男性の姿もいつの間にか消え去っていた。
何も情報を知らせもせず、それでも日本国国民かと激怒もしたし、非国民めと罵ってみても、何にもならない。
僅かばかりの鬱憤が晴らされたことと、善悪値が悪い方に動いていただけだった。
お読み頂きありがとうございます。
なぜかブックマークが増えてきてて、怖いやら嬉しいやらと困惑しております、勝手に書いて更新してるだけの作品でどこにも告知やアピールもした事がないので不思議に思っております。
