第九話 深い穴の底再び!
誤字報告ありがとうございます。
つくづく自分の知識の無さに打ちのめされています。
あと「居てる」との表現を誤字修正依頼も多いのですが、現在の話の中心が関西ですので、関西弁をちょこちょこと混ぜ込んでるので、全国区では違和感があるのは存じておりますがどうか温かい目でお許しくださいますようお願い申し上げます。
遠くの方から悲鳴のようなものが聞こえた気がした。気のせいとも思いたいが思えないのが聞こえの良くなった耳が恨めしい。
悲鳴が聞こえた方向に向かうと蜘蛛の【魔物】が吐き出した糸でぐるぐるに巻き付けられた糸玉が6個、目に付いた。自分に気付いた蜘蛛の【魔物】が襲い掛かって来るがさっきまで糸集めしてた雑魚だ。手に持つ斧で真っ二つにし蜘蛛糸をドロップさせて。満足満足。
おっとそうだ、悲鳴らしきものは聞こえないけど目の前でもぞもぞ動く糸玉。なんだこれ?もしかして遂にモフモフな仲間でも出来るのだろうか?それはないか【ダンジョン】の生物は人と見るや襲い掛かるしか能がないし、動植物は隔離された訳だし【魔物】が捕まっただけなら止めを刺せばドロップ品を落として消えるだろう。
そう思うも不安な為、1つは糸を解いて中を確認してから止めを刺す方が良いなと一番大きな糸玉を多少乱暴に糸をひっぱたり引きちぎったりしながら解いて行くと、なんと言う事でしょうそれは見事な自衛隊員服を着た男性ではないでしょうか。よく見ると意識は無いものの呼吸はしっかりしてるし大丈夫だと判断できた。
そうなると、これ全部人?・・・・・のんきにしてる場合じゃねぇ急いで解かないと窒息しちゃう。もうね慌てまくったね、慌てて5個の糸玉を引きちぎったり引っ張りしながら解いたら、全員が意識は無いものの呼吸はしっかりしたリズムで呼吸してるので、ほっと一安心。斧で真っ二つとかやらないで良かった(汗。
さて全員を見てみると舟木さんまで居てるじゃないですか。そういえばまとめ役の人が【ダンジョン】に入ってて留守だと言ってたな。30階層まで攻略が進んでるなんてすごい頑張りだな。
はて、全員が【白色表示】なのは良いことだ【レベル】が6から15って低くね????
とりあえずここに放置してても何も出来ないし、丸太置き場にしてる荷物置き場に入れておこう。その内気も付くだろう。
って事で丸太の伐採と枝葉の回収に、時折襲ってくる蜘蛛から糸を回収してとを繰り返す事2時間程経過した頃、丸太を運び込んでるといつの間にか6人が意識を取り戻していた。
「こんにちは舟木さん、珍しい場所でお会いしましたね」
「え、阪本さん?」
「そうですよ?違う者に見えます?」
「ここは?」
「舟木さんも知ってる異空間?」
「どうして阪本さんの異空間に?」
「さぁ?糸玉を解いたら6人が転がり出てきて意識が無かったので放置するのも気が引けたのでここに放り込んだだけですよ?」
「また助けて頂けたのですね?」
そう言って頷いているが訳がわからない。
「助けたと言っても訳が分かってないんだけど、いったいどう言う事ですか?」
詳しい事情を聞き出すと4階層を探索中に宝箱を発見し宝箱を開けた瞬間に眩い光に包まれて6人と宝箱が一瞬で森の中に居てたって事と。宝箱に入ってた本は自分しか持ち上げる事も出来なくて開いたら火魔法レベル38を覚えたらしい事と。この森で蜘蛛の【魔物】に襲われては火魔法で追い返して居たそうだが魔力が尽きたのか魔法が撃てなくなって蜘蛛の糸に絡め捕られたって事はわかった。
「それじゃ本当に危機一髪だったんじゃ(汗」
「だからまた助けて頂けたのですね?って事です。」
「なるほどね」
「こっちも悲鳴らしきものが聞こえたような気がして見に来たら蜘蛛に襲い掛かられて糸玉を解いたらあなた方だったってだけなので、特に助けたって気もないんで気にしないで良いですよ」
