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地球の管理者が決まりました。  作者: ルドラ
第2章 救出編
31/60

第六話 深い穴の底から生還

誤字報告ありがとうございます。


感想でも読みやすいレイアウト方法とかのアドバイスも感謝しておりますが、全てを対応出来て無い事も理解してますし時間が足りませんので、どうか寛大な心でお許しください。

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 山之内桜 視点


 皆が休んだのを確認したらおじさんが異空間を出て行った。何をしてるのかは分からないけど私達の損になる事をするような人ではないのは知ってる。


 本当なら今日自分は死んでいた。あの【魔物】に咥えられ咀嚼された時の足の痛みは今でも記憶に残ってる。おじさんが駆けつけてくれて【魔物】を一蹴して倒してから私を抱え上げ久しぶりにおじさんの異空間に入った。そこでおじさんが取り出したのは【エリクサー】だった。今もおじさんの左手先が無いのは今日見ても分かった。でもおじさんは私に飲むように強く促してきて私が折れた。飲んだら不思議な感覚で足に光の粒子が集まる様なのが見えて光輝いたかと思った次の瞬間には食い千切られた両足がそこにあった。うれしくて泣きそうになったけど我慢した。

 でも【エリクサー】は最初の1本しか見つかってないはず。脱出までの2か月間しか知らないけど2本目が見つかったら自分の手を治すって言ってたし。


 その後は急いで異空間から出ると倒れてる同級生やキヨちゃんに上級ポーションを飲ませたり振りかけたりして皆が無事なのを確認出来てホッとした。全身の力が抜けるような感覚でさえあった。


 おじさんは落ちて来た穴の上に向かって大声で「子供たちを発見したが深すぎるので保護しながら上の階を目指すので安心してくれと伝えてくれ」「聞こえたか!」「こっちには何も聞こえないが聞こえたなら壁面を叩くなりして音を出してみてくれ」と叫んでいた。


 すると壁を叩く音だろうコーンコーンと聞こえてきて、おじさんは安心していた。やっぱり救助隊員の人が捜索してくれていたんだろう。いっぱいの人に迷惑を掛けたに違いなかった。


 それからおじさんに叱られた。いままで叱られた事なんか無かったのに叱られた。キヨちゃんが心配で付いて来たと言った途端不覚にも泣いてしまった。


 これで安心して出口まで出れると思って居たらおじさんはこう言った。これからは皆の足で歩き【魔物】を倒しながら上を目指し移動する【ダンジョン】がどんなに怖い所か知らないと英雄にはなれない、と。


 今回は皆が自分の意志で【ダンジョン】に入った結果罠に掛り命を失う一歩手前まで経験した。いまのまま異空間に入って外に出たらどうなると思う?もう二度と【ダンジョン】に入れない心になるよ?おじさんはそれでも良いけど〔神〕様はそんなのは望んでないと思う。ちゃんと強き善き魂には〔神〕様は恩恵を与えてくれるはずだし、魂を鍛えないとこの先辛くなるよ。


「ただし、おじさんが出口までは君達の命の保証をしてあげる。絶対に死なせはしない。立ち上がれない者はもう面倒をみないよ、異空間内で出口に行くまで安全に軟禁してあげる」


 見放してるようで、見守ってくれているのが凄く分かった。私たちの心が壊れようがおじさんには関係ない話なのに、出口までは絶対に死なせないって言ってくれたのがすごく嬉しかった。


 それから【魔物】と戦えるか確認されたんだと思う。おじさんが口を鷲掴みにしたカメレオンを私たちに殴り殺させた【魔物】が死ぬまでの感触が今でも忘れられないけど、おじさんの言う通り殺すと言う事は学べたと思う。魔法で倒してた時はゲーム感覚だったのは確かだ。遠くから一方的に魔法を打ち出して死体は青黒い粒子になって消える。飛び散った血も消えているからゲーム感覚に陥っていた。


 思い返してるだけでもおじさんはスパルタだと思ったけど、その後は皆に話を聞きどうなりたいか聞いてきた。地上に存在する職業はほとんど全滅するから【ダンジョン】でどう在りたいかを聞いてきた。皆真剣に考えたんだと思う。


