第四話 深い穴の底で②
誤字報告ありがとうございます。
この話は今の所は関西地方で話を進めてる関係上所々で関西弁を入れていますが誤字報告で関西弁の修正を求められてます、ですがあえてそのままにしてる個所もありますので温かい目で見てやってください。
「居てる」と表現されてる個所の誤字報告が多いですが関西弁ですのでご容赦頂けますと幸いです。
いつの間にか寝息が聞こえてきた。あの時のおじさんもこんな気分で私達を見ていてくれたのだろうか。
おじさんの異空間って今思えば便利だしチートだよね。ふふふ
そんな事を思い返して思い出し笑いをしてたら次の瞬間、〈探知〉スキルに反応が出た。
「皆静かに起きて壁際に寄って【魔物】が近付いてるかもしれない」
素直に皆が従ってくれ壁際に寄って身構えていると、何も見えないのに壁の隅をこちらに近寄って来るのが〈探知〉で理解できた。
「皆、すぐそこに【魔物】が居る。向こうもこっちに気付いてゆっくりと静かに歩み寄ってる感じ」
「なんでそんな事わかんだよ?」
「今は良いでしょ、それより仕掛けられる前に仕掛けてみる【魔物】の強さが分からないと逃げるべきか戦うべきか判断付かない」
〈ウィンドカッター〉
その一言で目に見えない空気の刃が【魔物】を襲い右前足を切り落とす。まるで見えていない皆からしたら突然血が噴き出したように見えた事だろう。
「大丈夫、勝てそうで少し安心できた」
「すげー」
〈ウィンドカッター〉
もう一度魔法を撃ち出すと【魔物】の首横に深い切り傷を残し血が噴き出し始めた。
「カメレオン?」
「カメレオンを大きくしたようなサイズね、能力も擬態か何かかしら?でも倒せるようで安心したわ」
【魔物】がみるみる弱り青黒い粒子となって中空に溶けるように消えて行くと、ドロップ品が顕現するのであった。
【フェイクロックカメレオンのもも肉1kg Lv29】
【フェイクロックカメレオンの舌 Lv29】
「どうやらここは29階層のようね。」
「なんでわかるんだよ?」
「【魔物】の【レベル】が29だからよ、ただ正確かどうかは分かんないわよ?」
「それにしても厄介な【魔物】ね、姿が見えないんじゃ変に移動すると突然襲われそうね」
「ああ、その意見には賛成だが、どうやって【魔物】の接近が分かり居る場所まで正確に分かったんだ?」
「勘よ」
「じゃあ、ウィンドカッターってなんだよ?」
「奥の手よ」
「チッ」
「とりあえず食料は手に入ったけど、火を熾せないし燃やせる物もないわね」
「私はここで待機継続で良いと思ってるけど考え変わった人居る」
「いや、ここで救助待ちで良い。」
「そう、それじゃ少し休ませて貰うわね。荷物とか体から離すと3時間ほどで消えるから注意してね」
そう言って休む振りして〈探知〉スキルに集中するのであったが、3時間に1度の間隔で先ほどのカメレオンが近づいて来るのでそうゆっくりも出来なかった。
計4回の【魔物】の接近があり接敵前に〈ウィンドカッター〉で倒して難を逃れたが、何も好転してはいないのであった。
「とりあえず午前9時ね」
「なぁ、気になったんだがよ。ここの【ダンジョン】って何階まで探索者が来れてるんだろう?」
「「「あっ」」」
「そう言われればそうね、ここが未踏階だったとしたら救援なんて来れないわね」
「それじゃ次の提案だすね、このままここで救助待ちしながら3時間に1回近付いてくるカメレオンを倒してある程度の食糧を確保してから上の階を目指して移動するってのを提案するわ」
「俺はそれで良いぞ、正直に言って倒してるのは山之内さんだし【魔物】に気付くのも山之内さんだからそれに従う」