「それでここはどこなんでしょうか?」
「私の異空間内ですけど?」
「そうじゃなくて、何階層で助けて頂けたんですかって事です!」
怒られた・・・・腑に落ちん
「30階層?ぐらい」
首を傾けながら答えると真面目に教えてくださいと言われたが、まじめに下りてきてないし何階層なのかすら考えてもいなかった。【ビッグスパイダーの糸500g Lv30】ってので導き出した階層だし。
「そう言われても、落とし穴のトラップの床を破壊して時間短縮で下まで来ただけだし、階層なんか気にもしてなかったからそう怒られても知らんとしか(汗」
「そうですか、とりあえず助けて頂きありがとうございます」
「ど、どういたしまして?」
「不躾なお願いですが出口まで護衛をして頂けないでしょうか?」
普通に歩きながら出口に向かうと最短でも1週間以上掛かりそうだし。自分には上で段取りしてくれてる人が居る手前そんな悠長な事をしては居られないし。
「出口まで行くのは構いませんが明日には帰らないと、上でお願い事をしてる手前遅れるのも申し訳ないので。とりあえずご飯でも食べませんか?」
それから有無も言わせずに手料理を披露し6人は満腹になったようで【レベル】も上がって万々歳である。
「出口までは出来ればここに居てくれると移動がスムーズで助かるんだけど、ダメ?」
「わかりました無理は言えませんので」
納得してくれて良かった。
「それじゃ丸太集めと糸集めしてくるのでのんびりしてて下さい」
「お手伝いさせてください、何もしないなんて苦痛ですし」
「えーーー手伝える事なんか無いと思いますけど。気分転換になるなら外に出るのは構いませんが離れない様にしてて下さいよ」
すっげぇ嫌そうに返事したのに、出る気満々の6人を見て諦めた。
「くれぐれも離れないようにしてて下さいよ」
そう言って木を伐採し枝葉を落とし異空間内に詰め込んでいき蜘蛛が襲ってきたら両断して糸を回収してを繰り返していたら6人が凹みまくってた。
「だから言ったのに・・・・」
「だってここまで何もお手伝い出来ないって思わないじゃないですか。丸太はまだ重くて無理なんだと思えたけど枝葉まで持つ事も出来ない重さなんて誰が分かりますか?」
「知らんがな」
「とりあえず腹は減ってないだろうけど食べな、無理してでもね。あなた方は弱い【レベル】が低すぎるから魔法の撃てる回数も少ないし、幸運にも自分の実力以上の魔法を身に着けた訳だけど使えなければ宝の持ち腐れってね。
【火魔法のシルバースキルブック】を開いて覚えたんでしょ?レベル38は今の舟木さんじゃ持て余すスキルだね。【レベル】を上げないと本当の効果は発揮しないよ」
「あの?火魔法のシルバースキルブックなんて名称を言った覚えは無いのですが、何かご存じなんですか?」
「そうだね、いろいろとスキルブックにも種類があるようだけど、自分が知ってるのは4種類かな」
1つ目は、スキル名が書かれたスキルブック。これは書かれた名称のスキルを覚えるけどレベルは1で固定。
2つ目は、スキル名の書かれてないランダムスキルブック。これはなんのスキルを覚えるかは運でレベルは1で固定。
3つ目は、スキル名が書かれたシルバースキルブック。これは書かれた名称のスキルを覚えるが覚えるレベルはランダム。
4つ目は、スキル名が書かれてないランダムシルバースキルブック。これは覚えるスキルもランダムだし、レベルもランダムになる。
「自分が知ってるのはこれだけ。あの日の会見時に報告しようと思ってたがあまりにも腹が立ったから臍を曲げて公開しない事にした情報の一つ。とりあえず食べててね、もう少し丸太とか回収したいから。眠くなったら勝手に寝てくれて良いから」