 そしてそれぞれに【スキルブック】をくれた。ただし性格が分からないから攻撃性の低い物しか渡さないとも言われた。でも話を聞けばちゃんと役に立つ物ばかりを選んでそれぞれに渡していた。私は貰って無いけど以前別れる時に一杯貰ったから良いけどね。


 皆がスキルを覚えたらまた戦いに外に出た。今度は探知持ちに探させてたけど、私も探知持ちなんだけど口出しはしないように探知の練習だけしときなさいと言われた。長尾君にパリィの練習させて佐藤さんに回復魔法の練習もさせてと、ただのスパルタじゃなくちゃんと説明しながら戦わせてくれた。


 ただがむしゃらに殴ってる時とは違って戦いやすかったけど、魔力配分は難しいし私は魔法を禁止されてたけど。


 あ、おじさんが帰ってきた。手に何か持ってるけど何か分からないから気にしない事にして寝ることにした。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 異空間に戻ってきたらサクラちゃんだけは寝たふりをしてるだけのようだった。荷物置き場で作ってきた人数分の頑丈な皮手袋と膝上までカバー出来る頑丈な脛当てをその場に置いて横になった。誰かが話し掛けて来るかと思ったが疲れているのかグッスリ眠っている。


 空間が明るくなった頃に子供たちが起きだして来たので、挨拶を済ませ水場で顔を洗って来るように勧め朝食の準備に取り掛かる。この空間には竈も設置できない空間なので焚火での調理だ。調味料がなく寂しい。俺の調味料は何処にあるのだろうか?謎だ。


 子供たちに朝食を食べさせたら少し休んでから【魔物】と戦う事を宣言する。子供達も昨日よりやる気に満ちているようだ。自分の子供と同じぐらいなのに我が子は何処に居るだろうか?


「それでは一人1個ずつだけど多分持てると思うから装備して戦いに行きましょう。やる事は昨夜と同じだからね」


「「「はい」」」


「「「はーい」」」

 ゲートを開き外に出て警戒し子供達が出てくるのを待った。


「あれ階段がある!」


「階段じゃん!」


「なんで?」


「昨夜の内に探しといた。今日はここを拠点にして戦い方とスキルの扱いに魔力の使い方と覚えて貰う。今日一日しか無いと思って効率的にやってほしい。上の階の【魔物】になればなるほどレベリングの効率が下がるしスキルも育ちにくくなる。ここの敵は探知を育てるにはお誂え向きだ」


「「はい」」


「佐藤さんは1回の回復でどれ位の傷が治るのかよく確認して回復を使うようにして。順番としては小さな傷でも出血が止まらない傷、出血が多い傷。これは出来るだけ早く止血出来ないと出血死や失血により気を失う恐れがあるから要注意ね」


「はい」

 それからは将大君と横田君が探知で探しては自分が捕まえを繰り返し戦いを覚えて行った。と、言っても一方的に殴る事だけを覚えたのが現状だ。次の段階に進めよう。


「そろそろ倒すのも慣れたかな?次は捕まえないで【魔物】の攻撃を避けながら戦う事を学ぶけど、一方的に吹っ飛ばされた記憶が蘇るかも知れないけどどうする?そうなったらもう【ダンジョン】には入れない体になったと諦めるしかない。上に帰ってから精神科の医者に診て貰うしかおじさんにはどうしようもないからね」



「まだ早いと思うならもう少しなら今までの様に捕えてあげるけど相談して決めて」

 ゲートを開き中に入るように促し、昼食を用意して自分は外に出た。こればっかりは本人達が話し合い決めなければ解決しないと思うし酷だとは思うがここで決めてしまわなければ地上で待つ親御さん方も心配で仕方ないだろう。俺には心の病気を抱えた人を癒す能力はないのだ。あとは地上で医師に任せるしかない。

 小一時間位経っただろうか。ゲートから出て来た子供達を見ると不安顔であったが、話を聞くとやってみるそうだ。


「覚悟は良い?良いなら連れてくるよ」


「はい、お願いします」

 気持ちが変わらないうちにサクッと一匹を捕獲してきて均等に散らばった中央に解き放つ。


 まず長尾君がパリィを中心に敵の攻撃を捌きながら将大君と横田君が敵の側面から襲い掛かり打撃を加えていくも反撃を恐れて腰の引けた攻撃を繰り返す。パリィをしてる長尾君も今までと違い舌が伸びて来る動きの敵に対応出来てない感じである。それでも恐怖に染まった顔はしてないのでこの3人は問題ないだろう。