「僕も異論はないよ」
「私もそれで良い」
「サクラちゃんに任せるよ」
「僕もその案は良いけど山之内さんの負担が大きすぎないかな、【魔物】の発見から討伐までって」
「それは仕方ないわ出来る事をしましょ」
「とりあえず肉を焼くから素手で悪いけど引きちぎって分けて食べましょ」
「どうやって焼くんだよ」
「とりあえずフィルムを剥いてフィルムの上に肉を置いてくれる?」
「無理だ持ち上がらない」
「あ、それがあったか。良いわ私がやる」
フィルムを剥いてフィルムの上に置いた肉に向かって〈ファイアボール〉を空中維持で火の玉に肉を包み込み焼いていく。
「なんだよそれは」
「秘密兵器よ」
「またかよ、チッ」
しばらく炙り続け焼けた頃合いで焦げの部分を手で裂き肉を分け合って朝食とした。レア感が功を奏し同時に水分も補給できてる感じで喉の渇きに苦しむ事も無かったのが救いだ。
そのまま夕方の時刻まで接近する【魔物】のカメレオンを狩る事で食料を得ながら、次にどうするべきか思い悩むのであった。
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時は朝まで遡る
いつもの様に通学時間に家を出てナツミの家に向かう
「おはよう、ナツ」
「おはよう、ミサキ」
「それじゃ行ってみようか」
「そうだね、おじさんと会えると良いけど。会えなくても手紙書いてきたから入り口前に置いとくけどね」
雑談し軽くふざけながらも印象深いあの場所へやってきた。少し緊張するが自分の記憶に強く残る場所だ。公園はすでに撤去されて【ダンジョン】入り口を中心に簡易防壁が組まれたままなのも当時のままだ、結界はおじさんが入ったからなのか他の最高難易度の【ダンジョン】みたいに真っ黒ではなく、階段が目視できるほどの透明感を持っている。
それに、結界に表示されると言う生存者の数ってのもシステムが生きていて、ここしばらくは1と0を繰り返して居たらしいが今日は-の表示だ。
「これって、おじさんが外に出てるって事だよね?1なら【ダンジョン】内に居てて0なら異空間で休んでるって事だもんね」
「待つ価値あるね、学校に行ってる場合じゃないよ」
「うんうん」
とりあえず防壁の所に居てる自衛隊の人に見かけたか聞いてみたが、見てないとの返答が返ってきた。
「見えない速度で動いちゃってるのかもね。人の目に留まりたくなくて」
「あーあり得るね、おじさん救助した女性たちに会ってからと外に出て人に会ってからずっと何かを我慢してた雰囲気あったもんね、私たちの親の表示見ても我慢してくれたぐらいだし」
「ま、【ダンジョン】結界には触れないけど入り口前で待つよ!」
「だね」
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おじさん味に飢える。
「飽きた」
【ダンジョン】内に戻って異空間に閉じこもり気味に【ダンジョン】攻略も少しだけしてみて、100階層でドラゴンさんと雑談してと少しは気が晴れた位には心が落ち着いた。波だった心が落ち着くまではそれなりの時間が必要だった。
13年前に子供を奪われた裁判後も心が癒えるまで10年は掛かったはず、いや未だに癒えては居ないだろう、ただごまかしていただけかも知れないし。養育費を倍額以上振り込む事で子供への義務を果たした気になっていただけだったのかも知れない。
それがまさか、元妻から子供たちが捨てられてるなんて知りようがなかったし。いや言い訳だなこれはストーカーと言われても近くで見守り続けた方が良かったのかもしれない。