「わかりました、ありがとうございます」
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おじさんが出て行った後の異空間内
「それにしても彼の身体能力はとんでもないですね」
「片手なのに、丸太を軽々と肩に担いで運び入れてる姿を見て絶句しましたよ」
「あの斧もそうですよ、自分の体より大きな斧で木を一振りで切り倒すんですよ?」
「ああ、あれは凄かった何の抵抗もなく振りぬかれた斧で木が根元からズバッだからな」
「それより、動きも見えない蜘蛛の飛び掛かりに合わせて斧を振り抜き一刀両断とか【魔物】が相手にもなって居ない」
「それだけ、初めの試練が地獄だったって事じゃないの?左手を失うぐらい」
「「「「「ゴクッ」」」」」
「ま、考えても桁違いとしか言いようがないし、休みましょここは時間経過が分かるから助かるわ」
「そうですね、休みますか」
そう答えてから隊員達はめいめいで休む場所を決めて横になって休むのであった。
ゲートを開き丸太を入れようと入り込むと6人はそれぞれ分かれて寝ていた。なので次から武器を仕舞ってる金色ゲートの荷物置き場に刈り取った丸太をせっせと運び込み朝を迎えるのであった。
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芦屋市立打出浜小学校校庭の簡易テント
「阪本氏の提案通り【黒色表示】の人全てに確認作業をしていますが、明日一日は掛かるかと思います」
「そうか、阪本氏も戻られてないし慎重に聞き出すように。それから阪本氏に悪意を持つ【黒色表示】者と【赤色表示】者は分けておいてくれ。阪本氏の気分を害する手伝いをする必要はないからな」
「それにしても、日本中でここだけが救われるのかもしれないな」
そう思いながら、今から8か月前の出来事を思い返しながら呟くのであった。
「あんな報道さえなければ」それは8か月前のニュースの一幕、女性アナウンサーが「成人男性が未成年者を見捨てた」と全国報道で口走ってしまった件が過熱報道の引き金となった。
テレビ局も面白おかしく過激発言する芸人等を起用してマスコミが挙って阪本氏を犯罪者紛いの報道に過熱して行った。
そこに登場したのが〔週刊真実〕の発売で、完全に阪本氏は悪人に仕立て上げられてしまった。
自衛隊員でさえニュースに感化されて事実確認もされてない事を口にして話題にし、どういった悪人なのかを口走りまくていた。
それを聞くたびに自分は事実関係もはっきりしない事を話題にするんじゃないと叱り飛ばしたが〔週刊真実〕を持ち出されると返答に困った。
ふたを開けてみたら〔週刊真実〕は事実無根の捏造記事でそれを書いた記者はその他多くの捏造、冤罪記事を書いていた事が〔神〕様のシステムで暴露された。
それに一緒に試練に挑まされた子供と巻き込まれた幼子も無事に地上に連れ帰られた。
そこからの6カ月間は見ものだったな、テレビは報道のすべてを謝罪し拡散された情報を正確な情報へ書き換える事にやっきになり。目に見える回収率ってのにはスカッとしたな。
「誰かいるか?」
「はっ」
「阪本氏が開く宴が終わった翌日から【ダンジョン】での活動方法を話合おうと思っている」
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水永将大 あれから
あれから、すっごく叱られたおっさんからも【善悪値】が凄く下がってしまったんじゃないかと心配されたがまだ一桁は残ってると言うと一桁ってちょっとした事で下がるから注意した方が良いとも言われた。実際におっさんは母親が死んだ事、子供が捨てられてた事を知って心の中が殺意で支配されてしまった時期があったらしいが、実際に行動に起こさなくても殺意に染まってしまってた時期は善悪値が極僅か下がったらしい。