「将大君と横田君は下がって交代して。サクラちゃんと清水さんと佐藤さんも攻撃に参加してみて」


「「「はい」」」


 攻撃役がチェンジした事で敵の動きもまた変わったので長尾君も少しずつパリィのタイミングを逃し被弾してるがまだ持ちこたえているし、攻撃役に回った3人の少女も顔を引き攣らせることなく慎重に距離とタイミングを計って戦えていた。これなら大丈夫だろう。1階層からチャレンジを繰り返せばそのうちこの階層まで来れるだろう。少し安心できた。


「それじゃ攻撃役交代ね、長尾君には回復魔法を掛けてあげて」


「はい」

 交代を何回もしておじさんも長尾君にポーションを飲ませたりを繰り返した結果、【魔物】も弱って来てからは一方的に殴り倒した。


「おつかれさん、どうだった?」


「正直怖かったけど、まだ分かんないっすね」


「戦う事に恐怖心を覚える事は良い事だよ」

 その日は夕方まで同じやり方で戦い疲れ果てながらもやり切った。


「明日は出口に向かって移動を開始するよ。休憩する時と寝る時だけここで休める」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 水永将大 視点


 おっさんに助けられた。そして【ダンジョン】に来る事になった事を詳細に説明させられた。嘘を付く事も出来たかもしれないが嘘を付く事なく全てを話した。目を付けた3人の少女を引き入れる方法も話したがそこはスルーされた。自分が英雄に成りたかった所でおじさんの知る英雄像を聞かされた。


 俺は調べても居なかった、地球で英雄と呼ばれてる有名人の事を。おじさんは自分の主観であり偏見が多く含まれるとは言ってたが多分そうなんだろう。そして、アニメや漫画の英雄の様に活躍して皆を救う英雄に憧れてるのも指摘されてしまった。「その作品を作った作者の作中での都合の良い英雄像か」実際にそうなんだろうと思えてしまった。


 1階層の【魔物】は何も考えないでも蹴っていれば簡単に倒せた。自分が特別だと思ってしまえるぐらいに兄貴達の動きなど見ても居なかった。今思い返してみても兄貴のチームは一人が静かに先行して【魔物】の有無や罠の有無を確かめながら慎重に進んだに違いない。それなのに自分たちは大声でお喋りしながら近寄って来た【魔物】を蹴るだけで優越感に浸り、友人にも内緒で2階層に降りるつもりで居た。


 兄貴達でさえ2階層までしか行った事が無いと言ってたんだ。そこを聞き流していた。そして友人6人と落とし穴に落ちた。そこは居るだけで肌に伝わってくる緊張感が半端なかったが、山之内が一人で指示出すのも気に食わなかったが言ってる事は正論過ぎて素直に聞き入れた。


 見えない【魔物】の接近にも気付くし近づかれる前には倒すしで何をしてるか分からなかったから聞いてみたが、勘や奥の手や秘密兵器よと教えてはくれなかった事にイラっともしたが、山之内の頑張りだけで生き残れてるのも事実として理解できたから黙った。


 それから助けてくれたおっさんは、自分たちがどうなりたいのかを聞いてきた。地上の職業はほとんど全滅するだろうから今後の【ダンジョン】でどうなりたいのかと。考えてみたけど今までは漠然と英雄になるものだと思ってしまってた手前、真剣に考えた事がなかった。本音を言えばあんな痛い思いは今後したくないと思ったけど。やられっぱなしってのも格好悪いしな。


 今後も戦うって気持ちを全員が伝えて、どうなりたいかも漠然と答えた結果【魔物】を倒させられる事になった。おっさんが【魔物】の口が開かないように鷲掴みにしぶら下げられた状態でサンドバックみたいに殴ったが【魔物】も暴れられる手足や尻尾で反撃してきてそれなりに怪我を負ったが倒せた。倒すまでが辛かった。生物を殴り殺す言葉にすれば簡単な事も実際にやってみると抵抗もされるし、なかなか死なない。殴り続ける度に拳も痛くなるし気持ち悪くもなってくる。


 そして全員が戦う事が出来た事でスキルを覚えさせてもらった。簡単にスキルを渡されたがこれだけのスキルブックを手に入れる為には相当の苦労をしたのは事実だろう。【ダンジョン】が解放されて【スキル】を覚えたなんて聞いたことがないぐらいだから相当な価値があるんだろうと思う。