あの会見の日から、一週間後に西宮市役所を訪れて子供の現住所を開示してもらえないか相談に伺ったが元妻の出してる閲覧制限が掛けられたままと言うか、半年毎に閲覧禁止の処理がされてるそうだ。
口座を確認しに行っても元妻側からの返金は一切なく我が子を私の元まで連れて来る事と女神様に告げられた事さえ実行されてない。元妻の所に駆け込んでも感情の赴くままに殺してしまいそうで自分が怖い。
市役所で我が子を探す方法は無いかと尋ねたが弁護士さんにご相談されるのが一番かとと返答を貰うも、もう時間がないのだ。あと3ヶ月もしないうちに建造物は形を維持出来なくなり、一切の食糧が自給出来なくなるのだ。唯一の食糧確保方法が【ダンジョン】での確保になる。
今ある仕事の殆どが機能しなくなるのだ。悠長に弁護士に依頼して解決出来る訳がない。それからはちょくちょくと施設を周り聞いて回るも13年前の話で覚えてる職員が居ないのが殆どである。元妻ならどこに預けたのか聞けるかもしれないが、電話番号はすでに変更されていて元妻の実家も電話番号の変更が確認されただけだ。
聞きたいのに会うと怒りのままに殴り飛ばしそうで、そうなると確実に元妻は弾け飛んでしまう。そんなモヤモヤした生活を会見の日から2カ月費やしていた。
そんなある日の一言が「飽きた」である。
【魔物】のドロップ品は美味しいが、塩コショウや醤油やオリーブオイルに味噌と何も無い事に気付き、味に「飽きた」のである。
でも現金が無い。それでも調味料は欲しい。ナツちゃんと同じスキル〈料理〉を覚えてから無性に調味料が恋しくなった。でも現金が無い。
悪循環である【ダンジョン】の中では現金は手に入らないのだ、もしかしたら【ダンジョン】の中で調味料も手に入るのかも知れないが、今までは手に入っていない。
ハローワークにも行ったがそこは閑散としていた。職員に聞いてみるも第二幕の次段では建造物の倒壊に資源の回帰に動植物の隔離と目端の利く人物は普通の仕事から撤退したそうである。【ダンジョン】から物資を得ようと組織の下地を作る準備が進んでるようだが、難航してるとも言ってた。
俺の子供達と調味料はどこだ。頭の中がそれだけで一杯になる。
大阪府内の施設を訪ね歩いたが進展は無かったし、また調味料を買う金も稼ぐ事が出来なかった。
それに周りを見渡せば自分の誹謗中傷の拡散者たちが大勢居て、中には母親を死に追いやった一人ってのも目に付くが、会見の日程激高しそうにはならない。女神様が裁きを与えてくれたからその部分は心が軽くなったに違いない。それに空を見上げれば71%から一向に拡散の回収が出来て無いのが見て取れて気分がスッキリするのにも役立ってる。
金が無いので何も買えなくて生活に困った結果【スキルブック】を手あたり次第に役立ちそうな物を使った。
〈機織〉〈裁縫〉〈糸紬〉〈鋳造〉〈鍛冶〉〈採掘〉〈陶芸〉〈調合〉〈手芸〉〈錬成〉〈錬金術〉〈火魔法〉〈土魔法〉〈風魔法〉〈水魔法〉〈回復魔法〉〈解毒魔法〉〈解呪〉〈威圧〉良く使うのだけでもこれだけある。
そのなかでも、〈糸紬〉〈機織〉〈裁縫〉は大活躍で使える。
襤褸しか着れなかったのが新しく服を新調できたが、デザイン力なんてものがない自分では今まで愛用してた迷彩ズボンにTシャツを作るのが精一杯だ。もちろん迷彩柄なんか作れていない為、迷彩柄ズボン風の迷彩柄なしズボンを茶色や黒や深緑に染めて穿いてるだけである。
それにしても我が子はいずこへ。そして調味料はどこで【ドロップ】するのだろうか?