そしてつい最近、おっさんの言ってた事が現実となった。あのまま死ぬ恐怖だけを持って【ダンジョン】から助け出されて居たらもう二度と【ダンジョン】には入れなかったかもしれない。
今は安全の為に兄貴たちのチームとあの時のメンバーに加え坂元さん、河辺さん姉妹を加えて大人数で食料集めと薪や枝葉を集めてる。大人の話を聞いてるともう日本は国として機能してないんだってさ。
恥ずかしい話あの日の夜キヨに、始めは山之内さんや坂元さん、河辺さんを引き込む為に告白し近付いたが、最近は山之内さんを引き入れる事なんか考えないで普通にキヨとお付き合いしてたと本音で話したさ。もう一度告白するようで凄く恥ずかしかったが本当の気持ちも伝えられて良かったと思ってる。
大人数で安全に食料を集めてきて取って来た食料を配ってるとちょっとした優越感に浸れるけど、こんなのはおっさんから与えられたもんだ。それに少人数にしか配れて無いのも現実をしっかり見る事が出来た。
あれから横田とずっと探知を使い続けてトラップには特に意識してる。敵の不意打ちも用心してる。
おっさんも不覚から左手先を食い千切られたって言ってたしな。
でも、目立つスキルは誰も使って居ない。勿論兄貴にもスキルの事は話してない。軽いケガとかだと隠れて回復魔法を掛けて貰ってる感じで他の人のケガは我慢しようと話し合った。
俺は変われたんだろうか。世界を救えるとはもう思えもしないが近くの手が届く人には手を差し伸べれる人間にはなりたい。当分はおっさんに言われたように【レベル】を上げない事には生き残れないと言われた事を慎重に実践してる。
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深い穴の底で リターンズ
「おはよう、眠れた?」
「おはようございます、眠れました」
「とりあえず朝食作ってきたから食べてね」
「はい、いただきます」
「今日の夕方には外に出てる予定なんでそのつもりでね」
「あの、少しだけでも訓練していただけませんか?」
「訓練って言っても、そこそこ【レベル】上がったでしょ?まだ上げたい?」
「「「「「「はい」」」」」」
お、おう、話を聞いてただけの5人まで揃って返事しやがった。
「それじゃ、少し待ってて」
そう言ってスキルブック類などを収めている荷物置き場のゲートを開きいくつかのスキルブックをもって上階の落とし穴の着地地点まで移動してから異空間に入るのであった。
「おまたせ。訓練してくれと言われても戦いのプロでもなんでもないんで大した事は出来んよ?」
「「「「「「はい」」」」」」
「それじゃ、一人ずつ自分がやってる役割を説明してくれる?」
「今は階級は飾りでしかないので省かせて貰いますが、自分は今田と申します。普段は拳で殴ったり石や木の棒で殴ってます。」
「ふむふむ」
「自分は相田と言います。普段は斥候役をやって【魔物】の発見や罠の発見に努めています」
「うんうん次」
「自分は佐々木と言います。見た目通り体が大きいので厚目のプロテクターを装備して盾の役割をしてます」
「確かにでかいっすね」
「自分は須藤と言います。やってることは今田と同じでアタッカーをしてます」
「ふむふむ」
「私は安田と言います。まだ【ダンジョン】の経験が浅いので石を投げたりして戦ってます」
女性だったのね、中性的すぎて分かんなかった(汗。
「ほうほう」
「私は舟木です。助けてもらうのも2回目ですし1回目の時から【レベル】をあげて貰って感謝してます。今までは投石でしたが、魔法を覚えたのでこれから戦闘スタイルを考えて行きたいと思います。」