 おっさんは俺等の性格を知らないからと攻撃力のあるスキルは渡せないと言ってきたがそれも理解できた、自分の渡したスキルで事件を起こされても寝覚めが悪いだろうと思うし、それでもそれぞれに後々有用になるようなスキルを選んで覚えさせて貰った。探知スキルが育てば背後からの攻撃にも反応出来るようになるらしいし、罠も見つける事が出来るのが良かった。


 そしてスキルの使い方の練習やスキルを貰う前に倒したやり方で【魔物】を殴ったがおっさんが細かく注文して交代の指示とかも出されその日は終了となった。


 翌日になり手渡された手袋とレガースとでも言えばいいのか、身に着ける物を手渡された。おっさんの自作品であるそうだ。


 そしておっさんの異空間をでると階段の目の前で驚いた。


 午前中は同じやり方でスキルの訓練をし終了となったが、昼食時に次は【魔物】を連れて来るだけで自分たちで戦ってみなさいと言われ緊張で食事の味も分からなくなったが食後に皆で話し合い、やってみる事になった。


 その戦闘は本当に難しかった。敵の攻撃は早いしパリィしてくれてる長尾にしても失敗しまくりだった。当然の事として【魔物】の方が【レベル】が高いのだ。色々と考えもって戦って交代も何回かしたし、おっさんもポーションを長尾に何回か飲ませてるのも見た。それでも時間は掛ったが全員で倒す事が出来た。おっさんは明日からは出口を目指すと言い切り、落とし穴に落ちて3回目の夜を迎え寝る事になった。 


 お袋やおやじに兄貴も心配してるだろうな。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 その夜も、おじさんは子供達が寝静まると異空間を出て上階を目指して移動した。なぜならこれ以上パワーレベリングをする気がないからだ。ここまでやれば後は子供たちが(まな)び学習するだろう。そこまで知らない子供達の為に時間を使いたく無かったのが本音でもある。我が子を探す事に時間を使いたい気持ちが強いのだ。


 ミサキちゃんとナツちゃんにお願いされたサクラちゃんを助けた時点で気分は我が子の方へ向いては居たが、不安げな子供達を見てしまうとこの子達が立ち直れなければどうなるだろうと考えてしまってついつい(ほだ)されてしまった結果【ダンジョン】の怖さの再確認と自分たちの今後を思い浮かばせると言う現実を見詰め直させ、今後に役立ちそうな【スキル】まで与えてしまうと言うちょっとじゃないぐらいやり過ぎてしまった。


 あとはもう速やかに脱出するだけで、その後は舟木さんにでも押し付けて我が子を探そう。元妻は信用できない。そうやって考えながらも6階層まで登ってきて5階層の階段を見つけた所で異空間に戻り休むのであった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 芦屋市立打出浜小学校校庭 簡易テント内


「発見報告が来てから4日が経ったがその後の情報はないのですか?」


「はい、ございません。救助隊は下層へ向かって移動をしていますが、難航してるのも事実です」


 毎日毎日こうも押し掛けられては仕事にも影響が出てしまう。私自身は阪本氏の異空間に入った事があるだけに、安全に運んで貰える事を知っているがそれを説明しても聞く耳を持たないとはこの事だろう。我が子の事になると、こうも取り乱すものなのか。


 そんな時、簡易テント内に隊員が飛び込んできた。

「救助隊が全員無事に帰還されました、その中に子供達の姿もあります」


 その報告を聞いて飛び出してしまった。同じ報告が数組の親御さんが詰めているテントへもなされたのだろう、親御さん方も飛び出してくるのが目に留まった。


「3階層で阪本氏と子供達に遭遇し一緒に帰還いたしました」


「ご苦労様です。それでお子さん方の容体は?」


「はっ、現在は心身ともに健康でありますが、死ぬ寸前で助けられたとお聞きしました」


「こちらにいらっしゃっていないご家族にも連絡をし無事の帰還を伝えてやってくれ」


「それで、阪本氏は?」


「あちらで、山之内桜さんとお話されてますね。お聴きしたところ山之内桜さんの救出を山之内桜さんのご友人にお願いされての事らしいです」


「それでは他の子からも中で何があったか聞き出さねばならないので、ご家族がそろったら同席してもらって個別に話を聞かせて貰える様に親御さん方に話を纏めといて欲しい。私は阪本氏の所へ行って話を伺ってくる」