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最高難度ダンジョン前
夕方前に考え事をしながら防壁を飛び越え中に入って【ダンジョン】に向かって歩いていると後ろの防壁側から突然声を掛けられた。
「あ、おじさん」
「ん?おおミサキちゃんにナツちゃん、お久しぶり」
「こんな所でどうしたの?」
「どうしたのじゃないよ、探してても全然会えないし」
「ん?なんで探してたの?」
「いろいろお礼も言いたかったし謝りたかったってのもあったし」
「でも今はそうじゃないの、サクラが大変なの」
「ん?サクラちゃんが大変って?」
「おじさんってテレビとか見ないんだね?」
「そうだね、異空間にテレビないし」
「サクラがね【ダンジョン】で落とし穴のトラップに引っ掛かって行方知れずなんだよ」
「え、【ダンジョン】に入ったの?」
と指を目の前の【ダンジョン】に指さす
「違う違う、そこじゃなくて他の初級【ダンジョン】でだよ」
「そ、そう」
「まだ見つかって無いって事でおじさんを探してたんだね?」
「そう、こんなお願いするの悪いと思うけどサクラ助けて」
「わかったよ、場所どこ?」
「芦屋市立打出浜小学校の校庭」
「知らないんだけど、どう行けば良いの?」
「臨港線を芦屋方面に移動して芦屋に入ればすぐわかると思う」
「ふむふむ行ってみるけど、二人はどうする?」
「一緒に行く!」
「そう、じゃあ異空間に入っててその方が早く移動出来るから」
そう言いながらゲートを開き二人を中に入れて言われた通り臨港線を猛スピードで芦屋方面に向かうのであった。
救助されてるかもしくは自分が間に合えば良いなと思いながら移動するのである。
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深い穴の底
「そろそろ食料も十分集まったし、移動してみる?」
「そうだな、ここで待ってても救助が来そうにないし」
「それじゃ慎重に移動しよう。声は勿論足音も注意してね」
そう注意を促して全員で階段を探すために移動を開始するのであった。
「やっぱり姿を擬装したカメレオンが一杯いるわね」
「どうする、全部倒せるか?」
「無理だと思う、反対方向に行こう」
至る所に擬装したカメレオンが探知に反応し引っかかる。
「こっちの方が少ないけど、接近されちゃいそうだけどどうしよう?」
「接近されると守り切れないし、ここでの戦闘音で向こうの群れが来ないかも心配」
「それでもどっちかは突破しないと階段を探すどころじゃないだろ?」
「そうね、それじゃこっち側を出来るだけやってみるわ。」
「頼む」
その言葉を聞いて全体的に少し下がってもらって射程ギリギリからウィンドカッターで攻撃をしまくるも、ワラワラと集まりだしたカメレオンにじり貧になっていく。とうとう肉弾戦の距離まで近付かれてしまう。
「だめ、下がろう距離を取らないと無理」
「お、おう皆下がるぞ」
下がって貰って距離を保ちつつ確実に倒していったが何とか魔力が尽きる前に倒しきれた。おじさんが言ってた通りレベルアップしても魔力の全回復なんてしないのね。知ってはいたけどこの場面ではその仕組みが嫌らしい。
「はぁはぁ」
「ごめんちょっと休ませて」
「ああ」
〈探知〉が使えなくなるまで疲れたのがまずかった
「ぎゃあああ」
「きゃあああああ」
ちょっと気を抜いた瞬間に佐藤さんと長尾くんがカメレオンの舌に捕まえられて一瞬で引っ張られ口に運ばれて行ってしまった。
体格差で丸呑みにはなってないが嚙まれてるようで痛がってる。私は疲れた体に鞭打つように飛び出すとカメレオンを蹴り飛ばし二人を口から解放し、残りの魔力を使いウィンドカッターで2匹を始末するのが精一杯であった。
「はぁはぁ、二人とも大丈夫?」
「噛まれた所の血が止まらないしすごく痛い」
「私も足を食い千切られるかと思った、まだ繋がってるけど血が止まらない」
「ほんとにごめんね、一杯一杯で油断した」
もう意識を保つのも精一杯なぐらいしんどい。でもここで意識を失えば命もないだろうと精一杯意識を保つ。
「ぐぁあああ」
三度響く悲鳴で辺りを〈探知〉で確認するもなにも引っかからない、そうしてるうちに皆が弾き飛ばされて行く。