「わかりました」
そう言ってそれぞれにスキルブックを渡して覚えさせていった。
今田さんには〔拳闘術〕。
相田さんには〔探知〕。
佐々木さんには〔盾術〕と〔パリィ〕。
須藤さんには〔短剣術〕。
安田さんには〔回復魔法〕。
舟木さんには〔集中〕。
それぞれに渡したが遠慮してくるので、それがそのうち助けになるだろうと押し切って覚えさせた。
「それじゃ時間ないから、外に出てくれる?」
そういってゲートを開き先に外に出ると須藤さんにも持てるだろうとゴミのダガーを渡してみた。少し重いけど何とか使えるとも言ってたのでレベルアップに期待する。今田さんと相田さんには子供達にも渡した頑丈な手袋とレガース擬きを渡す。安田さんと舟木さんには渡せるものが無いので、頑丈な手袋だけ渡しといた。
「盾は持てる物はないので、手のひらで敵の攻撃を受け流すパリィの練習してね」
「相田さんは探知スキルを使いっぱなしで【魔物】の捕捉ね。今田さんと須藤さんは、タイミングを計って攻撃ね。安田さんは怪我の度合いを見極めて回復魔法で回復して、その時に回復量も見極めて無駄に魔力を使わないように意識してね。舟木さんは最初に〔集中〕を使いながら魔法を撃って、失敗してもいいからね。
「相田さんは【魔物】を見つけたら指さして教えて」
「「「「「「はい」」」」」」
そこからは言われたように【魔物】を見つけると子供達にしたように口を鷲掴みしてサンドバック状態で倒させるを繰り返した。流石に子供たちより色々と巧い。6人も満足出来たのか帰るよと言うとぜぇぜぇはぁはぁ言いながらも頷いてくれた。
「それでは異空間入ってて」
ゲートを開き入ってもらって落とし穴を上にジャンプし壁面を再度蹴り上がりながら閉じている床を破壊して1階層に飛び出るのであった。
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水永優大パーティー 16名
3階層で狩りをしドロップ品や薪などがもう持てないようになったので引き上げる事にして将大と横田君が慎重に斥候役を務め何とか1階層への階段を上がり切った時の出来事である。
目の前で床が爆散し破片が周りに降り注ぐも当たる事はなかったが、敵襲かと身を固めた。将大と横田君も顔がビビりまくってるって事は強烈な強さを持った【魔物】に違いないと思い自分で加工した木刀を構え砂煙が晴れるのを待った。
砂煙の向こうに影は見えるが襲ってくる気配は今の所ないが、将大と横田君のビビり方が半端じゃないのが【魔物】の強さを物語ってる。第一【ダンジョン】の床を爆散させて出てくる【魔物】なんか尋常じゃなさすぎる。
「相手は気付いてやがるな。将大、横田君そんなに強敵か?」
「か、勝てない、無理」
「こんな反応今まで感じた事ないぐらい」
「チッ、逃げれるか?」
「「絶対無理」」
自分が犠牲になっても、年下組は逃がさないとな。
「ふぅ煙たいですね、こんなに砂煙立つとは」
聞こえて来たのは大人の声だった。
「「「「おじさん」」」」
「はい?」
「「「「やっぱり、おじさんだ」」」」
「変なところでお会いしますねー」
「おっさんかよ、ビックリさせんなよ。これは死んだなと思ったぞ」
「僕も汗びっしょりになっちゃった。だって動くと殺されそうな気配だったんだもん」
「あらあら、すみませんねぇ。一人での移動だとこれをやると面倒な【魔物】との遭遇がなくて便利なんでついつい使っちゃうんですよねぇー」
「それにしても、また【ダンジョン】に入ってるのですか?」
「今回はちゃんと許可貰って入ってるよ、日本国は機能停止してるみたいなのでここのリーダーの判断でだけどな」
「そうですかそれなら何も言いませんよ」