「はっ、それぞれのご家族に個別に話を聞けるように場を整えます」

 見事な敬礼をし仮設テントを増やす作業やご家族との話し合いに奔走しだす部下を見ながら阪本氏の所へ移動するのであった。


「サクラちゃんの両親は来てないようだね。おじさんが【ダンジョン】に入る時には居てたんだけどなぁ」


「こんにちは、舟木です。阪本氏が子供たちを発見保護したと穴の底より声が聞こえた結果、我々がいつ戻られるかは分からないとお伝えして戻り次第連絡するとお帰り頂いたのです」


「そっか、それじゃ直にサクラちゃんのご両親も来るね」

「はい、今各御家族にご連絡しこちらへ来て頂くように調整してる所です」



「で、子供達に罰はあるん?」


「いえ注意程度でしょう抜け道を利用し入場した事は注意しか出来ませんし、抜け道を作った側にも責任がありますので」


「そう良かった、自分もついつい【ダンジョン】内で叱っちゃったからお手柔らかにお願いね」


「坂本氏に叱られたのではさぞ恐ろしかったでしょうね」

 ふふふと笑いながらサクラちゃんを伴ってテントの方へ歩いて行こうとしたので、自分はやる事があるからとこれで立ち去る旨を一方的に告げて去るのであった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 夕方ニュースのNEWS18


「本日15時過ぎに陸上自衛隊より伝えられた情報によりますと【ダンジョン】内の落とし穴の罠で行方知れずになって居た、少年少女6名が無事【ダンジョン】より自衛隊員に伴われて助け出されました。ご家族の方もさぞ安堵された事でしょうし救助に関わった方々からも注意されてる事でしょうから報道は救助された事実だけお伝えさせて頂きます」



「続きまして〔週刊真実〕記者の木澤容疑者に警察と弁護士の監視下の元で〔週刊真実〕に真実を書かせて販売したところ73%まで回収率が進んだ事を受け、監視下でSNSへの拡散回収活動も強制させました所、82%まで回収率が進みました、まだまだ我々の贖罪は達成出来てませんがこれからも続けていきたいと思います」



「続きまして、本日正午に東武線の車内で刃物を振り回す事件が発生しましたがその場にいた人達に怪我もなく取り押さえられ現行犯逮捕されると言う事件が起きました。この影響で東武線は1時間の遅延が出て居ます」



「男の供述によりますと、阪本氏の誹謗中傷を拡散させた事の回収に努力したが回収率が97%まで来てから一向に進まなくなり自暴自棄となり誰かを道連れにしてやろうと短絡的な犯行に及んだようですが【赤色表示】者の身体能力は小学生低学年程度の為あっさりと捕縛されたとの事です」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 芦屋の小学校の校庭から離れついでだからと芦屋市の市役所で育児放棄者の児童受け入れ施設の場所を聞き直接捜し歩き、西宮市役所でも育児放棄者の児童受け入れ施設の情報を仕入れ記録が失われる前に手当たり次第に訪ねまわるのであった。神戸市では区役所毎にしか分からなかったので神戸市内の区役所を手あたり次第あたり育児放棄の児童の情報と施設の場所を聞き出して歩き回ったが何も得られなかった。


 元妻側からは入金もないし、子供を連れて来る気配もないがそもそも連絡が取れないのにどうやってと不安も有ったため、意を決意して元妻の実家に行ってみる事にする。

お読みいただきありがとうございます。


お読みいただける人数が突然増えて驚いて居りますが、これからも頑張って更新していきますのでよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おじさん優しいな。間もなく動植物が隔離されてダンジョンでしか食料を手にいれることができない世界が来る時に、トラウマでダンジョンに潜れなくなったら結局は餓死するしかない。 [気になる点] 会…
[一言] 兵庫県民として兵庫が舞台になっていて嬉しい・・ あと、芦屋はお金持ちが多いので廃墟に成って欲しいな・・
[一言] >精神科の医者に診て貰うしか そういえば精神科系の医療知識はダンジョン世界になっても有効だと思うで、早くダンジョンの植物から作った魔素・魔力のこもった紙に、同じく魔素・魔力のこもったインク(…
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