弾かれる向きで敵の位置を予測してウィンドカッターを放つも当たったはずなのに効果が薄く今までの敵じゃないと嫌な汗をかく暇もなく弾き飛ばされるのであった。
サクラはまだ良かった、レベルも36まで上がっていて、〈衝撃耐性〉ってスキルまで覚えていたから弾き飛ばされてもまだ立ち上がれた。
でも仲間は違った。一撃で命を落としてもおかしくない程の衝撃を受け、骨折箇所が増えていく。まるで弄ばれて殺さないように手加減してまるで生餌にでもしようとしてる感じがする。
それでもサクラは仲間を庇いながら盾になり続けたがとうとう足首に舌が巻き付き徐に口元へ引っ張り込まれ噛みつかれてしまうのであった。
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芦屋市立打出浜小学校校庭
夕方でまだそれなりに小学生が居たので手当たり次第に【ダンジョン】の場所を聞くと指さして方向を教えてくれるので迷う事無く校庭に到着できた。
「?【ダンジョン】入口に規制線が張られてるぞ?まいっか」
「これこれ入ったらダメだ、規制線が張られてるだろ」
「いやちょっと頼まれて人助けにね?」
「君ねそう言う人を入れない為の規制線な訳、入ったらダメです」
まったく融通の利かない人だ。人助けって言ってるんだから入れてくれても良いじゃないか。
「困った、とりあえず2人を出して聞いてみよう」
「おーい、ミサキちゃんナツちゃん、入ったらダメって言われるんだけど、どうする?」
「ちょっと外に出てサクラのお母さんに電話するよ」
「お願いね。さすがに規制線張られてると強引に突破するのも出来ないしな」
しばらく待ってみると迎えに来るらしいとミサキちゃんが言うが、本音を言えばサクラちゃんの親とは会いたくない。
「じゃ、おじさん離れてるから入れるように話付けてね、よろしく」
そう言って離れていると、テントの中から2人の女性が出て来てミサキちゃんナツちゃんと話をして自衛隊服を着た一人が自分の元へやってきた。
「ご無沙汰しております。阪本氏とはお会いしたいと思っておりましたが機会もなく、あの時は助けていただきましてありがとうございます」
「はぁ」
「お忘れですか、自分は伊丹駐屯地所属の3等陸曹で船木です」
「ああ、餌にされそうになってた人」
「ええまぁ」
「で、入って良いの?それとももう救助済み?」
「いえ何も情報が得られないまま一晩経ちました」
「じゃ何も情報はないって事だね。とりあえず罠の場所まで案内か地図でもある?」
「はい、それはありますが今は民間人の入場に制限が掛かっており「そんな事言ってる場合なの?」
「じゃ決めて、押し通られるか、制限緩和して入場を許可するかを」
「分かりました止めるのは不可能なので入場を許可します」
「ありがと。ついでに地図もよろしく」
「すぐ持ってきます」
「おじさん入れそう?」
「うん、地図貰ったら行ってくるよ」
「二人はここに残って、ちゃんと自宅に連絡して迎えに来てもらうなりしてね」
「うん、わかったちゃんと連絡する」
ちゃんと返事したミサキちゃんの頭を撫ぜてしまった。条件反射だ。
「それじゃ行ってきます」
「「いってらっしゃい」」
懐かしい送り出しを受けて気持ちも軽やかになる。
「こちらが落とし穴の罠の場所を記した地図になります。何か分かれば報告をお願いしますね。
「ああ、気が向けばね。それじゃ行ってくる。」
「現地にも隊員が居てますのでほどほどにお願いしますよ」
「善処はするよ」
そう言って規制線を飛び越えて【ダンジョン】内に飛び込み地図を見ながら目的の地点まで全力疾走し、その際に何かがぶつかっていたが気にもとめないのであった。
「ここが少年少女の落下したって罠の場所であってますか?」
おもむろに自衛隊員に声を掛けると驚かれたが事故現場で間違いないようだった
「それじゃちょっと下がってて貰って良いですか?」
自衛隊員を下がらせた所で罠があったとされる場所を全力で殴ってみたら地下に続く穴が顔を覗かせたので一気に飛び込み落下していったのである。
「【ダンジョン】の地面って壊せるものなのな・・・・」
その場に居た自衛隊員は驚きを隠せないで居たが事実落とし穴の罠を強引に開いた現場を見てる。
お読みいただきかありがとうございます。
18時の更新は難しいかと思いますのでお休みを頂きたいと思います、ごめんなさい。