「で、おっさんはこんな所を破壊して飛び出てきて何してたんだよ?」
「ちょっと暇つぶしで遊んできました。序に拾い物もお持ち帰り中ですね。面倒だから出てもらいますか」
そう言ってゲートを開いて、舟木さん達に1階層だから出て歩いてと伝えたら、嫌そうな顔をされたが出て貰った。
「下の方で遊んでたら拾ったので連れ帰って来ただけだよ。床も元に戻ったし出口に行きましょうかね」
有無も言わさずにズカズカと出口方面に向かって歩いて行ったつもりだったが
「おっさん、そっちちゃうで」
道が違ったようだった。
「ふむ一度しか入った事のない【ダンジョン】で前は3階層から自衛隊員の道案内で帰ったので覚えてませんでした」
「では、へとへとのギトギトの自衛隊員さんに先導して貰いましょう」
そう言うとカエルでも踏みつぶしたような声を出す相田さんに笑ってしまったのは内緒だ。
「うげっ」
すったもんだが有ったが無事に出口に到着出来て、簡易テントに直行したのであった。
「もう準備できてる?出来てるならこの子等がお手伝いしてくれて調理始めるけど?あ、舟木さん一行も快くお手伝いしてくれるはずなんで」
「オジサン、トテェモ、タスカリマス」ペコリ
なんで片言なんだよって聞こえてきたがスルーした。
サクラちゃん、ナツちゃん、ミサキちゃん以外の全員の目が誰も手伝うなんて言ってねぇーって目で答えていたがスルーした。
2度も無償で働いたんだ、手伝うぐらい良いだろうに。
「えっと、手伝うのが嫌そうな顔に見えるんだが良いのかね?」
「そんな顔してましたか?【ダンジョン】でちょっと疲れてるだけの顔にしか見えませんが、大丈夫ですよね?」
「うん、おじさんのこと手伝うよ」
「私もお手伝いします」
「私も」
「2度も助けてもらったんだもん勿論手伝うよ」
ミサキちゃん、ナツちゃん、ハルちゃん、サクラちゃん、ええ子やなぁー。
「おっさんには助けられたし手伝うよ」
「「「「「うんうん」」」」」
「あなたが弟を救出してくれたという阪本さんでしたか。その節はお礼を言う間もなく居なくなってたそうで、弟を救ってくれてありがとうございます」
「!!!!!!!!!」
驚いた眼で見ていたら不思議がられた。
「将大君のお兄さん?あなたが?すごい常識人じゃん!」
そう言った瞬間数名が同意したとばかりに頷くのが見えた。
「将大の兄の水永優大です」
握手を求められたので応じた。
「もちろん、我々のパーティもお手伝いしますよ、何をするか知りませんが」
この子もええ子やなぁー
「大量に調理して、外で飢えてる人々に食事させてついでにレベルアップって企画です。私に悪感情があったり【赤色表示】者にまでは手を差し伸べませんがね」
「それじゃ【黒色表示】でも阪本さんに悪感情が無い人にならご馳走するって事ですか?」
「そう言うことですね」
「で、ここの取りまとめ役さん、準備の程は?」
「はい、言われた通り阪本氏の提供ってのは伏せた状態で、阪本氏への今の気持ちを聞き取り調査して罪悪感を抱いてる人や、謝罪したいって人はこちら側へ呼び寄せてあります。残念ながら阪本氏に悪意を持つ人も少なからず居てるのでそれは省いてます。【赤色表示】は元々声すら掛けていません。そういう約束でしたので」
「了解、ではこのテント前で調理して配れば良いですかね?省かれた者以外の全員に食べれるだけ食べて【レベル】を上げて貰いますから覚悟して下さいね」
「ははは、お手柔らかに」
「それは阪本氏には無理なお願いでありますと具申します」
舟木さんしっつれいやなー俺だってお手柔らかにぐらい出来るわ!
「お手柔らかに訓練してあげたのに、ひっどいなぁー」
「あ、あれで?」
「ま、無駄話してても時間の無駄だし、調理始めましょうか」
お読みいただきありがとうございます。